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《『生活の党 機関紙16号』8月10日発行号》
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「自立と共生」をキーワードに世界平和を実現する21世紀型主権国家を目指す
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◆第186回国会活動報告――生活の党が取り組んだ主な議員立法
◆OPINION :奈良女子大学教授 小路田泰直「立憲主義とは何か」
◆衆議院議院運営委員会海外派遣報告:小宮山泰子国会対策委員長「インド、トルコ、ヨルダ
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◆安倍内閣の閣議決定を受け、有楽町マリオン前で野党5党が合同緊急街頭演説会を開催
《石破氏「統一選勝利で政権奪還は完成」》(NHK NEWS WEB/2014年7月31日 14時27分)
石破茂自民党幹事長が東京都内で講演して、今後の政権運営に関連して次のように発言したという。
石破茂「これまでの地方選挙では勝つこともあれば負けることもあったが、これを総括し、統一地方選挙に生かしていきたい。衆議院選挙、参議院選挙だけでは政権奪還は完成せず、統一地方選挙で勝利して初めて完成する。
地方は潜在力を発揮できないでおり、これまでの政策を根本的に変える強い意志が必要だ。首都圏に人口がどんどん集中し続けている現状を改善し、地方が評価してくれる政策を進めたい」――
先ず、「衆議院選挙、参議院選挙だけでは政権奪還は完成せず、統一地方選挙で勝利して初めて完成する」とはどういう意味なのだろう。
次の統一地方選挙は来年の4月となっている。安倍晋三が2012年12月総選挙で勝利して政権を運営してから、2年と3カ月経過していることになる。
いわば安倍政権下の政権奪還後の統一地方選挙は国民が2年3カ月間の安倍政治を評価づけ、採点する通信簿となる。そして統一地方選挙に勝利した場合、2年3カ月間の安倍政治が評価を受けたことになって、ある意味政権奪還は完成したとは言えるが、しかし決して政権奪還の完成を目的としていい統一地方選挙ではない。
なぜなら、安倍政治を評価・採点し、統一地方選挙を通信簿とする主体は各自治体の国民であって、政権奪還の完成云々は各自治体の国民の通信簿を通して委ねるべき事柄だからだ。
逆に安部政権もしくは自民党が主体となって政権奪還の完成を目的とした場合、そのことのみをお願いすることになって、統一地方選挙が各自治体の国民の安倍政治に対する評価・採点の通信簿であることから目を逸らさせることになる。結果、「完成」という言葉で国民に与党に投票させようと狙っていることになり、決して正直で正しい遣り方とは言えず、却って狡猾な選挙戦術となる。
安倍晋三と同様、元々狡猾なところがある石破茂だから、政権奪還が「統一地方選挙で勝利して初めて完成する」のお願いは石破茂らしいレトリックと認識しなければならない。
発言の後段、「地方は潜在力を発揮できないでおり、これまでの政策を根本的に変える強い意志が必要だ。首都圏に人口がどんどん集中し続けている現状を改善し、地方が評価してくれる政策を進めたい」は如何にも地方を考えた政策の推進を頭に入れているように聞こえるが、それがいくら立派に聞こえる政策であっても、統一地方選挙が安倍政治に対する総合的な評価・採点の通信簿としなければならない以上、政策実行力や政策自体の実現困難性が関係してくることになる。
例えば政府保護のハードルを国際水準並みに下げても自立できる農業を日本の政治はこれまで実現できずにいた。地方活性化策の一つに自立できる農業政策をいいこと尽くめの立派な言葉で大々的に打ち上げたとしても、統一地方選挙で示す安倍政治に対する総合的な評価・採点の通信簿はその実現困難性と安部政権の政策実行力を前以て計算した内容としなければならない。
いわば政策提示イコール政策実現と看做す採点・評価の通信簿とするわけにはいかない。だが、石破茂は「地方が評価してくれる政策を進めたい」と、統一地方選だけではなく、その他国政選挙が持つ国民による各政権政治に対する総合的な評価・採点の通信簿という機能を無視して、政策提示のみで「地方が評価してくれる」、政策提示イコール政策実現と看做す採点・評価の通信簿を求めたのである。
石破茂の「統一選勝利で政権奪還は完成」のレトリックに決して騙されてはいけない。