安倍晋三の広島平和祈念式挨拶コピペ騒動は原稿を小役人に書かせる程度の重要性しか見ていない証明か

2014-08-09 07:46:29 | Weblog



 8月6日に出席した原爆投下から69年目を迎える広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式での安倍晋三のスピーチの冒頭部分が昨年とほぼ同じ内容だったということでインターネット上で「使い回し」、「コピペ(文章の切り貼り)だ」と批判を集めているとマスコミが伝えていた。

 当然、反響が反響を読んで、インターネットはこの話題で盛り上がっているに違いない。お固いサイト「ハフィントンポスト日本版」までが、《安倍首相、「広島原爆の日」の挨拶 "去年のコピペ"疑惑を検証する》と題して8月7日付で検証記事を載せている。

 スピーチを、「前段の挨拶」、「政府の取り組みの説明」、「締めの挨拶」の三部構成におおまかに分け、私自身はその存在を知らなかったテキスト比較ツール「difff」(デュフフ)にかけて同じ文字を拾い出して比較、そして、〈■2013年を“下敷き”にしたことは確実

 こうして比較してみると、2014年のスピーチは2013年を元に、実績部分のみ書き換え、前後の挨拶部分はほぼそのままであることがわかる。〉と結論づけている。

 「ハフィントンポスト」を見習うわけではないが、自分なりに比較して、自分なりに結論づけてみることにした。

 「2014年8月6日挨拶」は青文字で、「2013年8月6日挨拶」は黒文字で表わし、段落ごとに並べてみる。下線部分がそっくり同じとなっている。

 「2014年8月6日挨拶」広島市原爆死没者慰霊式、平和祈念式に臨み、原子爆弾の犠牲となった方々の御霊に対し、謹んで、哀悼の誠を捧げます。今なお被爆の後遺症に苦しんでおられる皆様に、心から、お見舞いを申し上げます。

「2013年8月6日挨拶」広島市原爆死没者慰霊式、平和祈念式に臨み、原子爆弾の犠牲となった方々の御霊に対し、謹んで、哀悼の誠を捧げます。今なお被爆の後遺症に苦しんでおられる皆様に、心から、お見舞いを申し上げます。

「2014年8月6日挨拶」69年前の朝、一発の爆弾が、十数万になんなんとする、貴い命を奪いました。7万戸の建物を壊し、一面を、業火と爆風に浚わせ、廃墟と化しました。生き長らえた人々に、病と障害の、また生活上の、言い知れぬ苦難を強いました。

「2013年8月6日挨拶」68年前の朝、一発の爆弾が、十数万になんなんとする、貴い命を奪いました。7万戸の建物を壊し、一面を、業火と爆風に浚わせ、廃墟と化しました。生き長らえた人々に、病と障害の、また生活上の、言い知れぬ苦難を強いました。

「2014年8月6日挨拶」犠牲と言うべくして、あまりに夥しい犠牲でありました。しかし、戦後の日本を築いた先人たちは、広島に斃れた人々を忘れてはならじと、心に深く刻めばこそ、我々に、平和と、繁栄の、祖国を作り、与えてくれたのです。緑豊かな広島の街路に、私たちは、その最も美しい達成を見出さずにはいられません。

「2013年8月6日挨拶」犠牲と言うべくして、あまりに夥しい犠牲でありました。しかし、戦後の日本を築いた先人たちは、広島に斃れた人々を忘れてはならじと、心に深く刻めばこそ、我々に、平和と、繁栄の、祖国を作り、与えてくれたのです。蝉しぐれが今もしじまを破る、緑豊かな広島の街路に、私たちは、その最も美しい達成を見出さずにはいられません。

「2014年8月6日挨拶」●人類史上唯一の戦争被爆国として、核兵器の惨禍を体験した我が国には、確実に、「核兵器のない世界」を実現していく責務があります。その非道を、後の世に、また世界に、伝え続ける務めがあります。

「2013年8月6日挨拶」●私たち日本人は、唯一の、戦争被爆国民であります。そのような者として、我々には、確実に、核兵器のない世界を実現していく責務があります。その非道を、後の世に、また世界に、伝え続ける務めがあります。

「2014年8月6日挨拶」●私は、昨年、国連総会の「核軍縮ハイレベル会合」において、「核兵器のない世界」に向けての決意を表明しました。我が国が提出した核軍縮決議は、初めて100を超える共同提案国を得て、圧倒的な賛成多数で採択されました。包括的核実験禁止条約の早期発効に向け、関係国の首脳に直接、条約の批准を働きかけるなど、現実的、実践的な核軍縮を進めています。

「2013年8月6日挨拶」●昨年、我が国が国連総会に提出した核軍縮決議は、米国並びに英国を含む、史上最多の99カ国を共同提案国として巻き込み、圧倒的な賛成多数で採択されました。

「2014年8月6日挨拶」●本年4月には、「軍縮・不拡散イニシアティブ」の外相会合を、ここ広島で開催し、被爆地から我々の思いを力強く発信いたしました。来年は、被爆から70年目という節目の年であり、5年に一度の核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議が開催されます。「核兵器のない世界」を実現するための取組をさらに前へ進めてまいります。

