ウエス
バイクを押し出すと、 車体の隙間に突っ込んであったウエスを取り出し、
シートの上を数回叩く。
乾燥した大気と南の風は、毎朝この作業を強要する。
いや、別に嫌な感じは無くて、そんな季節になったのかな~と・・・・。
真夏の朝の、 あのジトッとした、水の香りが噎せ返る様な空気では無い、
浮遊していた埃が夜の優しさに洗い流された、さわやかで透き通る感じだ。
前線が上がるか下がるかで、全く違う物になってしまう大気は、
今日の午後には再びザラザラとした感覚をのせて 口の中に、そして喉へと到達する。
すでに30度近い気温に近くなる真昼の誘惑は、毎日帰宅するボクに甘く囁き、
風でばたつくのを避けるために短い袖を織り込んだ腕に、太陽の色をつけていく。
エンジン音と風切り音、 この二つが紡ぎ出すハーモニーにのせながらアクセルを
握るけど、 瞳に届く五月の光は、新緑の青い天使たちのペイントで街を輝かす。
たまには、このままハイウェイを飛ばして、夜空を見に行ってもいいかな~?
なんてね・・・・・・ そんな気持ちにもなる。 今はそんな季節のまっただ中だから。
by 翔
今度はウインドの時にギターを持って行こうかな? 風を待つ長い時間を消してくれるかな~なんて えへへ
1/365 秦基博