明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

一日  


昨年の今頃始めた手法は、そもそも現実の証ともいうべき陰影がないのだから、そこに在るも無いもない。私が理想とする“外側にレンズを向けず、眉間にレンズを当てる念写”に最も近いところにあるのではないか。作り物でないと出来ない物を、という課題もクリアしている。この世の人物を撮る場合でも、いったん現実から引き剥がすかのように切り抜いて画面に配する必要がある。最初に試みたのがあの世の住人である牡丹灯籠のお露とお米だった、というのはなんとも出来すぎた話である。 個展まであと一ヶ月という時によりによって『乱歩謎解きクロニクル』(言視舎)を著者の中相作さんからご恵投いただいた。20面相と共演した乱歩は、懐から20面相の仮面を取り出す乱歩ではなくなったが、それを作ったきっかけが私が見た夢で、乱歩邸で何故か宴会をやっており、机に向かって執筆していると思われた乱歩が懐から20面相の仮面をこっそり取り出すのを見とがめた連中に。乱歩が取り押さえられる。「先生それだけはお止め下さい!」しかし「先生の決心がお固いならそれもいいじゃないですか」。と発言して隣室に連れて行かれボコボコにされていたのが中相作氏であった。

銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載7回「“画狂老人葛飾北斎”」

HP

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