◆船体射撃容認・武器使用権限拡大
海賊対処法は、衆議院で可決され、本日参議院で否決された後、先ほど衆議院で再可決され成立した。公布は来週となり、甲府から30日後に施行される。
本日可決された海賊対処法の要点は、第一に日本に関係のない第三国の船舶も要請に応じて保護の対象とすることができる点、第二に海賊船に対して派遣部隊より出された停船命令に応じない場合には船体射撃が容認されており、これによって武器使用権限が拡大されている、この二点だ。
こうして、現在、海上警備行動命令では、第三国の商船などを警護する法的根拠はあいまいであり、遭難対処というかたちで実施されていた駆け付け警護の法的根拠が明確となり、また、万一海賊が武器による反撃を企てた際にも、護衛艦の強力な火力により瞬時にして無力化することが可能となる。
海賊対処任務として、ソマリア沖海賊事案への対処のため、護衛艦が派遣されているが、任務開始までに成立するとされた海賊対処法が、任務開始から遅れること数ヶ月、ようやく成立した。こうして海賊対処法の成立に伴い、浜田防衛大臣は3月に派遣された護衛艦部隊に続く交代として新部隊の準備を海上自衛隊に指示した。
現在、第4護衛隊群の第8護衛隊所属の護衛艦“さみだれ”、“さざなみ”が、3月14日から呉基地を出撃、28次に渡る護衛任務を続けており、5月28日には、P-3C二機も派遣され、6月11日から洋上哨戒任務に参加しており。自衛隊法に基づく海上警備行動命令に基づいて、任務にあたっている。
他方、ソマリア沖海賊事案への対処は、ソマリアの国家機能が破綻した状況が続いており、収束の見通しはまったくない。もっとも必要な対処は、国際平和維持活動としてソマリアの国家再建を達成し、海賊を取り締まる治安機関を再興することであるが、この命題に対しても、考慮する必要はあるのでは、と考える次第。
HARUNA
[本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる]