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《8月19日(火) 鈴木克昌代表代行・幹事長 記者会見要旨》
『9月に夏季研修会をソウルで開催の報告』
【質疑要旨】
・民主海江田代表の発言の受け止めと党首会談について
・消費税増税に対する考え方について
・民主党との統一会派に向けた問題について
・夏季研修会について
《8月23日(土)、25日(月) 小沢一郎代表テレビ出演ご案内》
【8月23日(土)】
・番組名:TOKYO MXTV『淳と隆の週刊リテラシー』
・日 時:平成26年8月23日(土)17:00~17:55(生放送)
・内 容:第2次安倍政権日600日。
剛腕小沢一郎は、安倍政権をどう評価する?
集団的自衛権・アベノミクス・野党再編は?
※番組の詳細はこちらから
『淳と隆の週刊リテラシー』の番組サイト
【8月25日(月)】
・番組名:BS11『報道ライブ 21 INsideOUT』
・日 時:平成26年8月25日(月)21:00~21:54(生放送)
・内 容:・これまでの安倍政権をどう評価するか
・野党強化や野党再編はどうあるべきか
・他党の動きをどのようにみるか
・福島県・沖縄県知事選挙の対応と対策 等
※番組の詳細はこちらから
『報道ライブ 21 INsideOUT』の番組サイト
――災害発生後に避難勧告・避難指示を出す防災マニュアルはどこの世界にも存在しない――
今回の広島市の多数の死者を出した土砂災害について松井広島市長は次のように発言している。土砂災害発生の安佐北区三入では午前3時に避難勧告を出す基準の140ミリを大幅に超える171ミリを記録していた。
午前3時21分に安佐南区山本地区で「土砂災害で2人が生き埋めになっている」という119番通報。約10分後に別の地区から「女性が土石流に流された」という通報。
《基準の雨量超えたのに避難勧告出さず》(NHK NEWS WEB/2014年8月21日 4時08分)
松井市長「一部の地域では基準の雨量を超えていたものの、ほかの地域では超えておらずに職員が躊躇した。今後、改善策を検討したい」
〈市が最初に避難勧告を出したのは午前4時15分で、より強く避難を求める避難指示を出したのは午前7時58分になってから〉と記事は書いている。
要するに災害発生後に避難勧告を出した。既に災害が発生しているのだから、避難勧告を飛び越えて一定の強制性を持たせた避難指示を即刻出すことはせず、住宅に土砂が流入して行方不明者を出してから避難指示を出した。
松井市長の翌日の臨時の記者会見での発言。《広島市長 防災計画抜本的見直しへ》(NHK NEWS WEB/2014年8月22日 13時18分)
松井市長「亡くなった方に心からお悔やみを申し上げたい。行方不明者の捜索に全力で当たるとともに、被災した人の生活の再建に向けて、市が一丸となって取り組む」
(土砂災害の後に避難勧告を出したことについて)職員は今の防災計画を踏まえて対応した。避難勧告が先に出ていれば住民の命が助かった可能性は高い。今の計画のままでよいのか検証するのが問題解決への糸口だ」――
職員は防災計画に基づいてきちんと対応した。但し現在の防災計画のままで良いのか検証しなければならない。
つまり防災計画の不備を暗示させている。だから記事解説も、〈職員の対応に誤りはなかったという認識を示す一方、避難勧告を出す手順などを定めた市の防災計画を抜本的に見直す考えを明らかにしました。〉となっている。
だが、最初に書いたように、災害発生後に避難勧告・避難指示を出す防災マニュアルはどこの世界にも存在しない。これは絶対現実である。にも関わらず、存在させるような事態を生じせしめたのは職員の対応以外の何ものでもない。
広島市で災害現場で直接災害と対応する市消防局の責任者の発言。《広島市消防局 「避難勧告遅かった」》(NHK NEWS WEB/2014年8月22日 13時18分)
金山健三広島市消防局危機管理部長「1時間に115ミリという急激な雨で同時多発的に土砂災害が発生した。今月は雨が多かったため地域を決めて巡回するなど警戒していたが、災害に対する分析を誤った部分があることは間違いなく、避難勧告を出すのも遅かった。災害発生前に勧告を出すのが本来の目的であり、見直す必要がある」――
金山部長は「災害に対する分析を誤った部分がある」と素直に人災であることを認めている。「災害発生前に勧告を出すのが本来の目的」は当たり前のことであり、「見直す必要」とは、自分たちの危機管理対応に関してでって、この言葉にも人災であることの意を含んでいる。
問題は部長が「今月は雨が多かった」と言っていることである。土砂災害が発生した一帯は花崗岩が風化したサラサラの土に覆われていて、雨が降ると水を含み崩れやすくなる性質があるという。
だから、市消防局は8月は多雨に応じて地域を決めて巡回するなどの警戒に当たっていた。
だとしたら、なぜ8月20日1時15分の広島県に発せられた土砂災害警戒情報に留意しなかったのだろうか。
土砂災害警戒情報とは、公式の意味としては、大雨による土砂災害発生の危険度が高まったとき、市町村長が避難勧告等を発令する際の判断や住民の自主避難の参考となるよう、都道府県と気象庁が共同で発表する防災情報のこととなっていて、広島県から広島市に伝達されたはずである。あるいはテレビやラジオがニュースで伝えたはずである。
