夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『ツレがうつになりまして。』

2011年11月02日 09時15分39秒 | Weblog
 うつは、誰もが罹患する可能性がある珍しくはない病気だ。“心の風邪”とも呼ばれるが、この風邪が少々長く続くことがやっかいではある。ただ、この病気に対する偏見がまだまだある。この映画は、夫婦がどう病気と向き合うかを、ほのぼのと描きながら、うつ病になった夫の目線だけでなく、妻の立場からも描かれている。
 売れない漫画家のハル。ハルが連載していた漫画は来月で打ち切りが決定する。夫の収入があるので、今まで漫画は趣味みたいなもの、そんなスタンスで仕事をしていたハルだった。ハルは、夫のことをツレと呼ぶ。ところが、そのツレの様子が少しおかしい。食欲がないと言ったり、背中が痛いと言ったり。ツレはきちんとした真面目な人。お弁当のおかずは区分けしてきれいに詰め込み、ネクタイも曜日よって色を変えている。だが、仕事はパソコンの苦情係で、ストレスが溜まる部署だ。毎日、満員電車に揺られながら、気の重い仕事へ向かっていた。
 ハルは、夫・ツレの変化に気づいてはいたが、うつだと聞いて驚く。しかし、ただ静かに見守っていきたい、そう考えていた。そして、ツレは退職。
 ハルは、連載をもっていた出版社に「ツレがうつになりまして。仕事を下さい」と、頼み込む。ツレは気分がいいときと悪いとき…を繰り返していたが、夫のうつ病と向き合うことで、ハル自身にも心に変化が芽生えていたのだ。
 妻のハルを演じるのは宮崎あおい、夫・ツレには堺雅人。大河ドラマ「篤姫」でも夫婦役だった二人。呼吸がぴったりで、違和感がまったくない。演技も上手くて素晴らしく安定しているので、スクリーンから伝わってくるエネルギーがすごい。ドラマティックな出来事が起こるわけではないのに、2時間があっと言う間に過ぎる。監督は『陽はまた昇る』『半落ち』『日輪の遺産』の佐々部清。今回の作品は、それらとは違い、ほのぼの系である。一気に泣かせようとしていない分、ジワジワとやってくる。
 夫婦が飼っているイグアナの演技にも注目だ。