明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



以前書いたが、手漉き和紙にプリントすると、染込みがあるせいなのだろう、彩度がどうしても落ちる。その代わり、私の生な企みが、“及ばざるくらいなら過ぎたる方がマシ”という部分が、ぐっと目に優しく落ち着いて見える効果が大きい。周囲の人間からは、私の作品を部屋に飾る人はいない、といわれる。作家の作品が好きでも、その作家を飾りたいか、といえば違うだろう、と。それを私にいっちゃお終いだが、それも人によって好き好きであろう。私は巨匠アンセル・アダムスが苦手である。窓開けてあんな風景が広がっていたら一週間はもたないであろう。 ウインドウズマシンの電源が入らなくなってしばらく経つ。おまけにデータを分散させていた外付けハードデイスクも、何故かすぐに電源が入らなくなることが続いている。パソコンからハードデイスクを取り外して繋げ、久しぶりに見るデータ。私は今までジャズシリーズを含めて女性は数体しか作ったことがない。色々理由はあるだろうが、男と同じ素材やサイズで、同じ土俵に立たせられる気が全くしない。鎮守の杜の姫神様や黒蜥蜴はまあいいとして。よって女性は実物を使って丁度良いバランスだと考えている。そこでこれはどうだろう、と樋口一葉を引っぱり出して来た。本郷の、かつて一葉が通った質屋から出て来た場面である。今は跡見学園所有らしい。二年前の深川江戸資料館の個展で、縦二メートルのプリントにして展示したが、手漉き和紙に合うかもしれないがどうしよう、と怪人二十面相と乱歩に続きフェイスブックに投稿したら、和紙に、とさっそくいっていただいたので再び即決。どちらにしようか、という時に背中を押してもらうには有り難い方法である。これはトリミングしているが。



銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載7回「“画狂老人葛飾北斎”」

HP

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