明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



壊れたパソコンから30年通った居酒屋の画像データを取り出した。写真の欠点は無い物は撮れないことである。主人公である女将さんが亡くなってしまい名物もなくなり店も変わってしまった。主人公さえ健在なら名物も店もいらないよ、と思いながら数々の写真を眺めた。モニターで実物大にして店にいる気分で飲むというのも良いな、これは名案と思ったが、開始早々モニター観ながら泣きそうになり止めた。いや間に合わず。 最近某写真家の過去の所業が問題になっているようである。私は写真を始めたのが遅かった。写真の主役はあくまで被写体だと考えるのだが、撮らせてもらっているのに写真家はなんだか偉そうに見えるのが奇妙に見えた。私の場合は実在した人物を作るので、その人物は充分尊敬している。たとえ亡くなっていても、作品を観てもらって本人にウケることを想定しているくらいである。家族がご健在であれば当然それも気になる。しかし作ってしまえば作者としては単なる物である。今後実在した人物を作らなくなれば、もうすべて自分であるから“誰のせいでもありゃしない。みんなオイラが悪いのさ”ということになる。被写体を敬い、気を使う必要もなくなるという寸法である。いうこと聞かなきゃ首をすげ換えるだけである。

銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載7回「“画狂老人葛飾北斎”」

HP

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