明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



昨日の続きだが、中学生の時に乱歩とともにはまった谷崎であったが、作家シリーズの最初の個展で発表後はあまり作品化していない。初期の作品は総じて小さく、特に谷崎の場合女性のヌードに配することしか考えていなかったので小さい。そして『』の明治座案の他には、当時日本橋に工房を構えられていた辻村ジュサブローさんの工房を訪ねる谷崎というのも考えた。つまり人形が人形町の人形作家を、という訳である。人形作家の先達であるジュサブローさんに対して今思うと大胆なことを考えたものであるが、それ以前NHKの番組でジュサブローさんが作品化している乱歩の『押絵と旅する男』について語るというシーンがあり、それは私が作った乱歩に、ジュサブローさんが乱歩として語りかけるという趣向で、残念ながらカットされてしまったのだが、VTRをもらえていたなら大変な記念になっていただろう。つまり面識があり、その時有り難いお言葉をも頂戴していたからこそであったが。最終的に鶴澤寛也さんの三味線を谷崎が聴き入るというシーンに決めた。初期の谷崎は人と共演するにはデイテール不足で大きく作り直した。その二代目谷崎は以後作品化はしていない。そこで『刺青』をやってみようと考えた。三島に唐獅子牡丹を描いてもらった女彫物師も女郎蜘蛛が入っていたが、腰の側面あたりだったし、他の彫物もあってそれを消すのは大変、と新たに制作しているのだが、例によって蜘蛛の巣だらけにしてしまい、これはやり過ぎと減らした。あまり密に入れずに空間の肉感を生かしたい。

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載8回『昭和残侠伝“唐獅子牡丹”三島由紀夫』

深川江戸資料館 特別展『目で見る落語の世界』4月21日(土)〜5月6日(日)4月23日(休)三遊亭円朝、古今亭志ん生像出品

銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)4月23日(休)

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

HP

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