何日か前のブログに大自然災害が発生した場合の避難所の被災者の収容が床だけの2次元的水平方向の空間利用にとどまっていて、そこに大勢を押し込めることになるから、窮屈や不自由を強いて、プライバシーも守れなくなるが、天井方向の空間がだだっ広く広がるに任せて何も利用させていない、ビル建設時の足場を作るレンタル資材を利用して2段か3段の高さにすれば、各仕切り毎に個室に近いスペースを設けることができる3次元的垂直方向の空間利用で被災者を収容させたなら、より多く被災者を収容できて、プライバシーもそれなりに守ることができるし、物資支援等の管理も集約できると書いた。
2次元的水平方向の空間利用のみで3次元的垂直方向の空間利用が頭にないのは避難所の被災者収容に関してのみではない。ゴミ処理に関しても同じことを指摘できる。
熊本地震が発生して4、5日も経つと、避難所の建物の前の道路脇はビニール袋に入れられた生ごみ等の生活ゴミが山積みとなり、道路の中央近くにまで場所を広げている様子をテレビが映し出していた。
市のゴミ処理センターの焼却炉が壊れて運転不能が生じていたり、道路が通れなくなっていたり、不通道路があちこちで生じているために交通渋滞が生じていたり、あるいは人手不足などの理由を挙げていたが、要するに回収が追いつかない状況に追い込まれていた。
悪臭がするといった批判も起きていたようだ。道路が仮のゴミ置き場となって道幅を狭めると、車がスムーズに走れなくなって、このことがまた交通渋滞の原因となる。
だが、こういったことは大きな災害が起きるたびに繰返すことになる定番化しているシーンである。
回収されないまま一個所に野積み状態で棄て続ければ、3次元的垂直方向へは一定限度以上は高く積み上げることができす、それ以降は2次元的な水平方向へのみ場所を広げていくことになる。
底辺が広がれば、ゴミの山に登ってより高く積み上げていくことができると考えるかもしれないが、ビニール袋はいくらゴミを中に詰め込んでも、しっかりと固まった状態になるわけではないし、ゴミ袋とゴミ袋の間に足を取られて不安定この上なく、満足に立っていることも歩くこともできない。下手をすると、ビニール袋を破いて、腐臭があたり一面立ち込めることになる。
結果、テレビで報道している通りのシーンとなる。
ゴミ処理に関してもいつまでも2次元的水平方向の空間利用を繰返すのではなく、なぜ3次元的垂直方向の空間利用を可能とする方法を思いつかないのだろうか。
大型スチール製ボックスパレットなるものが存在する。
画像で示しておいたが、加工用のキャベツや里芋その他、小型の鋳物製品等、段ボール箱に入れて何段か重ねると、上から圧力がかかって製品が潰れたり傷ついたりする恐れのある場合は貯蔵に5、6段、あるいはそれ以上、運送に3、4段は重ねることができるスチール製のボックスパレットを使うことになる。
つまり野菜工場や鋳物工場、その他日常的にボックスパレットを使っている会社と災害時には借りる契約を前以て結んでおいて、各避難所に運び入れて、一列に何個か並べておいて、ペットボトルならペットボトル、生ごみなら生ごみと手製の貼紙をしておけば、その場で分別もできる。
重さは何も入っていない一個の場合は大人二人で持つことができる。一杯になったら、空のボックスパレットを積んでクレーン付きの車に来て貰えば、入れ替わりにゴミで一杯になったボックスパレットを2段重ね、3段重ねで荷台に積むことができるから、その場の処理も簡単にできるし、焼却場が使えなくなっていて仮置き場に置くにしても、前後2列3列と裾から順に広げていけば、7段や8段、あるいは10段近くは積むことができて場所は取らないし、ボックスに入っていれば野積みと違ってビニールが破れることも殆どない。
3次元的垂直方向の空間利用は満足にできない山積みではなく、本格的にそれができることになる。
今回の熊本地震では熊本県内各地の焼却炉が使えくなって、他の自治体が引受けることになったが、仮置き場からそこに運ぶにしても、ボックスパレットに入っていれば、さしたる面倒もなく移動させることができ、処理時間を短縮できる。
もし道路が通行不能でボックスパレットを運び込むことができない避難所があるなら、自衛隊のヘリで運べばいい。
2008年6月14日発生の岩手・宮城内陸地震では宮城県栗原市の旅館「駒の湯温泉」が土石流に飲み込まれて客や従業員ら7人が犠牲になったが最後の2人の捜索に政府は自衛隊の大型ヘリを使って掘削容量0.4平方メートルの重機(機体質量8トン強)を地震発生12日後にやっと運び込んでいる。
それまでは道路が寸断されていて重機は搬入できないとして、自衛隊員が手作業で捜索に当っていたが、満足に捗らせることができなかった。2次元的水平方向ばかり見ていて、3次元的垂直方向を見る目を持たなかった。
画像は当時自衛隊のヘリが重機を吊り上げていたときのものである。
今回は建物の倒壊が多く、片付けの段階となって木材が大量に搬出されて、電気器具やその他と一緒に仮置き場で重機で無差別に山積みされていったのだろう、無残な廃材の山をテレビで見ることになった。
道路や庭の置ける場所にボックスパレットを置いて電気製品は電気製品、コンクリートの塊や瓦はそれらと分別させて順序よくボックス内に収めて貰ったなら、1個のボックスにより沢山収納できるし、仮置き場に運んだ以後の処理もよりスムーズに行うことができる。
廃材は仮置き場に木材破砕機を置いて、その場でチップにできないものなのだろうか。チップにしてしまえば、後処理がより簡単になる。
画像はコマツ製の自走式木材粉砕機だが、米国製の自走式木材粉砕機の販売を2003年12月から手掛けている会社のサイトには、〈金属片や巨大な異物等が回転破砕部に混入しても、機械本体の致命的な損傷を抑える「スクリーン個別解除装置」で完全に保護できます。〉、〈排出用のベルトコンベア先端にはマグネットローラーを装備。釘などの金属類を選別・除去し、異物の混入を防止します。〉と書いてあって、例え釘や他の小さな金属が取り付けてあっても廃材のチップ化に不都合がないことを伝えている。
2003年から販売しているのだから、日本の自走式木材粉砕機が過去に於いては金属が付いていた場合粉砕できなくても、モノマネは得意なのだから、既に米国製同様、あるいはそれ以上に金属片を除去する技術を備えているはずだ。
ネットで調べると、コマツだけではなく、日立建機、株式会社諸岡でも製造している。価格は7千万円以上するが、それなりに需要があることになる。これも災害時に限ってレンタルできる契約を結んで利用できないものだろうか。
最近駐車場の一角や道路脇の空き地に古紙やビール缶等のリサイクル品を捨てるボックスが置いてある。一杯になると、画像にある脱着ボデー車(アームロール車)がやってきて、運転手が一人で運転席の機械を操作して空のボックスを置いて、一杯になったボックスを荷台に積んで走り去る。車はダンプできるようになっているから、簡単にそれぞれの圧縮機にかけることができる。
この脱着ボデー車はもう20年かそこら前から東名高速道路の法面の草刈りの際に出た草を処理・運搬するのに使われていた。災害の際にはこの利用も考えられる。
大きな災害が発生する場に繰返す定番化したシーンを少しでも改めるためには2次元的水平方向の空間利用から3次元的垂直方向の空間利用への転換を心がけるべきではないだろうか。
いわば2次元的水平思考から3次元的垂直思考への転換である。