読売世論調査:安倍政権の熊本地震対応「評価する」56%は政府の災害対応をチョロイものとする

2016-05-17 10:05:20 | 政治

 
 読売新聞社が5月13~15日の「全国世論調査」では安倍内閣支持率は前回4月調査よりも3ポイント上昇、53%となっている。理由は二つ。熊本地震に対する政府対応への評価とオバマ米大統領の広島訪問への評価だそうだ。  

 熊本地震政府対応

 「評価する」56%
 「評価しない」30%

 オバマ広島訪問

 「評価する」93%

 熊本地震の安倍政権の対応を56%もが評価すると見ている。東日本大震災に於ける菅無能の粗悪な危機対応をインプットされ、学習しているから、その反動で立派に見えている部分もあるに違いない。

 だが、自民党にしても菅無能の危機対応をインプットし、学習していたはずである。

 学習とは突き詰めると、「人の振り見て我が振り直せ」(他人の行動を見て、良いところは見習い、悪いところは改めよ)のことを言う。

 つまり安倍政権は熊本地震で東日本大震災菅無能粗悪危機対応に優る危機対応を見せなければ、インプットした意味を失うことになるし、学習したことにならない。

 〈東日本大震災から5年がたったのに合わせ、当時の政府の初動対応を検証してきた自民党の作業チームは、「防災庁」のような独立した組織を設けることも視野に、災害対策を担う専門的な人材の確保を図るべきだなどとした報告書をまとめました。一方、今回の熊本地震については、救援物資が行き渡らないケースがあったことから、政府や事業者などのさらなる連携が求められると指摘しています。〉と5月15日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。

 救援物資が行き渡らなかった原因は避難者や避難所の状況が十分把握されなかったからだとしている。

 これは政府には関係ない自治体の責任範囲内なのだろうか。

 どのような報告書なのか自民党のサイトにアクセスして探してみたが、見つけることができなかった。

 別の「YOMIURI ONLINE」記事では、報告書は安倍内閣の対応については「初動対応体制の構築は迅速だった」と評価していると異なるの書きぶりとなっている。

 と言うことは、救援物資が行き渡らないケースを招いた避難者や避難所の状況の把握に十分に能力を発揮できなかった責任は安倍政権になく、自治体にあるとしていることになる。

 だが、このような事態を招いたのは東日本大震災でも経験したように通信の途絶、交通の途絶(道路決壊や橋の崩落、これが原因した交通渋滞等々)、地震対応の仕事が一挙に増えたことで発生した自治体職員の人手不足等であって、自治体の手に負えない部分を補うのが政府の責任でもあるのだから、一人自治体に責任を科すのは無責任そのものである。

 2016年5月16日付「毎日jp」記事が〈熊本地震 捜索・医療にも支障…緊急道寸断》と題して次のように伝えている。 

 熊本地震によって熊本県指定の救助隊や救援物資の輸送に使われる緊急輸送道路(緊急道)が50カ所で通行止めが発生、橋や路面の被害、沿道の建物の倒壊などが相次ぎ、物資の輸送だけではなく、捜索活動にも影響が出たと伝えている。

 熊本県南阿蘇村では阿蘇大橋の崩落や土砂崩れの多発により、熊本市方面と南阿蘇村をつなぐ緊急道が各地で寸断、そのため5人が土砂崩れに巻き込まれた高野台団地では重機が届かず、初日に現場にたどり着いたのは途中から徒歩で入った自衛隊や警察などを含めても50人ほどで、手作業で捜索を続けたが、手がかりは得られなかったと言う。

 数百人規模の捜索態勢が組まれたのは翌日。5人の遺体を見つけることになった。当然、悔いは残る。「道路が使えればもっと早く人手を確保できたはず」 とその声を伝えているが、道路が使えなくても、重機は自衛隊のヘリコプターで運搬すれば運び込むことができる。
 
 重機は道路を走らせて運び込むもだとの固定観念から抜け出すことができなければ、道路が寸断すると、お手上げ状態となる。

 何日か前の「ブログ」に、〈2008年6月14日発生の岩手・宮城内陸地震では宮城県栗原市の旅館「駒の湯温泉」が土石流に飲み込まれて客や従業員ら7人が犠牲になったが最後の2人の捜索に政府は自衛隊の大型ヘリを使って掘削容量0.4平方メートルの重機(機体質量8トン強)を地震発生12日後にやっと運び込んでいる。  

 それまでは道路が寸断されていて重機は搬入できないとして、自衛隊員が手作業で捜索に当っていたが、満足に捗らせることができなかった。2次元的水平方向ばかり見ていて、3次元的垂直方向を見る目を持たなかった。〉と書いたが、菅無能はこの自衛隊大型ヘリコプターの重機運搬を東日本大震災で通信の途絶、交通の途絶、自治体職員の人手不足が生じた際の食料や飲料水、医薬品、その他生活用品の支援物資の配送に活用すべきを何ら頭にインプットせず、学習することができなかったために通信の回復、交通の回復を待つまで支援物資配送の遅れを解消させることができなかった。

 自治体職員の人手不足解消は日本各地の自治体職員を順次送り込むことで時間をかけることになった。

 そして安倍政権も支援物資や行方不明者の捜索に於ける対応は東日本大震災の二の舞を演じた。

 ヘリコプターを通信が途絶した場合、自衛隊員がロープを伝わって降りて必要な情報を集めて、その情報を無線で順次伝えることで通信手段に活用することもなかったし、交通の途絶場所での支援物資の輸送や重機運搬に活用することもなかった。

 何よりも問題なのは熊本地震の被害の規模が東日本大震災の被害の規模よりも小さかったにも関わらず救援物資の配送遅れを生じさせたことである、

 東日本大震災の最大時の避難者数は約40万9千人だそうだが、熊本地震は4月16日未明の震度7の地震後、避難者は最多で18万3882人、4月19日には約11万7千程度に減っている。

 死者・行方不明者の人数も桁違いに差がある。前者の捜索に要したエネルギーは途方も無く大きかったはずだ。

 安倍政権は以前の地震に対する各政府対応をインプット、学習して、その情報を災害の都度定番化している避難所の物資不足に対応させることもできなかったし、同じく定番化している通信の途絶、交通の途絶、自治体職員の人手不足にも迅速に対応させることができなかった。

 だが、読売新聞の世論調査では56%が政府対応を評価し、内閣支持率上昇の力の一つとなっている。

 このような大目に見るような評価は政府の災害対応をチョロイものとするに違いない。その犠牲となるのは国民であり、特に社会的弱者にそのシワ寄せが及ぶということを忘れてはならない。

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