日本の(神道の)神は英語にもなっている。kamiの形で複数形で使われる。
現在、鋭意ゲラ校正中で索引作成中の『若い読者のための宗教史』に次の表現があった。
Not only was Japan created by the gods, it was their chosen abode, their dwelling-place. Other religions believed that though gods could visit the earth, their main residence was far above us in a special domain called heaven. For the Japanese their beautiful island nation was that special domain. Heaven and earth were one. Heaven was on earth, earth was in heaven. Some religions saw a human body as the physical dwelling place of an immortal soul. That’s how the Japanese thought of their land. Japan’s islands were the material expression of sacred spirits called kami who were everywhere in nature. They dwelt in animals. They inhabited Japan’s mountains, the most beautiful and sacred being Mount Fuji. They were found in plants and rivers.
日本は神々によって造られただけでなく、神々の住居、住むところとして選ばれた。ほかの宗教では神が地上に訪れることはあっても、神のおもな住居は天国と呼ばれる、はるか頭上の特別な領域だと信じられている。日本人にとっては、自分たちの美しい島国が特別な領域だった。天国と地上がひとつなのだ。天国が地上にあり、地上が天国にある。人体を不死の魂の宿る物理的場所と見なす宗教もあるが、日本人は自分たちの国を神の宿る場所と考えた。日本の島々は、「神」と呼ぶ聖なる霊が物理的に現れたものなのだ。神は自然のなかのあらゆる場所に宿っていた。動物のなかにも宿っていた。日本の山々、もっとも美しく聖なる山である富士山にも、草木や川にも神が宿っていた。
kamiはすべて代名詞はtheyで受けていることにご注意。
ご覧のように、英語はすっと読ませるし、このように美しい描写もたくさんある。訳文も同じようにひっかかることなく読んでいだけるものにしたいし、その繊細さや美しさも等価で伝えられたらと思う。
すばる舎より4月11日発売予定。
https://www.amazon.co.jp/dp/4799108042
『若い読者のための宗教史』(仮) (Yale University Press Little Histories) 単行本 – 2019/4/11
リチャード・ホロウェイ (著), 上杉 隼人 (翻訳), 片桐 恵里 (翻訳)
内容紹介
ユダヤ教、イスラーム教、キリスト教、仏教、ヒンドゥー教といった世界の主だった宗教にとどまらず、人類初期から21世紀までに及ぶ、濃厚で多彩な宗教史全体を解き明かす1冊。
「読者が世界の宗教について今までより深く理解できる名著……時代小説のような独特の魅力がある」――ジョン・チャームリー(タイムズ紙)
「21世紀の西洋における宗教の状況について、経験と知識の豊富な著者が考察。鋭い洞察と知性に基づいている」――ティム・ホウイットマーシュ(ガーディアン紙)
「宗教史に関して詳細で奥深く、かつ読みやすい解説を求める読者にとって本書は最適な導入書である」――ブックリスト誌
著者について
著者─リチャード・ホロウェイ(Richard Holloway)
神学者、著作家。スコットランド聖公会の元エディンバラ主教であり、1992~2000年には首座主教を務める。同性愛者の結婚や女性聖職者を支持するなど、進歩的で人気のある主教だった。現在は、著作家およびコメンテーターとして国際的に活躍。著書は20冊を越え、『教会の性差別と男性の責任―フェミニズムを必要としているのは誰か』(新教出版社、Who Needs Feminism? Male Responses to Sexism in the Church [1990])、Doubts and Loves: What is Left of Christianity (2001), How to Read the Bible (2006), Between the Monster and the Saint (2008), Leaving Alexandria: A Memoir of Faith and Doubt (2013)など。スコットランド、エディンバラ在住。
訳者─上杉隼人(うえすぎはやと)
翻訳者、編集者。訳書に『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』『マイティ・ソー バトルロイヤル』『スパイダーマン ホームカミング』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』『スター・ウォーズ フォースの覚醒』『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』(ディズニーストーリーブック)、デイビッド・A・ボッサート『ロイ・E・ディズニーの思い出』(講談社)、『スター・ウォーズ』I, II, III, IV, V, VI(講談社文庫)、ジョン・ル・カレ『われらが背きし者』(岩波現代文庫)、ジェームズ・ウエスト・デイビッドソン『若い読者のためのアメリカ史』(すばる舎)ほか多数。
訳者─片桐恵里(かたぎりえり)
出版翻訳者、IT関連翻訳者。東京大学工学部計数工学科卒業(数理工学専攻)。コンピューターメーカーでソフトウェアの研究開発に従事したのち、1993年から翻訳業。IT関連の雑誌、マニュアル、ウェブサイトなどのほか、英語学習誌の連載、特集記事の翻訳も多数担当。
出版社: すばる舎 (2019/4/11)
言語: 日本語
ISBN-10: 4799108042
ISBN-13: 978-4799108048
発売日: 2019/4/11
https://www.amazon.co.jp/dp/4799108042