今も歌い継がれる名曲、中島みゆきの「糸」の世界観をモチーフにして『64-ロクヨン-』『8年越しの花嫁』の瀬々敬久監督により映像化された。
平成元年に生まれた子どもたちが大人になり、成長していく過程を巧みに描く。人はどのように出会い、どう絆がつながっていくのかに注目だ。
北海道で暮らす13歳の高田漣と園田葵。二人はお互いに初めて恋を知る。
しかし、ある日。葵は行方不明となるが、その原因は養父の虐待から逃れるためだったと漣は知る。「葵は僕が守る」そう決意するも、すぐに警察に保護され、引き離されてしまう。葵は、大阪へ引っ越して行った。
それから8年。漣は地元のチーズ工房で働いていた。
漣の同級生には成田凌。大阪で葵の生活を助けるようになるのが斎藤工、漣のチーズ工房の先輩は榮倉奈々と、それぞれが主役を張れるキャストが勢ぞろい。ほかにも二階堂ふみや松重豊など挙げたらキリがない。
随所に流れる中島みゆきの歌が包み込むように心を打ち、また中島みゆきの歌詞の強さに圧倒されるも、実力派のキャストたちもそれに負けていない。
気をてらったストーリーではないが、自然とラストを待てる。昨今流行りの音楽映画ではあるのかもしれないが、この作品はオリジナル作品であり、伝記物ではないので肩ひじ張らずに、音楽が好きだから、キャストが好きだからという理由で選んでいい。楽しめるようになっている。