明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

一日  


そうと決まれば虎を飼っている方に連絡を取り、一週間後に撮影させていただくことになった。TVで動物園のライオンにもマタタビが効くか、という実験を観たことがあるが、見事に酔っぱらっていたので、虎にも効くだろう。用意いただくことにしよう。 昨日倉庫から持って帰った森鴎外の顔を塗り替える。よりリアルになるから、と肌色は下地を塗り色を重ね、ムラさえ貢献していたはずであったが、最近の手法ではただ汚れにしか見えず、以来すべてベタ塗りしている。着彩後、肌程度の艶を出すため磨くのだが、陰影がないのに艶があるというのはおかしい。かつての日本は陰影と同時に艶も描かなかった。昨日歴代の作品を並べてみたが、肌色に関して初期の物は黄色みが強く、時代時代、私の解釈が異なっていたのを感じた。 夕方、定年を迎え、故郷に帰ったK本の常連、K2さんが来て、K本の落ち武者連中と旧交を温める。相変わらず酒が入ると声が大きく店内に響き渡る。酒場でK2さんがトイレに立つと、急に穏やかな空気になるので見知らぬ客同士、ホッとして笑いが起きたくらいである。さらに突然劇場で舞台を作っているIさんが現れた。我々と違って随分前から愛想づかして顔を出さなくなっていた。みんな元気で何よりである。言いたいことを言い合い、そろそろいい加減、落ち武者会の看板を下ろす頃合いではないか、と隣のMさんと話す。私が勝手に落ち武者と言い出しただけであるが。

銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載7回「“画狂老人葛飾北斎”」

HP

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