◆貨車の面からみた北方機動
協同転地演習自衛隊鉄道貨物輸送。昨日は、JR貨物による自衛隊輸送、というかたちで掲載したのだが、本日は、もう少し踏み込んだ面から掲載してみたい。
私鉄、特にパノラマカーを中心に撮影し、ブルートレインばかりを追いかけてきた小生、自衛隊機材鉄道輸送とはいえ、貨物列車だけを撮影に足を運ぶのは初めてで、貨物時刻表というものの存在も数年前まで知らなかったほど。そんななか、貨物輸送にも詳しい方にお教えいただいた内容を中心に掲載。餅は餅屋、という気もするのだけれども、本ブログにて掲載。
今回の自衛隊貨物列車は、牽引がEF-65電気機関車PF1094で、牽引した自衛隊装備が、78式戦車回収車1両、資材運搬車6両、小型ドーザ6両という編成。ちなみに、貨車の中には、協同転地演習以外ではほとんど見かけないようなものも運行されており、老朽化も著しいとのことだ。
78式戦車回収車を運搬するチキ7000。チキ7000は35㌧の積載が可能な汎用の長物車であるので、全備重量38.9㌧の78式戦車回収車は本来搭載できないのだが、履帯やカバー、ドーザーブレードなど取り外せるものはすべて取り外して35㌧に収めた模様。これは、言いかえれば74式戦車であっても砲塔を取り外せば運搬は可能なのだろうか。
チキ7129貨車。東高島駅常備の貨車ということが書かれている。東高島駅は横浜にあるJR貨物が管理する貨物駅だ。JR貨物には、チキ5500型として、37㌧ロングレール輸送用の貨車があるのだが、路盤が一応この重量には対応しているというのならば、技術的には空虚重量36㌧、全備重量38㌧の74式戦車も搭載できるのかな、とも思う次第。
資材運搬車を輸送するのもチキ7000型。資材運搬車は、全長4.3㍍、幅2.15㍍、全高2.185㍍で重量は5㌧。資材運搬車の前後のスペースを見ると、もう一両充分搭載できそうな印象だ。ちなみに、78式戦車回収車は、全備重量38.9㌧、全長7.95㍍、幅はスペードを取り外した状態で3.18㍍、全高2.4㍍となっている。
チキ7000型は、新興駅常備車両。新興駅は、横浜市のJR貨物が管理する貨物駅で、東高島駅と同じく、東海道本線貨物支線の貨物駅。ちなみにJR貨物ではチサ9000型という、74式特大トラックの搭載も可能な貨車が運用されており、こちらのほうが北方機動の際には有用な装備とも思えたりする。
トラは、名古屋臨海鉄道東港駅の無蓋貨車。昨日掲載した記事にも載せたが、鉄鉱石や砂利などを輸送する貨車、しかし、鉄道車両の台車などの部品も輸送することがあるようだ。運搬している小型ドーザは、重量が3.79~5.13㌧。排土板やバックホーの取り付けにより、全長や重量が変化するとのこと。
ご覧のとおり木製で、老朽化はかなり進んでいるようだ。C.ジョニー氏曰く、車両の老朽化がこのまま進んだ場合は、鉄道輸送を今後も実施するならば防衛予算により私有貨車を調達する必要が出てくるのかも、とも。ちなみに陸上自衛隊には、1960年から1966年までの間、鉄道任務にあたる第101建設隊という部隊があった。
第101建設隊は、その短い部隊史にて、国鉄払下げの9600型蒸気機関車を用いた運転や整備の訓練、ポイントや信号機操作、車両連結、測量や線路建設と保線作業、鉄道用の架橋工事などの訓練を実施、新潟38豪雪や新潟地震などの災害派遣に伴う線路復旧とともに、島松、霞ヶ浦、古河、桂などの補給処での専用線工事なども実施したとのこと。ちなみに、朝霞駐屯地には、鉄道輸送訓練の機材などが置かれているのだとか。そこまではいかずとも、鉄道網が整備された日本。鉄道を用いた自衛隊輸送は、もっと活発に行われてもいいのかな、とも思った次第。
HARUNA
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