明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



撮影には都合の良い曇天の中、大横川親水公園にて竹を撮影。猫を虎にするという試みは、だからこそ古典的に描くべきであろう。虎図といえば、月に竹は付き物である。こじんまりとしている竹林だったが、使うのは数本なので十分である。撮影後ベンチで休んでいると、お父さんと兄弟二人。下の子が補助輪なしで、始めて自転車に乗れた瞬間に立ち会う。グッジョブ。今後うんざりするようなことが数々待っているだろうけども、めげずに生きろ。おじさんは竹を撮りに来たんだ。 次に出品する人物を考えていて、写る所しか作っておらず、首だけ引っこ抜いてある太宰治などどうだろう。一昨年の深川資料館の個展にも間に合わなかった。これは『中央公論アダージョ』のために作ったのだが、交通局の発行ゆえ飲酒表現、さらに煙草もNG。古今亭志ん生のコップは湯飲みに換えることになったし、吉田茂は葉巻を持っているであろう手は後ろにまわした。 であれば今こそ太宰が.飲んだくれている場面はどうか。酔っぱらいに関して私は熟知している。救急車に9回パトカーに2回乗ってる人物は、昨晩も酔っぱらってぶつけた額にお札のように貼られた四角い絆創膏を「ジジイいい加減にしろよ」。ペチッと叩いたら血が滲んで来た。本人はアルコール麻酔が効いており笑っている。塩をすり込むべきであった。 どうせなら林忠彦の有名なルパンの太宰のような快活なものでなく、いかにも入水しそうにどんよりさせてみたい。どこでへべれけにしようか、考えてみたが、そういえば、私が30年通った店があった。一年間撮った中で、使えるカットがあるかもしれない。であれば暗めのモノトーン調の中で、アブサンの瓶と注がれたグラスだけが妖しくグリーンに映るというのはどうか。キュリー夫人の研究室ではないけれど。

銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載7回「“画狂老人葛飾北斎”」

HP

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