この公式の意味以外に現在降っている大雨が天気予報に触れずとも、降雨量が多いままに一定時間は降るという意味が含まれているはずだ。例え少量の雨であっても、降る日が多くて、既に傾斜地の土に雨水が十分に染み込んでいて、ほんのちょっとした短時間の強い雨でも土砂災害が誘発される事例や、雨がやんだにも関わらず、既に含んでいた雨水の重みで土砂崩れが生じるといった事例もあるだろうが、一般的な規模の大きい土砂災害の発生という点では、上記の意味を読み取らなければならないだろう。
その上、「今月は雨が多かった」と言うことなら、当然、土砂災害警戒情報が発令された8月20日1時15分の時点で避難勧告なり、避難指示なりを判断しなければならなかったはずだが、避難指示を出したのは土砂災害情報発令の1時15分から3時間遅れの、しかも土砂災害発生後の午前4時15分となった。
一般的に危機管理とは最悪の事態を前以て想定して、想定した最悪の事態に被害の最小限化等の備えを準備し、実際の危機に忠実に具体化させることを言うが、より良い危機管理の発動のためには一言で言うと、過剰反応するということであるはずだ。
過剰反応が例え空振りに終わっても、空振りは災害が発生しないことを言うのだから、そのことを良しとし、災害が実際に発生した場合は過剰反応は必然的に被害の抑止に役立つことになる。
過剰反応は人災を防ぐことにも役立つ。過剰反応を旨として防災計画を作成したなら、否応もなしに早手回しの避難勧告なり、避難指示なりを発令基準とすることになる。
2013年10月16日に伊豆大島の大島町を襲った台風26号に伴う土石流は大きな被害をもたらしたが、気象庁が26号の風速、雨量、コース等の台風情報と共に10年に一度の大型で強い台風だと警戒を呼びかけていた中、コースに当っていた大島町の町長は前日の朝に出張、島を出ていて、 町長の代理で台風に備えるためにだろう、総務課長が10月16日午前0時頃に役場に出勤したものの、東京都が送信した「土砂災害警戒情報」のファクスに気づきながら、夜間だったという理由で避難勧告や避難指示を出す対応を取らなかった。
だが、気象庁と都が「土砂災害警戒情報」の運用を始めた2008年から今年4月までの計7回、同情報を出していたにも関わらず、大島町が避難勧告の対応を取ったことが一度もなかったことが判明、「夜間だった」は後付けの口実で、土砂災害警戒情報を避難勧告や避難指示の判断基準としていない慣例に従った無対応に過ぎなかった。
その証拠は、東京都は大島町に対して10月15日午後6時05分に第1回の土砂災害警戒情報、10月16日午前0時10分に第2回目の土砂災害警戒情報、土砂災害警戒情報、10月16日午前2時35分に3回目の3回目の土砂災害警戒情報、10月16日05時50分に4回目の土砂災害警戒情報、10月16日10時55分に5回目の土砂災害警戒情報、10月16日13時40分に最後の土砂災害警戒情報を発しているが、ついに避難勧告も避難指示も出さなかったからである。
その結果、2013年11月25日現在、死者35 名、行方不明者4名の大災害となった。まさに人災以外の何ものでもない。
大島町はこのことを教訓として、現在では土砂災害警戒情報を目安にして避難勧告を出す防災計画を立てていると、昨日のNHKテレビで放送していた。
土砂災害警戒情報を避難勧告や避難指示発令の判断基準としていなかった市町村は大島町の人災を他山の石とし、大島町が学んだことを教訓とすべきだったが、広島市は何ら教訓としなかった。
この点も人災に当たる。
その他にも人災と言える点がある。今回の広島市の被災地区の多くが「土砂災害警戒区域」に指定されていなかったという。《被災6地区は「土砂災害警戒」未指定》(NHK NEWS WEB/2014年8月20日 20時14分)
今回の土砂災害で死亡者と行方不明者を出した広島市安佐南区の山本と緑井、それに八木の3地区と安佐北区の三入南と可部町桐原、大林の3地区の合わせて6地区が未指定だっと伝えている。
記事解説。〈「土砂災害警戒区域」は、土砂災害防止法に基づいて、都道府県が地形図を基に割り出した土砂崩れや土石流などが起きるおそれのある「土砂災害危険箇所」などを調査したうえで指定するもので〉、〈「土砂災害警戒区域」に指定されると、市町村は土砂災害に関する情報の伝達や避難、救助などの警戒や避難の態勢を確立しておくことや、ハザードマップを作成して住民に必要な情報を知らせることなどが求められ〉るとしている。
未指定の理由。
広島県「過去に土砂災害が起きた地区や病院や老人ホームなど避難に支援が必要な人たちの施設がある地区を優先していたため、指定が進んでいなかった」(解説文を会話体に直す)
ここ毎年のように日本列島の何個所かで大雨が降り、少なくない死者や行方不明者を伴った洪水や土砂災害が発生させていて、常態化している。
このことを学習していたなら、住民の命が関係してくる以上、どこを優先させて、結果として他は後回しとなるということは許されないはずだ。他の事業を後回しにしてでも、カネと人手を集中させて危険区域の指定を完了させるべきだったが、そうしなかった。
そのことも原因した多数の死者ということなら、やはり人災を決定づける根拠としかならない。
福島の第1原発事故も全電源喪失を想定しなかった人災であった。なぜかくまでも人災を繰返すのだろうか。防災計画がしっかりしていても、それを運用する人間の行動に手抜かりがあったなら、必然的に人災の姿を取ることになる。人災となることを回避したいなら、空振りを良い結果と看做して過剰反応に徹するべきだろう。