舛添要一の正月家族旅行の「会議費」名目支出から浮かんでくる政治家像はカネに汚い錬金術士の姿のみ

2016-05-14 12:41:05 | 政治


 5月11日発売の週刊文春が舛添知事の既に解散した政治団体が知事就任前に千葉県内のホテルに会議費の名目で行っていた支出について実際には家族旅行だった疑いがあると報じたことから、いわゆる“カネの問題”がついてまわる舛添の新たな金銭疑惑かと世間を騒がすことになった。

 具体的には2013年と2014年いずれも1月に千葉県木更津市のホテルに家族と宿泊していながら、合計37万円余りを会議費の名目で支出していたということらしい。

 ネットで調べたところ、ホテルは千葉県木更津市にある温泉ホテル「竜宮城スパホテル三日月」という名の超豪華ホテルだそうだ。プールやその他のレジャー施設をいくつか備えていて、正に正月に行けば、思う存分の羽伸ばしができる。

 一度のホテル宿泊代は平均すると16.5万円。なかなか豪勢なカネ遣いである。但し政治資金から支出したとなると、タダと言うことになって、これ程安い遊興費はない。

 舛添要一は5月13日の定例記者会見でこの金銭疑惑について説明し、記者の質問に答えた。記者会見の動画は1持間50分も長いものだから、家族旅行のホテル宿泊代を会議費名目で支出したとされる疑惑に関わる説明の妥当性と、家族の飲食代にカラ領収書受け取っていた疑惑い限って、「産経ニュース」から見てみる。  

 舛添要一「そこで、調査内容でございます。順次お話をいたします。まず、ホテルの会議費用について、ご説明を申し上げます。グローバルネットワーク研究会、これは以下、研究会と申し上げさせていただきますが、これは平成26年に解散しております。平成25年1月3日、この支出額は23万7755円でございます。及び、平成26年1月2日、この支出額は13万3345円の各支出につきましては、いずれも同ホテル内の宿泊していた部屋に於いて事務所関係者らと会議をしております。
 平成25年につきましては直前の総選挙、平成24年12月16日に行われました。その直前の総選挙結果の総括、それから、及び平成25年7月に予定されている参議院選挙への対応について、そして、翌年の平成26年につきましては、その直後に出馬表明をすることになった東京都知事選への対応につき、それぞれ会議を行っています。

 ただ、会議に使用していたとはいえ、家族と宿泊していた部屋を利用していたことから、ご懸念を招いたことにつきましては、反省をしております。今後、同様の状況があるとしたら、誤解を招かぬように、別途会議に使用する部屋を借りるなどしたいと思います。以上のような観点から、この2件の会議費につきましては、収支報告書の訂正、削除をした上で、返金することといたしました」――

 情況証拠でしかないが、以上の発言を見ただけでも疑惑満載である。

 会議費の名目で支出ということなら、メインは会議で家族の宿泊をそこに組み込んだことになる。

 だが、ごくごく一般的には特に正月3が日内のホテルへの家族の宿泊ということなら、1年の家事、1年の仕事から一切解放されて精一杯羽根を伸ばすといったパターンが常識であろう。

 しかも1週間や10日といった長逗留だったわけではない。平成25年1月3日は2泊、平成26年1月2日は1泊だけと後で説明している。羽伸ばしに向けられるべき正月のホテル宿泊での、その羽伸ばしを会議をメインとして借りた部屋で行わなければならない。

 誰が考えても、ここには矛盾が存在する。

 但し記者との質疑での発言を見ると、メインは家族の宿泊で、会議をそこに組み込んだことになっている。

 記者「家族と宿泊されている部屋でも会議もしたとのことだが、知事の認識の中で、これはプライベートと思われているのか、仕事だったのか」

 舛添「それ、今ご質問出ましたから、少し説明させていただきます。先ほども少し簡単に言いましたけれども、まず、分かりやすいというか、記憶の新しいところから言いますと、平成26年1月2日なのですが、日にちを見ていただければ分かりますが、その数日後に都知事選に手を挙げたわけです。それで、いつまでに手を挙げないと間に合わないという、これ、のんびりしていたらもう立候補期限が切れます。それから、支持してくださる政党がどこだと。それから、特に公約です。どういう公約で、手を挙げるなら、立候補するならどうだということをやらないといけません。

