改めて薬害防止に製薬会社への天下り全面禁止が必要なワケ

2007-12-27 07:02:34 | Weblog

 先ず第一番に何と言っても天下り官僚と現役官僚が双方共に元上司と部下(先輩・後輩)の権威主義的人間関係の力学に縛られた行動を取るからである。天下り官僚は元上司としての上に立った権威主義的人間関係を笠に着て相手を従わせる意向を自然と取り、現役官僚は部下として下にいた従う態度を取る。

 守屋接待ゴルフ事件の発覚後、防衛商社による守屋接待を地で行くような内容の自衛隊の自衛隊員に対する倫理啓発ビデオがテレビで紹介され、そのそっくりな構図が話題となった。ワイロ(=カネ)と接待ゴルフを武器に商取引の成立を迫るその商力学には商社に天下った(?)元上司と現役自衛隊員である部下の先輩・後輩の権威主義的な上下の人間関係が明らかに有力なベースとなっていた。

 現役自衛隊員が「先輩」と呼んだのに対して、「おいおい、先輩は昔の話だよ」と言いながら、顧客である自衛隊員に対して自分が客であるような上に立つ態度を取っていた。現役を引退しても先輩としての威光・権威を失わないのが日本社会に於ける権威主義の行動様式となっている。情けない話だが、あくまでも上下関係なのである。人間として対等な関係を築くことができない。権威主義の行動様式は上に立った場合の傲慢さと下に位置した場合の卑屈さを関係要素としている。

 ここに自律できない日本人の姿(=上下関係で縛られた日本人の姿)がある。

 二番目に天下った先輩官僚に利益を供与し、便宜を図るのは自分が天下った場合に同じ待遇がお返しとして望めることを予定行動としているからだろう。ギブアンドテークの関係に立っている。その確実性は天下り順に同様の待遇が繰返し保証される構図を歴史とし、伝統・文化として確立させているからこそ、予定調和とすることができるギブアンドテークであろう。

 そしてそのような構図は断るまでもなく上司から部下への権威主義的人間関係を基準として可能となる。上に立つ者の押し付けと下に位置する者の従う上下の関係なくして可能となるはずはない天下りの企業利益形成の効用であろう。

 この構図を断ち切ったとき、自分の天下り後の利益の保証を自ら打ち捨てることになる。結果として退職後の自己の利益の確保につながる天下った元官僚・元上司に対する保護・利益供与が企業の保護・利益獲得を一直線の成果とすることになる。

 こういった自己優先保護に直結する天下った元上司への優先保護とその結果的成果である企業保護の構図がエイズ問題に於ける非加熱製剤のアメリカやその他の外国の製造承認取消しに比較する遅れの構図、今回の薬害肝炎で問題となっているフィブリノゲン製剤の製造承認取消しに向けた対応遅れの構図となって現れていないはずはない。

 現役官僚にとっては自己保護の裏返しである天下り元官僚・元上司の保護が至上命題であり、その結果としての企業保の構図には一般国民の生命に対する視点を最初から欠いているからだ。官僚たちの行動は自己利害保護を最優先の動機としてはいるが、そこには国民の生命保護は動機として一切含まれていない。

 このことはエイズ被害対策や肝炎被害対策、その他の薬害対策の遅れが証明している。似たり寄ったりの薬害を性懲りもなく繰返す官僚たちの薬害に対する学習無能力が証明している。学習しているのは如何に有利な天下りをするか、そのために天下った元上司の立場が有利となる状況を提供して企業に利益を与え、そのことを通して企業に利益を与える者としての付加価値を自分につけて天下りとして如何に自分を高く売るかだけだろう。

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