原作は人気作家の池井戸潤。池井戸潤が「僕の小説の書き方を決定づけた記念碑的な一冊」
と評している作品。その原作に沿いながらも、オリジナルストーリーでも肉づけされてラス
トに向かう。WOWOWでドラマ化もされているが、原作ともドラマとも異なる独自のキャ
ラクターが登場する。
東京第一銀行の小さな支店で10億円という巨額の現金が紛失する。お客様係の西木(阿部
サダヲ)は、同じ支店の北川(上戸彩)と田畑(玉森裕太)とともに、事件の真相を探る。
小さな支店で平和に見えるが、ひと癖ある銀行員が揃う。支店長の九条(柳葉敏郎)は、出世
コースから外れていてやる気があるのかないのかわからず、副支店長の古川(杉本哲太)は
パワハラ上司。エースと言われるが過去に何かありそうな滝野(佐藤隆太)。
調査に訪れる本部検査部の黒田(佐々木蔵之介)は手がかりを見つけるが、九条に丸め込まれ
うやむやに。だがやがて、西木たちは滝野が提出した書類の不備を見つけ出す。
メガバンクにはびこるとてつもない不祥事。
救いがなさそうで、ありそうなラスト。あなたは、どう観る?
取引先の社長を橋爪功、西木の相談客である柄本明、北川の同僚を木南晴夏が演じる。ここにも
また、ひと癖あるキャストが配置された。監督は『空飛ぶタイヤ』の本広克行が担う。
本当の銀行の姿って何?どんなところ?との疑問が湧く。そして、ノルマのしんどさ。きれいな
だけではやっていけない場所なのか…。裏と表の存在。どの仕事もつらいことだらけか…。
*シャイロックとは、シェイクスピアの戯曲「ヴェニスの商人」に登場するユダヤ人のこと。
強欲な金貸しとして知られ、金を返せなくなった相手を訴える。金の代わりに「身体の肉1
ポンド」を要求する。しかし、裁判官は「身体の1ポンド」は認めたものの1滴たりとも血を
流さないようにということを条件にしたため、シャイロックは何もすることができないまま法
廷を去ることとなった。
今作の冒頭とラストは劇場の場面。どの人たちがどう出入りするか、チェックのこと。
原作は既読だが、読み直してみようと思う。