平野官房長官が言う「ベスト」から「ベター」へ後退した場合の責任

2010-02-21 04:38:50 | Weblog

   ――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――


 平野官房長官が沖縄を訪問、仲井真沖縄県知事と普天埋移設問題について会談したと、昨20日付「NHK」記事――《“ベスト求めるが ベターも”》(10年2月20日 11時35分)が伝えている。

 昨夜7時のNHKニュースでは平野官房長官と仲井真知事がテーブルに向き合い椅子に座っていて、仲井真知事が用紙を両手に持っていて、「すみません、お着き早々で恐縮ですが、慣例のご挨拶を兼ねて(ここで平野が短く笑うと、仲井真も笑いながら)お願い申し上げたいと思いますので」と言って、用紙を読み上げる。ここから上記NHK記事の動画から。

 仲井真知事「普天間飛行場の危険性の除去は喫緊の課題となっています――」(読み上げシーンはここまで)

 仲井真知事「県外移設に対する、その、声というのは、むしろ、ますます高まって、実は、い、おりますし、私も県外移設はベストだと――」

 平野「沖縄県民のみなさん方の、やっぱり負担を、どう軽減するかっていう話は、このことに私は基地の問題は、オー、担当する原点だと。我が国の、オー、安全保障のあり方も、国家としての基本にあるわけですから、その辺との、しっかりしたバランスを、オー、見据えながら、物事を進めなきゃならんと。ベストを求めていきますが、やっぱり、イー、ベターになるかもしれません」

 仲井真「辺野古上陸案というのは、えー、おおよそ決まりかけていて、アメリカともすり合わせ中だと、こういうような話が流れてきているんですが、どういう状況なんです?」

 平野「アメリカと内々にやっているとか、そういうことは全くございません。(以下NHKテレビから)これを明言しておきます」

 例の「斟酌」発言について、

 平野「これは全く誤解でございまして。当然選挙の結果という民意は、えー、当然尊重しなければならない。このことは前提ですから――」
 
  上記記事の両者の発言は次のようになっている。

 仲井真知事「普天間基地の危険性の除去は喫緊の課題だ。県外への移設が最も望ましいという声が高まっており、県外移設がベストだと思う。その方向で検討するよう配慮してほしい」

 平野官房長官「沖縄県民の負担軽減は、この問題の原点だ。一方で、わが国の安全保障のあり方も考えなければならず、バランスを見据えながら物事を進めないといけない。常にベストを求めていくが、ベターになるかもしれない」

 仲井真知事の「キャンプシュワブ陸上案」についての問い質しに――

 平野「「アメリカ側と内々にそういう話をしているということはない」

 「斟酌」発言について、

 平野「誤解があった。選挙の結果という民意は尊重しなければならないのは前提だ」(以上)――

 会談後の記者会見での仲井真知事の発言――

 「移設先の検討の途中でその都度、政府と意見交換したい。・・・ゼロベースと言うからには県内、県外、国外すべてを検討していると思うが、最終的にどういう案をまとめるのかは、きょうの時点では方向性が出ていないという気がした」(記事から)――

 平野長官の一連の発言を、「時事ドットコム」記事――《普天間、県内移設に傾く=沖縄は不信感、決着見通せず-平野官房長官》(2010/02/20-17:12)は、〈沖縄の反応を探る「観測気球」との見方がある。また、県外移設は極めて困難とみて、早めに沖縄に県内移設の「落としどころ」をちらつかせ、「県外移設の期待感がこれ以上高まらないよう、事前にクギを刺した」とみる向きもある。〉と解説している。

 平野官房長官は「斟酌」発言を「全くの誤解」と言っているが、1月24日の名護市長選挙で普天間の辺野古移設反対派の稲嶺進氏が初当選したことに対して、「民意の1つであることは事実であり、それを否定はしないが、今後の検討では、そのことを斟酌して行わなければいけない理由はないと思う。名護市辺野古への移設という選択肢をすべて削除するということにはならない」NHK)と、基地移設反対派の当選を「民意の一つ」であって、すべてではないと看做した上で、「今後の検討では、そのことを斟酌して行わなければいけない理由はないと思う」と言い、「名護市辺野古への移設という選択肢をすべて削除するということにはならない」という言い回しで、「名護市辺野古への移設」「選択肢」を民意に反する形で残したのである。

 民意を「斟酌」していたなら、「名護市辺野古への移設」「選択肢」を民意に反してまで残すことはしなかったはずだ。

 それを「斟酌」は「全くの誤解」だと誤魔化す薄汚い詭弁を弄する。ここで既に信用できない人間になり下がっている。何を言おうと、その信用のなさは平野長官のすべての発言についてまわる。

 大体が沖縄の負担軽減を基地問題の原点だと言わずに、基地問題を「担当する原点」だと、「原点」を基地問題に置かずに、そこから担当者(=民主党政権)へと巧妙にずらしている。いわば政権が「国家としての基本にある」「安全保障のあり方」をどう把えるか、「原点」を担当者の把え方一つでどうとでも変わる変数に仕立てている。

 だからこそ、「ベストを求めていきますが、ベターになるかもしれません」という発言が必然の答として飛び出したのだろう。

 だが、例え沖縄が望む県外・国外移設が現時点で既に不可能と看做されていて、名護市の「キャンプ・シュワブ陸上案」が不可避の選択肢だと予測していたとしても、「ベストを求めていきますが」と、“ベスト探求”を自らの公約としたのである。

 決して「ベターになるかもしれません」が公約ではない。「ベターになるかもしれません」は公約の結果でしかない。

 このことは上記「NHK」記事の昨日の鳩山首相の記者会見発言が証明している。(記事と動画の混合)

 「平野官房長官は、途中の段階で、いろいろな人に会う中で、自分の考え方を述べていると思う。選択肢をしっかり考えていきながら、沖縄やアメリカ、当然、政府として与党3党が協力していく中で、それぞれが『わかった』と言えるような案を作ることであり、ベストとかベターとか、そういう発想ではなくて、それぞれが理解するものがベストだと、私はそのように思います。今そういうものを、私としては、まあ、官房長官が中心ではありますが、選択肢、を、検討している段階で、ベターではなくて、私共はやはりベストを探すべきです」

 鳩山首相は勿論のこと、平野官房長官にしても、「キャンプ・シュワブ陸上案」を最終的なゴール地点だと頭に描いていたとしても、“ベスト探求”を政権の公約としたのである。

 だが、「ベスト」の公約を提供できずに、政府が描く「ベター」に公約が後退した場合、国家基本の安全保障とのバランスで止むを得ないと弁解するだろうが、公約は公約である、後退したことの責任はどうつけるのだろう。

 平野長官はそこまで考えて、「ベストを求めていきますが、ベターになるかもしれません」と発言したのだろうか。責任についての考えは何もなしに県や名護市が反対している名護市「キャンプ・シュワブ陸上案」を有力な可能性の一つに入れて「ベター」を想定していたとしたら、無責任極まりない。

 公約が「ベスト」から「ベター」に後退した場合は、その時点でその責任を取って、平野官房長官ばかりか、鳩山首相も辞任すべきだろう。

 特に平野官房長官に関しては、何ら責任を取らずに薄汚い詭弁を弄して「ベスト」から「ベター」への後退に任すのは目に見えている。

コメント (1)
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