無声映画時代に、日本映画では活動弁士という職業があった。それぞれの映画館には活動弁士がおり、客は活動弁士によって映画館を選んでいたとか。
活動弁士…略してカツベン。映画が娯楽の最前線だった時代の、約100年前を舞台としたとある話。活動弁士を目指す主人公とそれを取り巻く人々を描く。
徳川夢声という名を知っている人もすでに、限られてくるのか…。
『Shall we ダンス?』『それでもボクはやってない』などの周防正行監督作品。本線の映画進行だけでなく、劇中の無声映画の撮影方法と周防組とも言える出演者にも注目だ。
偽の活動弁士として泥棒一味の片棒を担ぐ生活にウンザリし、そこから抜け出したかった染谷俊太郎(成田凌)はスキをみて一味から逃亡。とある町の映画館にたどり着き、雑用係りとして働き始める。本当の活動弁士になることを目標にし、楽しい日々を送るが、館主や先輩弁士は曲者揃い。
近くに新しい映画館ができたことをきっかけに、過去とも向き合うこととなる。
館主夫婦には竹中直人と渡辺えり。スター気取りの弁士を高良健吾が酒好きの先輩弁士を永瀬正敏が演じる。
俊太郎の幼馴染で女優を目指すヒロインを黒島結菜が務めた。ほかには、井上真央、小日向文世、竹野内豊などが出演している。
昔の街並みや映画館の風景を知らない人でもなつかしさが感じられるはず。カツベンは日本独自の映画文化であり、味わい深いと思う。
成田凌、高良健吾、永瀬正敏それぞれの弁士が三者三様である。