「2013年8月6日挨拶」●本年、若い世代の方々を、核廃絶の特使とする制度を始めました。来年は、我が国が一貫して主導する非核兵器国の集まり、「軍縮・不拡散イニシアティブ」の外相会合を、ここ広島で開きます。

「2014年8月6日挨拶」●今なお被爆による苦痛に耐え、原爆症の認定を待つ方々がおられます。昨年末には、3年に及ぶ関係者の方々のご議論を踏まえ、認定基準の見直しを行いました。多くの方々に一日でも早く認定が下りるよう、今後とも誠心誠意努力してまいります。

「2013年8月6日挨拶」●今なお苦痛を忍びつつ、原爆症の認定を待つ方々に、一日でも早くその認定が下りるよう、最善を尽くします。被爆された方々の声に耳を傾け、より良い援護策を進めていくため、有識者や被爆された方々の代表を含む関係者の方々に議論を急いで頂いています。

「2014年8月6日挨拶」広島の御霊を悼む朝、私は、これら責務に、倍旧の努力を傾けていくことをお誓いいたします。

「2013年8月6日挨拶」広島の御霊を悼む朝、私は、これら責務に、旧倍の努力を傾けていくことをお誓いします。

「2014年8月6日挨拶」結びに、いま一度、犠牲になった方々のご冥福を、心よりお祈りします。ご遺族と、ご存命の被爆者の皆様には、幸多からんことを祈念します。核兵器の惨禍が再現されることのないよう、非核三原則を堅持しつつ、核兵器廃絶に、また、世界恒久平和の実現に、力を惜しまぬことをお誓いし、私のご挨拶といたします。

「2013年8月6日挨拶」結びに、いま一度、犠牲になった方々の御冥福を、心よりお祈りします。ご遺族と、ご存命の被爆者の皆様には、幸多からんことを祈念します。核兵器の惨禍が再現されることのないよう、非核三原則を堅持しつつ、核兵器廃絶に、また、恒久平和の実現に、力を惜しまぬことをお誓いし、私のご挨拶といたします。

 話の進め方の順番も同じだし、言葉が違っている個所でも言っている趣旨はほぼ同じとなっている。

 本人が書いた原稿なら、どこでどう足をすくわれるか分からない身であることは承知しているだろうから、こういったヘマはしないだろう。多くの反安倍人間が鵜の目鷹の目でそのヘマを狙っている。私もその一人である。

 市会議員、県会議員ばかりか、国会議員までが外国を視察して、その報告書をインターネット上の文章をコピペして提出、バレて、マスコミが騒ぐ時代でもある。

 要するに誰かスピーチライターが書いた原稿を安倍晋三は読み上げたに過ぎないはずだ。

 安倍晋三のスピーチライターとして内閣審議官の谷口智彦が既に名前が上がっている。安倍晋三の国会での施政方針演説や、米国の国際戦略研究所での英語での演説、2013年9月の国際オリンピック委員会第125次総会に於ける東京オリンピック招致プレゼンテーションなどを手がけていると「Wikipedia」が紹介している。

 第2次安倍内閣の2013年2月から内閣官房にて内閣審議官に就任しているが、それ以前から安倍晋三の演説のスピーチライターを務めているという。

 しかし谷口智彦のような大物のコピーライターとなると、自分が一度書いた文章をコピペするはずはないし、文章を形式化させることもないだろう。そんなことをしたら、自身の名折れとするはずだ。

 つまり、安倍晋三の広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式の挨拶は大物ではないコピーライターが書いた。そっくり同じ言葉を並べるくらいだから、小物の役人がコピーライターを務めたと見るべきだろう。

 もしこの推測が間違っていないとしたら、安倍晋三及び安倍内閣は広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式を、原稿を小役人に書かせる程度の重要性しか見ていない証明としからない。

 安倍晋三自身も昨年の挨拶と今年の挨拶で文言のかなりの部分が同じであることが気づかずに読み上げた。途中で気づいたが、中止するわけにはいかないために最後まで読み上げたとしたら、前以て目を通すことすらしていなかったことになる。

 前もって目を通すこともしなかった、読み上げていても、気づかなかったとしたら、最悪である。昨年の挨拶をすっかり忘れていたことになる。

 以上のような状況であったとしたら、慣例に従った出席と慣例に従った挨拶――いわば儀式化していたことになる。儀式化していたからこそ、同じ文言を並べることができたし、話の進め方も昨年通りにすることができた。読み上げる方も、単に機械的に読み上げるだけで済ますことができた。

 やはり安倍晋三にしても安倍内閣にしても69年前の原爆投下と広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式に対しての重要性をその程度にしか見ていないという結論に行き着かざるを得ない。

 今後安倍晋三が立派な言葉を並べ立てて演説するとき、コピーライターは誰なのか、大物か小物の役人か、想像しながら聞くのも悪くはない。

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