29歳の若さで亡くなった棋士、村山聖の生涯をつづった大崎善生のノンフィクションを映画化。20年ぐらい前の時代なので、知っている人も多いはず。
幼少期から難病を患う村山聖は、入退院を繰り返す中で、将棋と出合う。15歳で森信雄に師事。
10年後、名人となる夢を持って上京する。同世代で名人のタイトルを獲得した羽生善治に強いライバル心を抱き、没頭する聖だが・・・。
村山聖を演じる松山ケンイチは体重を20キロ増加させ、かなり本人に似せてきた。最後の、羽生善治との対局の場面はかなりそっくりで、登場シーンだけでも息を飲む。
その生き様や夢にかける思いが、心に染み渡っていく。何かを感じながら、ゆっくりと鑑賞したい。将棋を知らなくてもOK。
羽生善治を演じているのは東出昌大。彼もまた、羽生善治にかなり寄せてきた。ほかの出演者も、安田顕、染谷将太、リリー・フランキー、柄本時生など役者揃いなので、とにかくすべての場面が自然でその時代そのものに溶け込んでいる。心に響くなにかは、人の立場によって違うが、その何かを感じてもらえたら。
羽生戦通算6勝7敗。
1998年8月8日死去。
溢れる才能と、魂で打つ将棋。この人が生きていれば、将棋界の勢力とか何かが変わっていたかもしれない。
病との闘い。蝕んでいく病魔。
せめて、大好きな将棋を存分に打ってほしかった、打たせてあげたかった。
(11月19日、公開)