◆F-22を40~60機、しかし間に合うのか
アメリカ議会上院歳出委員会の防衛分科会は、現在、輸出が禁止されている最新鋭戦闘機F-22について、その輸出向けの機体を開発できないか、空軍に調査を打診するかを検討していると、ロイター通信が伝えた。
これは、現在、F-4戦闘機の後継機について、F-22が導入できるのであれば、どれだけでも支出する姿勢を日本の防衛省が見せているため、とされ、特にF-22から、高度に機密性を有する部分などを省略した場合に要する費用は10億ドル程度とされ、こうして機密部分を取り除いたF-22輸出仕様を開発できないかを空軍に打診するかが論点となっている。他方、こうした機体を開発し、輸出を議会が承認するには時間を要し、はたしてF-4の後継機として間に合うかは難しいところだ。
北朝鮮の核実験をうけ、日本では策源地攻撃に関する議論、特に新防衛大綱への盛り込みが、特に自民党内部で盛んだが、トマホークなどの装備品導入について、アメリカのオバマ政権は日本が独力で抑止力を高めるのであれば、出来る限り支援する、との姿勢もみられ、F-22についても可能性の再浮上には、こうした背景もあるのかもしれない。
一方で、策源地攻撃能力や、弾道ミサイル防衛、さらに比類無き高性能とともに稼働率に限界があり、価格も高く、維持費も高いF-22の導入は、他の従来型脅威や、国際貢献任務への自衛隊の本質的能力の維持と向上に必要な予算へも食い込んでしまうこととなり、如何にして均衡を採るか、重要となろう。
HARUNA
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