 ものすごく緊急かつ重要な案件であるわけです。ただ、この日ぐらいしかやる日がないと。ただ、せっかくの1日、2日の正月の休みで、子供たちに約束をしておりましたので、そこは取って、それはちゃんと行きますと。ただ、非常に政治的に機微にかかわる話ですから、会議室を取ってやるようなことではなくて、大きなお部屋でありますから、そこで、それは1時間だったか、2時間だったか、終日だったか、ちょっと記憶しておりませんけれど、懸案のことを、公約はこうしましょうと。例えば自民党との関係はこうしましょうとかいうようなことも含めて、これはもう当然やらないといけないので、そういうことをやっていたと」――

 子どもたちに約束して、宿泊の予約を取っていた。大きな部屋があるから、会議を組み込んだという趣旨となる。

 つまり正月のホテル宿泊のメインは家族の羽伸ばしを目的としていた。

 会議の時間は「1時間だったか、2時間だったか、終日だったか、ちょっと記憶しておりませんけれど」と、短時間ではないことを証言している。

 家族の羽伸ばしを目的としたホテルの宿泊でありながら、同じ場所で短くはない持間の会議を開くことで家族の羽伸ばしに煩わしさを持ち込んだことになる。

 レジャー施設がいくつかあることから、家族が部屋を出てレジャー施設で持間を過ごしている間に会議を行ったということなら、家族の羽伸ばしを左程煩わすことはなかったかもしれないが、であるなら尚更に宿泊費は私費で支払わなければならないはずだが、会議費として支出し、会議をメインとしている。

 矛盾は一つや二つではないことになる。

 事務所関係者にしても正月は天下晴れての仕事休みの日である。その貴重な仕事休みの正月を往復の持間を足すと相当な持間となるだろうから、仕事に振り替えて拘束を受けることをどれ程に好むだろうか。

 ところが舛添は正月に家族をホテル宿泊に誘っておいて、同じ場所で会議を開くことで家族の羽伸ばしをいくらかは損なったばかりか、家族とも親しい気の置けない仲間を誘って飲み会やパーティの類いを開くならともかく、仕事を持ち込んで事務所関係者が味わうべき仕事からの解放気分を奪った。

 果たして普通の人間なら、そういったことをするだろうか。

 情況証拠をさらに挙げることができる。 

 平成25年1月3日の宿泊時の会議は平成24年12月16日投開票の総選挙結果の総括と平成25年7月に予定されている参議院選挙への対応、平成26年1月2日の宿泊時の会議は出馬表明をすることになった東京都知事選への対応。

 特に正月に行わなければならない、しかも家族が宿泊しているホテルの部屋で行わなければならない合理的理由は何もない。会議のメンバーは事務所関係者。グローバルネットワーク研究会の事務所で開くことで済ますことができる会議目的であるはずだ。

 何をわざわざ家族が宿泊しているホテルの部屋で開く必要があるだろうか。

 舛添は「日にちです。この日しかありませんでした。それに尽きます」と説明しているが、家族の羽伸ばしをメインとしたホテルの部屋に会議を無理に押し込んでいい理由とはならない。

 なぜなら、会議の開催はその日しかなかったとしても、羽伸ばしは家族に任せて、実際にも任せていたはずだから、場所は自身が移動して別に場所を設ければ済むからだ。

 だが、そうせずに、しかもホテルの宿泊代を会議費名目で支払った。

 どう考えても、正月の家族の羽伸ばしのホテル宿泊であったにも関わらず会議費名目で支出したことを正当化するために創作した会議としなければ、整合性がつかない。

 このことは会議に参加した人数を説明できないところにも現れている。

 記者「ホテルでの会議だが、それぞれ2回分、どういう人が何人来たのか」

 舛添「これは、今言った、非常に政治的な機微に関わることでありますし、相手方のプライバシーもありますから、これはお答えを差し控えさせていただきたいと思います」

 記者「人数もだめですか」

 舛添「ええ。それも差し控えさせていただきたいと思います」――

 「どういう人が」と素姓を聞かれたのだから、名前を明かさず、仕事も明かさず、どういった関係者だと答えることはできる。既に「事務所関係者」だと明かしているのだから、「事務所関係者です」と言えば済む。「それ以上は明かせない」と。

