
『ぼけますから、よろしくお願いします』
(2018年)
母87歳、父95歳。広島県呉市。
「私」はドキュメンタリー制作に携わるテレビディレクター。18歳で
大学進学のために上京して40年。
仕事に没頭するひとり娘を両親は遠くから温かく見守ってきた。45歳
の時に乳がんになり、落ち込みめそめそするばかりの娘をユーモアた
っぷりの愛情で支えてきた母。人生最大の危機を乗り越えた「私」は
父と母の記録を撮り始める。だが、「私」はファインダー越しに、少し
づつ母の変化に気づき始め…
病気に苦悩する母、95歳で初めてリンゴの皮をむく父。仕事をやめる
決意がつかない「私」に、父は「(介護は)わしがやる。あんたはあん
たの仕事をせい」と言う。
そして「私」は両親の記録を撮ることを使命と思い始める。
2016年9月にフジテレビ/関西テレビ「Mr.サンデー」で2週にわたり
特集され、大反響を呼んだ。継続取材は続けられ、本作はそれをもと
に追加取材・編集を行った完全版である。
ひとり娘/監督・撮影・語りは信友直子
お父さんがステキで魅力的。そして、何といっても夫婦二人で支え合
い、思いやりながら生きてきたのが伝わり、ズキンとさせられる。そ
して、ボケても恐るべき記憶力があるのだということ。「私」も、生活
の面で必要以上に手伝うわけではなく、お父様の生活力を奪わず見守
る。
100歳になったらお祝いでお金くれるかもしれんからハンバーグ食べ
に行こうと寝たきりになった奥さんに言うところや、60年ありがとう
と伝えるところなど、笑って泣いてしまう。ノンフィクションの力に
やられる。
映像の後半はコロナ禍に突入している。毎日1時間かけて妻を見舞っ
ていたお父様は娘がスマホで撮影した映像で妻の容態を確認するだけ
に。。。そして、とうとう“その日”がやってくる。
観ていて辛くなるということはない。何某かの経験がある人は思い出
すだろうし、経験がなくともこれからの自分がどう選択するか、生き
るかを感じるだろう。何しろ、二人の様子に何かを気づかされ、元気
をもらう。
(某社会福祉系の会館にての無料上映に参加した)
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