明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

細雪  


そろそろジタバタしてもしかたがない所に差し掛かっている。そんな時に限ってジタバタしたくなるものである。人は十五歳の時に好きだった物は一生好きなんだそうだが、正確にいうともうちょっと若かったかもしれないが、夢中だったのが大人向け江戸川乱歩と谷崎潤一郎だった。谷崎は、というと大映のいわゆる“谷崎もの”から入った。教科書にも名前が載っている文豪であるから授業中も教科書に隠して読んだものである。未だに一番好きなのが『春琴抄』。『瘋癲老人日記』もお気に入りであった。中学生も老人も、様々な意味で不自由なことには変わりがない。逆にまったく興味がなかったのが『細雪』であった。細雪といえば、交通局発行のフリーペーパー『中央公論アダージョ』で人形町と谷崎という特集が決まった。調べると明治座で『細雪』が上演されるのを知り、これは宣伝にもなるからひょっとして、と出演者の高橋恵子、賀来千賀子、紺野美紗子、藤谷美紀の元に陣中見舞いに訪れた原作者が4人の間に挟まる。というのを提案してみた。なにしろ私が交渉する訳ではないので駄目元である。まだ稽古が始まるかどうだったか、キラビヤかな“完全武装”ならベスト、駄目なら稽古場でも構わなかったが、女優はそうはいかない。時期的にまだ“武装”して4人が集う機会がない、との営業からの答えであった。それでも広告は取れたのではなかったか。 ところで上手く行かなかったら何事もなかったかのようにスルーするのが当ブログの厳格なルールなのだが、世間が連休に入るというのにあろうことか、女郎蜘蛛の絵を書いている私なのであった。 

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載8回『昭和残侠伝“唐獅子牡丹”三島由紀夫』

深川江戸資料館 特別展『目で見る落語の世界』4月21日(土)〜5月6日(日)4月23日(休)三遊亭円朝、古今亭志ん生像出品

銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)4月23日(休)

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

HP

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