昔、あるデザイナーに言われたものである。「石塚君、プロはさっさと終わらせ遊びに行くんだよ。」私の諦めの悪さに、そういわれたのであったが、私はそう思わない。土俵際の一粘りで、しばしば逆転うっちゃって来たからである。蝦蟇仙人の頭に乗っていた三足の蛙、昨晩気が変り、一から作り直す。『タウン誌深川』にはすでに文章は入稿を済ませ、後は撮影だけの『蝦蟇仙人と三足の蛙』であったが、おかげで原稿の一部も書き換えた。コンビである鉄拐仙人は、私には珍しく、動きのあるポーズにしたのだが、対となる蝦蟇仙人とカエルは両者とも両生類的無表情だった。二体目のカエルは大口を開けている。仙人の身体に隠れている部分は必要ないので作らない。やり直しする場合、悔しいので、やり直して良かった、となるまで絶対に許さない。 それにしても私のこの粘り強さ、志しの高さ、これが日常、私生活において、爪の先程も顔を出さない。人生上の謎といえよう。