明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



航空自衛隊の戦闘機にまさに攻撃を受けようというのに平然と髪を繕う数百メートルはあろうかという裸体の女や、怪人二十面相を出品しよう、という人間がいまさら何をいっている、という話であるが、印旛沼辺りの河童の三郎はさすがに躊躇している。プリンターの田村政実氏にはさらにプリントをお願いしているのが、4年続いたフリーペーパー用に制作した中から、この人達は、私にはこれ以上の作品はできないと思う、古今亭志ん生、宮沢賢治である。志ん生などは本人に火焔太鼓を背負わせ、昼間っからコップ酒を飲ませてしまったら、後は何をさせればよいのか。昼間に見えるが実は夜で、車の行き来が多い所なので、たままたまそういう風になったのを利用した。女将さんに孫の池波志乃と旦那が来たことがある、と聞いたことがある。噺家が二人出品されるという個展はイラストレーターなら珍しくないかもしれないが、それをあえて幻想絵画で知られる青木画廊で、というところが良い。かどうかは判らないけれども。 実景を特撮スタジオ化させた円谷英二もこのアイデアは他に使える人はいないし私には大ネタではあったが、本当は東京タワーでやりたかった。しかし使えずに終わるくらいなら、と円谷英二を進言したのだが、終刊号が田中角栄で東京タワーを入れろという営業からのお達しには実にがっかりであった。しかしやれないよりは良かったろう。そこで円谷をどかして巨大な裸体を配したのが『円谷な女』である。スタジオにする意味はないので、スタッフや照明機材なども外した。“感心されるくらいなら呆れられたい”という私にはさらにどうせ呆れられるなら笑わせたい、というところがどうしても顔を出してしまうのである。



銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載7回「“画狂老人葛飾北斎”」

HP

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