 人数にしても、会議が事実なら、名前を明かすわけではないから、言えないことはない。会議が事実でないとしても、人数はいくらでもウソをつくことができる。

 だが、言えないことはない、あるいはウソをつくこともできる素姓も人数も隠した。

 そうさせたのは事実でないことが露見することへの極度の警戒からだろう。それが実際に行った事実、実際に起きた事実ではなく、拵えた事実の場合は必要であるから拵えるのだから、拵えたとおりに話すことができても、拵えてない余分なことを言ってしまった場合、そこから事実が露見することが往々にしてあることを知っていて、余分なことは言うまいと極端に警戒する余り、言えることも言うことができない現象が生じる。

 勿論、この解釈は人間心理としてよくある場面の説明に過ぎないし、これまで述べてきたことは既に断っているように全て情況証拠に過ぎない。

 だが、次の遣り取りは同じ状況証拠であっても、明らかに事実に反することを言っていることが分かる。

 記者「自宅近くの飲食店をテレビ東京が取材したところ、『知事に白紙の領収書を渡した』という表現をされているのですが、精査の結果、そういったことはあったのでしょうか」

 舛添「先程言ったように、白紙というのは何も書いていないのではなくて、レジから出てくるではないですか、領収書が、今。そこに何も書かないわけです。何と書きますかと言って。それは私が貰ったのか、うちのかみさんが私的に貰ったのか、それから秘書が貰ったのか分かりませんけれども、お店によりけりだと思いますけど、普通、そのまま白紙というより、それは宛名が書いていないという意味なのです」

 記者「宛名や金額がという意味だと思うのですけれど」

 舛添「いや、それは絶対ありません。金額は書いていないようなことはありません。機械ですから」

 記者「宛名はあるかもしれないということですか」

 舛添「いやいや、むしろ宛名の、何々さまと書いてあるではないですか。そこにいちいち、何とか株式会社さまとか書かないということです。それが白紙なので。それをお店の名誉のために申し上げますと、まさか金額を書かないで、そんなこと、私、一度も経験ありません。これはもう、そういうことなのです」

 記者「では、『上』(様)とか、そういう形でも何も書いていない」

 舛添「『上』も書きません。先ほどもお話ししたように、例えばこれは研究会の名前が書いてあったりするわけです。それで例えば、私がもう全く家族と行ったりしたときには、(宛名に)何も書かないで、別に使うわけではないですから。何のために使っているかといったら、例えばそこで3万円のご飯を家族で食べたと。それはお金を預けてありますから、どれだけ減っているかということのチェックを会計責任者がやるためにやっているので、説明はそういうことでお分かりになったでしょうか」――

 単なるレシートではない。飲食店に行って料理を何か食べて支払った代金に対して金額は入れてあるものの宛名は書いてない領収書を貰う場合があると言っている。その理由として、「私がもう全く家族と行ったりしたときには、(宛名に)何も書かないで、別に使うわけではないですから。何のために使っているかといったら、例えばそこで3万円のご飯を家族で食べたと。それはお金を預けてありますから、どれだけ減っているかということのチェックを会計責任者がやるためにやっているので、説明はそういうことでお分かりになったでしょうか」と釈明している。

 大体が舛添家の食事代まで会計責任者が預かっているというのはおかしな話だが、預かっているが仮に事実とするなら、尚更に宛名は「舛添要一様」とし、但し書きに「家族食事代」と書き入れなければ、会計責任者は預かっているカネの費目別の収支計算はできないことになる。

 どうも予定外の質問で慌てて辻褄の合わない返事をしてしまったようだ。いわば質問を想定して虚偽の事実を拵えていなかったために矛盾した説明となってしまった。

 大体が税金をゴマカシたり、政治資金の収支報告をゴマカシたりするときによく使う手だが、家族で食事したにも関わらず宛名が白紙の領収書を手に入れて、白紙の宛先に経費で落とすことのできる宛名を書き込んだり、あるいは政治団体の名前を書き込んだりして税金で落とすか、政治資金で肩代わりさせる。

 もし金額まで入れていなかったとしたら、より悪質となる。「3万円」の家族の食事代を舛添要一の懐を些かも傷めずに政治団体の10万円の食事代に付け替えることもできる。

 情況証拠でしかなくても、舛添要一の説明から浮かんでくる人物像はカネに汚い錬金術士の姿のみである。

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