舛添要一の会計責任者に2、30万円プールして私的支出を行うシステムは政治活動費への付け替え可能が目的

2016-05-15 06:58:50 | 政治


 昨日のブログで東京都知事舛添要一の週刊誌報道による家族旅行のホテル宿泊代を会議費の名目で支出を行っていた疑惑に関わる舛添自身の釈明記者会見を取り上げた中で飲食店から白紙の領収書を受け取っていた問題について少々舌足らずな点があったから、少し説明を加えたいと思う。

 ご存知のように代金を支払うとき、最初に店のレジ係の操作によってレジスターがレシートを発行する。レシートには支出年月日と持間、支出費目、支出金額のみが印字されていて、宛名は印字されていない。但し領収書の発行を要請すると、同じレジスターが同じ支出内容の領収書を打ち出してくれる。

 そこには「領収書」と印字されているが、宛名は書いてない。こちらの要請でボールペンで「上様」と書き入れてくれたり、こちらの会社名、あるいは姓名をきちんと書き入れてくれる。

 つまり舛添要一は店のレジ係に宛名を書くことを要請せずにそこが白紙状態のままの領収書を受け取っていたのである。家族で食事した代金であっても、後で政治団体の名前を書き込んで、政治活動費として処理することもできる。

 舛添要一は会計責任者に自分のカネを20万から30万プールしておいて、そこから自身や家族の私的な支出代金を支払うシムテムを取っているという。その理由を次のように述べている。

 記者会見の発言は「産経ニュース」記事を再び利用する。 

 舛添要一「それも、だから、封筒に30万円なら30万円置いてやっているというのは、ずっと長年、やってきているのです。というのは、なかなか、常に人が付いていて、やはり公職の立場にあると、議員からというより大体みんな秘書が払うということがあるので」

 要するに国会議員であれ、都知事であれ、秘書が付いているのに自分から立ってレジのところで自身の財布から出したカネを直接支払うのは格式に関わるから、会計責任者なり秘書なりに20、30万円預けておいて、その中から支払わせるということなのだろう。

 舛添要一「それは、私自らが払うこともあります。家族で行ったら女房が払うこともあると思います。それから、私が動くときに、私だけということよりも、秘書が大抵一緒に、国会議員のときも付いています。それから運転したりもしていますので、例えば、家族だけで食べるときも、われわれが食事のテーブルに着いたら、もう秘書は帰っていくと。それで、ほかのテーブルで来ている場合などは、秘書がまた迎えに来てくれて、車なんか運転してきますから、もうそこで、お金を払ってしまうわけです」

 秘書が付いていないときの私的な支出は舛添自身なり女房なりが支払うが、秘書がいる場合は例え家族の食事代であって、プールさせておいたカネから秘書が支払うこととしている。

 だがである、秘書が迎えに来たなら、テーブルに呼んで、自分の財布からカネを渡してもいいわけである。秘書がいないときはそうしているのだから。

 私的な飲食代に限らず、全ての私的支出に関してそうしていたなら、わざわざ20~30万円とプールしておかなくても済む。

 だが、そういったことはせずに領収書を要求して宛名書きの欄が白紙の状態のままで受け取っていた。

 記者「収支報告書を訂正すると発表されたが、まず、なぜミスが起きたのかというのをもう少し詳しく。私的な会食が誤って政治活動として記載されたのは、会計責任者のミスということだが、会計責任者はその会合に出席していたのか。領収書はどのようにしてその会計責任者に渡ったのか」

 舛添要一「少し話を整理して申し上げることになるかもしれませんが、私はどんな買い物をしても領収書を取るのです。そして、分かりやすく言うと、箱が2つあると思ってください。そして、政治資金で、仕事のために使う文具とか、ファイルとか、これはもう当然そこから出ます。私は個人のお金も、例えば20万円とか30万円とかプールしておいてあるわけです。そして、そこから支出した場合、取っていく。そうすると、会計を担っている人は、両方の領収書を処理するわけです。

 そして、基本的には、買い物行きますと、レジから出てきて、ほとんど何様と(宛名が)書いていないものがほとんどです。会計責任者が『これは政治活動の事務用品だ』と(判断すると)、そこに政治団体のはんこを押すというような形で処理をする。

