明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



それにしても猛虎図など5月の個展に出品していいものかどうか。横に豊干禅師がいるならともかく。そもそも寒山拾得制作が主だったはずである。満月を右上に配した。虎はそれを意識しているのか目はそちら方向を向いている。改めて色々な虎を検索してみると、虎を知ってしまってからの日本人の虎はただ勇壮なだけでサッパリ面白くない。戦中など随分描かれたのではないだろうか。 雨の中、清澄庭園に猛虎図といったら竹だ、と撮影にいった。陰影を出来るだけ出さないためにこんな日を選ぶのだが、勘違いしており竹はなかった。そのままSと待ち合わせたサイゼリヤへ。紹介してくれる後輩は打ち合せが入り遅れるという。 そもそも猫で虎を作るかどうしようか、と思っている時、背中を押したのは、腕の中で猫に死なれ、悲観にくれるSの電話だった。昨日共通の友人に会ったそうだが、生まれついて両目がない猫を拾って17年飼い、亡くなった時に、目があり走り回る同じ夢を家族全員が観た、と聞いたという。「良い話しだろう」。いいながら目がウルウル仕始めた「こんなとこで泣くんじゃない」。先月私も馴染みの店の女将さんが亡くなりおじさん二人でここでマグナムワインを何本も空け涙にくれたばかりである。おじさんが涙するにこんな相応しくない場所はない。横で女子中学生が勉強している。その後Sの後輩と合流したのだが、この彼がまた猫を何匹も飼っているというから始末が悪い。結局ほとんど猫の話しか頭に残らなかった。 その後サイゼリヤで私と共に涙したMさんと合流した。Sには私が作った虎を携帯の待ち受けにでもしておけ、といっておいた。

銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載7回「“画狂老人葛飾北斎”」

HP

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )