明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

一日  


5月の個展はピクトリアリズム展ということで本来、最近の絵画的手法だけでやるべきであるが、なにしろ始めてまだ1年経っていない。私の大リーグボール3号だ、などと当ブログではしゃいでいたものの、いざ披露するとなると話は違って来る。グループ展ならどさくさに紛れて発表ができるが、お誘いもないし、あってもどうしても浮いてしまいがちである。結局、個展ということになる。そこで陰影はあるが、手漉き和紙の風合いに合いそうな作品も同時に選んでいる。 今も残る樋口一葉が通った質屋から出て来たら雪が、という一葉。乱歩と怪人二十面相など。 拙著『貝の穴に河童の居る事』(風濤社)の編集者からは河童の三郎も一つ、といわれてはいるが。一番好きなカットが表紙案を却下された作品である。怨めし気に見えるらしいが私にはそのつもりはない。残念ながら母性本能をくすぐられる女性続出とはいかないらしい。目が充血しているのがいけなかったか? 昔から妖怪、幽霊の、あんな画を誰が飾るか、という恐ろしい画が描かれて来たが、魔除けとして信じられていた。昔から恐ろし気な彫物を入れるのもそのためである。特に幽霊画は“お脚がない”“オアシが出ない”つまり金が出て行かない、として商人に珍重され絵師に注文したそうである。私の幽霊は残念だがカランコロンと下駄を鳴らしてアシが出るが。いや脚がないのが1カットあった。 永代通りを渡ろうとしたら向こうからリクルートスーツの一団、まるで蜘蛛の子である。4百人はいただろう。新入社員だろうが草間弥生のドットだろうが一杯集まっている物は何だって気持ちが悪い。



銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載7回「“画狂老人葛飾北斎”」

HP

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