 私のは、それ(=押印)はしないのですけれども。30万円預けていますと。ところが、自分のを使って、そのとき秘書が買ってきたり、私が買ってきたりとか、いろいろありますけど、いくらぐらいプールしているお金がなくなるかということで、30万円だったのもあと3万円ぐらいになったと。『じゃあ、先生、ちょっと足りないですから、また30万円出してくれ』。こういうやり方をしていたわけです。

 それで、先ほど少しお話ししたように、そうするとやはり、毎日その領収書の仕分けをやればいいのですけれども、1週間にいっぺんとか、下手すると2週間にいっぺんとか。だけど、私がどういう行動をしているかというのは事務所の人はみんな知っていますから、『これはあのときの政治活動だな』と(判断して)、こっちに振り分ける。そういうときに勘違いとかがあって、数件ですけれども、(誤処理が)出てきたということなので、先ほど申し上げたように、どういうふうにシステムを変えるかと。人間ですから、100%ミスがないということはないと思います。だから、私は会計責任者を責める気はありません」

 この説明で2、30万円を会計責任者なり秘書に預けて私的支出を補うシステムは十分に理解できる。だが、舛添要一が受け取った領収書の端に私的支出なら、「私的」とでもボールペンで書き入れて、その字を丸で囲って、私的支出の意味を持たせ、政治活動としての支出なら、「政」とでも書いて、同じように丸で囲って公的支出の意味を持たせなたなら、勘違いしようがなくなる。

 都知事が常にボールペンなり万年筆なり、筆記用具を持っていないということはあるまい。もし持っていなければ、レジに借りればいい。

 また秘書がプールしたカネの中から支払う場合でも、領収書に同じことをすれば、勘違いを避けることができる。

 こういったことは会計処理をきちんと心がける人間なら誰でもしていることである。

 だが、そういったこともしていなかった。

 舛添は自身が代金を払ったときの領収書の扱いについて説明している。
 
 記者「知事自身がもらった領収書というのは、その後どのように処理されているのか。2つの箱という話もあったが、ちょっと抽象的で分かりづらい」

 舛添要一「何度も説明していますように、プールしているお金がある訳です、30万円なら30万円という。そこから払っていく訳ですから、そのお金がいくら減っているというのが分かるように、会計責任者が私から領収書を取るわけです。だから、プールしたお金という制度でなければ、そういう領収書を出さなくて済むので、そういう形で変えることができるか検討したいと」

 記者「知事自身が支払った領収書は、どう処理されたのか。どこかで捨てないといけない」

 舛添要一「それは捨てていますよ。いや、それは捨てていますよというのは正確ではないので、明確に私が、例えば本屋で政治活動のために使った本があれば、それは政治資金の方から出してもらうと。基本的に、この買い物をするときには3万円なら3万円の範囲で。それはプールしたお金からそれを持って行きますから、その3万円から領収書分を引いていくという。

 手間は手間なのですけれども、私自身は細かい点を気にしないで済む。そこから先は、会計責任者が『この領収書は要らないな』というのは、捨てていく。そういうプロセスです」

 この「それはプールしたお金」と言うのは政治活動費としてプールしてある政治資金という意味ではなく、私的支出として預けである20~30万円のプール金という意味なら、矛盾することになる。

 秘書が付いていなくて自身が一人で買い物をしてその代金を支払う場合はわざわざ会計責任者からプールしたカネの中から必要と思われるカネを受け取って買い物に行き、領収書を受け取って釣りと共にだろう、会計責任者に渡して支出としての証拠として残して、政治資金としての収支を合わせていくいう方法を取っていることになる。

 誰もがしていることであろう。

 だが、この方法を私的支出にまで応用している。しかも領収書を受け取りながら、宛名を空白にして。

 以上のなぜに答え得る唯一の整合性を見つけるとしたら、私的支出に関してまでわざわざカネをプールしておくシステムを用いているのは、宛名書きがカラの領収書を受け取っていることが有力な傍証となるはずで、政治活動費への付け替えを可能とすることを目的としているとからとしか見ることができない。

 当然、公的支出であっても、かなりの錬金術が巧妙に行われている可能性がある。

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