夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

「必死剣 鳥刺し」(試写会)

2010年07月02日 13時26分07秒 | Weblog
 『鳥刺し』…それは、必死必勝の剣。その秘剣が抜かれる時、遣い手は、半ば死んでいるとされる。
 下級武士が悪を封じる快作である藤沢周平の『隠し剣』シリーズ。今回も、勧善懲悪であるそのストーリーが、痛快であり、現代人にも心に響く。斬られても斬られても立ち上がり、倒れても倒れても起き上がる。武士の生き様を見せる。まさに、侍魂だ。
 3年前、天心独名流の名人・兼見三左ェ門は、藩政に口出しをする藩主の愛妾・連子を城中で刺し殺す。最愛の妻・睦江を病で亡くした三左ェ門は、自分の死に場所を探していたのだ。しかし、藩主からの沙汰は、幽閉1年と石高の減額という軽いものだった。腑に落ちない思いを抱きつつも、亡き妻の姪・里尾の献身的な世話もあり、三左ェ門は再び生きる力を取り戻す。
 そんなある日、三左ェ門は中老の津田民部から近習頭取となることを申しつけられる。なぜ自分がその立場になるのか、不思議でならない三左ェ門であったが、中老には、ある考えがあった。三左ェ門が剣豪であるがゆえの運命が、そこに待ち受けていた。 
 運命に翻弄される剣豪・兼見を演じるのは、豊川悦司。寡黙ではあるが、情熱を秘めた演技に注目したい。兼見に密かに思いを寄せる姪の里尾には、池脇千鶴。海坂藩藩主には、村上淳。その愛妾には、関めぐみ。さらに、藩主と対立し、ご別家の帯屋隼人正であり直心流の達人役には、俳優としての活躍も著しい吉川晃司。
 兼見三左ェ門と帯屋隼人正との剣豪の戦い、クライマックスは見逃せない。映画だからこその迫力が感じられる。いつ、誰に『鳥刺し』を使うのかは必見。ストーリーは単純。でも、なぜ今この作品が映画化されるのか、よ~くわかります。
 監督は『愛を乞う人』の平山秀幸。
(7月10日、公開)