明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



31日のTV東京『美の巨人たち』は驚き!天井から飛び出す龍 加山又造『墨龍』だそうである。よりによって加山又造はこうやって龍を描きました、なんて番組、寝てる子を起すような余計なことはするんじゃない、といいたい。こんなことがある度、誰かに仕掛けられているような気になる。それが良い方に転がれば良いのだが、今回は毒にしかならない。 もう実在した人物は作らない、といってる舌の根も乾かないうちに葛飾北斎を作り始めたのは去年の暮れだったか。それは蛸に絡まれている北斎が頭に浮かんだからだったが、当初考えた二点を作る目的に達成したせいで、北斎は陰影のある撮影をしていなかった。同じ物を撮っても大分違う。私の作り方にたまたま合っていたようだが、作り物だからこそ陰影をなくすだけで絵画的になるわけで、やったことといえば顔の皺をいくらか濃いめにしたくらいである。陰影をなくせば浮世絵やかつての日本画のような自由さを取り入れられるのではないか、とやったことなので、ことさら日本画風に輪郭線などは加えない。 北斎は昔のように、外へ持って行って実景を背景に撮るのも面白そうであるが、そんなことは考えずに作っているので、大分粘土を掻き出したが、着物を羽織らせたせいで重い。国定忠次の刀のように、片手で捧げ持つ撮影は無理だろう。まあ重ければ暇人見つけて持たせれば良いだけの話である。それに横に人がいれば私の恥ずかしさも半減する。この人のせいでこんなことをさせられているのだ、まったく迷惑なことだ、という演技プランのもと撮影する。溜息の一つもついてみるのも有効である。


銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載7回「“画狂老人葛飾北斎”」

HP

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