汐見夏衛の同名ベストセラー小説の映画化。
進路をめぐって母(中嶋朋子)とけんかをしてしまった加納百合(福原遥)は、怒り
に任せて家を出てしまう。急な雷雨から身を守るために近所の防空壕跡に入った百合
はそこで眠ってしまう。そして、目が覚めるとそこは、1945(昭和20)年6月の日本
だった。
通りがかりの青年・佐久間彰(水上恒司)に助けられ、軍の指定食堂に連れていかれ
た百合は、食堂を手伝うこととなる。女将のツル(松坂慶子)、勤労学生の千代(出
口夏希)や彰と同じ隊の石丸(伊藤健太郎)、板倉(嶋崎斗亜)、寺岡(上川周作)、
加藤(小野塚勇人)らとの出会い。彰の誠実さや優しさにひかれていくが、彼は特攻
隊員で間もなく出撃する運命にあった。
それが百合の生きるということに変化をもたらす。
予告編を観て感じるとおりの物語なのだが、若い人にわかりやすくよくできている。
これまで、日本は平和のままきていると思っている人にこそ観てほしい。ただ、これ
は戦争下のごく一部の出来事である。
当方は忘れていたが、ツルさんには別の役割(優しさ)があるということにも気づか
された。これは、現代のラストシーン間近に続く。
監督は成田洋一、主題歌は長崎出身の福山雅治の「想望」。
そして、ここからは余談ーーー
福原遥と水上恒司の二人のシーンで、水上が「彰と呼び捨てで呼んでほしい」と頼む
ところがあるのだが、開始間もなくで当方は原作を読んでおらず、「ん?アキラ?」
→「晶?」「黒岩晶?」というあのドラマの名前が下りてきてしまう。基地で野球を
しているシーンもあり、高校球児だった水上のプレイも見ることができた。
他にも、「神隠し?」「君の名前のやつ?」と思いつつ、突っ込みを入れてしまう傾
向になってしまった。いろいろなものを雑多に観てしまっている当方である。
☆追記
若い人たちの間で“あの花現象”が起こっているとか。リピーターが続出し、興行収入が
30億円を超えた。当方が、鑑賞後すぐに感じた若い人たちの反応は確かだった。好きな
人がどうしようもない力でいなくなる不条理。それが戦争であるということが恋愛に特
化して描かれているのが、わかりやすい。