夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『わが母の記』(試写会)

2012年03月23日 09時33分27秒 | Weblog
 樹木希林は、なんと素晴らしい演技をする人だろう。憎らしいけど、いじらしくて、かわいい。お見事です。まず、そう讃えたくなるのが『わが母の記』。
 第35回モントリオール世界映画祭 審査員特別グランプリを受賞した作品。家族の絆や、四季の移ろいを描くなど、細部に渡って“日本人的”な情感がたっぷり溢れる。

 小説家の伊上洪作は、子どものころに親と離れて暮らしたことから、親に捨てられたという思いを抱いてきた。父が亡くなり、妻や3人の娘たちや妹たちに支えられながら、母と向き合うことになる洪作。そして、日々失われていく母の記憶。だが、母は洪作が一番知りたかったことを口にして…。

 原作は、文豪・井上靖の自伝的小説「わが母の記~花の下・月の光・雪の面~」。監督は、『突入せよ!あさま山荘事件』などの原田眞人。認知症となる洪作の母を演じるのは、樹木希林である。洪作には、役所広司。役所は、母と距離をおいていたが、その後、近い関係に寄り添っていくという役を、人間味たっぷりに演じた。孫娘の琴子には、若手実力派女優の宮崎あおい。祖母と真剣に向き合いながらも、ときに辛くなり感情をぶつけてしまう、という振り幅の大きな役をうまくこなしている。他の出演は、南果歩、三國連太郎、三浦貴大など。
 付け加えておくと、冒頭のシーンが、重要なポイントの一つとなる。まばたきに注意を。

 なお今作では、宮崎あおいのセーラー服姿が見られる。とても珍しいので、そこはお見逃しなく。また、宮崎あおいは今年、出演作が次々と公開される予定。少し気が早いが、映画賞のレースに関わってくることが予想されるので、目が離せない存在と言えよう。

(4月28日、公開)