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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

国連安保理北朝鮮制裁へ 核実験を受け新決議案を合意

2009-06-11 21:13:15 | 国際・政治

◆実効性を持たせることが今回の目的

 10日、北朝鮮核実験を受け、国連安全保障理事会が米英仏ロ中の5常任理事国と日韓の七カ国で、北朝鮮制裁に関する新決議案で合意に達した。

Img_1386  新決議の内容は、北朝鮮への船舶の貨物検査強化、及び人道目的を除く北朝鮮への融資や援助を禁止した金融制裁などが盛り込まれた。船舶の貨物検査は、いわゆる臨検にあたり、この臨検を通じ、事実上の海上封鎖も可能な内容が検討されたが、強制的な臨検ではなく、要請する、と表現が弱められ“公海上では船舶が所属する国の同意が必要”との文言も盛り込まれている。

Img_5652  また、弾道ミサイル実験を受け、今回の決議案により、北朝鮮に対しては、小火器を除くすべての武器の輸出が禁止され、航空機や対艦ミサイル、対戦車ミサイルなどの国産能力を持たない北朝鮮では、通常戦力の稼働率確保や維持に大きな問題が生じることとなる。政府は、今回の国連安保理決議案を受け、日本の領海内夜行海上での船舶検査を行うための整備について、検討を開始しているとのこと。

Img_5013  中曽根外務大臣は、必要な対応や措置は当然採っていかなければならないと思います、と表明、高須国連大使は、100点満点ではないが、それはどこの国でもそうであり、今回の決議案の合意内容は中国が当初考えていた内容以上に強い内容だと思う、と会見で述べた。この決議案は、強制力を持たせるか否かで、米中の激しい駆け引きがあったものの、勧告などではなく、法的拘束力を有する安保理決議というかたちで各国が合意に至ったことが重要であろう。

Img_0831  この決議は、実は非常に重いもので、例えば海上での臨検は、国際法上の武力行使にあたるのだが、安保理決議により認められたことで、臨検を行使する権限を国連から授与されたこととなり、この決議案が採択されれば、北朝鮮に向かう船舶や航空機に対する臨検は、国連憲章が禁じた武力行使に含まれないことを意味する。

Img_7421_1  また、臨検を行う艦船は、勝手に北朝鮮沿岸を艦砲射撃したりすることは国連憲章の上では禁じられているものの、臨検の際に、北朝鮮の海軍艦艇やそれに準じる組織から攻撃を受けた際、安全保障理事会が必要な措置を採るまでの間、反撃や策源地攻撃、つまり国際法上の自衛権を行使することは、可能である。実効性を持たせることが重要であるとした、外務省や日本政府の目的は、達せられる内容といえる。

HARUNA

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