and allは、「…など, その他いろいろ, …ごと」。 本日のGetUpEnglishでは、この表現を(ちょっと趣向を変えて)紹介します。
○Practical Example
"We will go on a picnic tomorrow."
"Take enough food and all with you."
「明日、ピクニックに行くんだ」
「食べものなんかは十分に持っていきなよ」
●Extra Point
これは実はJ. D. SalingerのThe Catcher in the Ryeの主人公Holden Caulfieldの口癖でもある。
◎Extra Example
"But all of a sudden, I changed my mind. All of a sudden, I decided what I'd really do, I'd get the hell out of Pencey―right that same night and all."(The Catcher in the Rye, Chapter 7)
「でも、突然気が変わったんだ。突然、気持ちが固まったんだ。ペンシーを出ていこうって。それも今夜なんかのうちにね」
"Anyway, I keep picturing all these little kids playing some game in this big field of rye and all.…That's all I'd do all day. I'd just be the catcher in the rye and all."(The Catcher in the Rye, Chapter 23)"
「とにかくさ、小さな子どもたちがみんな集まって大きなライ麦畑なんかで何かの遊びをしているところがいつも頭に浮かんじゃうんだ(……)。そういうのを一日中やるんだ。ライ麦畑なんかで子供たちをつまかえてやるようなことがしたいだけなんだ」
数えてみたところ、この小説の中に、and allは393回出てきます。
ちなみに、上の文章のall of a suddenも完全にホールデンの口癖で、こちらは64回出てきます。こちらは明日のGetUpEnglishでその用例を学習しましょう。
☆Extra Extra Point
今年になって、 "This is an Unauthorized Fictional Examination of the Relationship Between J. D. Salinger and his Most Famous Character."の触れ込みで出版されたJ. D. Californiaの60 Years Later-Coming through the Ryeも、ホールデンのこの口癖を意識したと思われる言い方が何度も出てきます。
★Extra Extra Example
"It’s really a pretty queer feeling, not recognizing your own arm and all." (60 Years Later, Chapter 3)
「ほんとに変な感じだよ。まるで自分の腕なんかじゃないみたいなんだから」
"Goddamn, I try to say to no one in particular since I have my own room and all, but I only manage a croak."(60 Years Later, Chapter 3)
「なんてこった。誰もいないってのに、思わずそんなひとり言を言いそうになる。ここは個室だってのに、そんな言葉が口から出そうになる。でも、出てきたのはしわがれ声だけだ」
この作品、実はスウェーデン人のFredrik Coltingという人がWindupbird Publishingというところから出版したものですが、サリンジャー側は本書の出版差し止めを求めて訴訟を起こし、裁判所もこれを支持し、アメリカおよび日本ではまだ刊行されていません。しかし、イギリスなどでは購入できるため、わたしはこれをイギリスの書店から買いました。(アメリカの書店ではまだ買えませんが、日本の書店では9月15日からイギリス経由で買えるようになったようです。)
で、内容はどうであるか?
率直に言って、この作品はサリンジャーのThe Catcher in the Ryeの足元にもおよびません。サリンジャーの文体をまねして、76歳になったホールデンの心情を書いているのですが、上に引用しただけでもわかるとおり、サリンジャーの作品および文体のよさが全然理解できていないように思います。サリンジャーのThe Catcher in the Ryeのすばらしさを再認識できるという点では、読んでみてもいいかもしれませんが。
(ちなみにこの出版社名、Haruki MurakamiのThe Wind-Up Bird Chronicleを意識しているのでしょうか?)
明日のGetUpEnglishでは、ホールデンのもう一つの口癖all of a suddenを紹介します。