◆ヘリコプター大編隊を見上げる
北大路機関の自衛隊関連行事速報として幾度も紹介しましたPowerShotG-16撮影速報もOCNブログでは恐らく今回が最後となり、次回はGOOブログへの移転を迎える事となりそうです。
八尾駐屯地創設60周年中部方面航空隊創立52周年記念行事、大阪府の八尾駐屯地に位置する陸上自衛隊の航空部隊駐屯地にて盛大に執り行われました。八尾駐屯地は現在でこそ、小型機専用空港、少し前ですと調布飛行場と並び全国でも稀有なカード決済不能ないつもニコニコ現金払いの空港として知られたところ。
しかし、八尾空港は大阪第一空港として、伊丹空港が朝鮮戦争に合わせての進駐軍による国連軍航空拠点としての拡張工事を請けるまでは大都市大阪は空の玄関口として位置づけられた大阪第一空港、という位置づけにあったのです。滑走路もふたつ在りますし、ね。
この八尾駐屯地は中部方面隊直轄の中部方面航空隊と第3師団隷下の第3飛行隊が駐屯、中部方面航空隊は航空部隊として多用途ヘリコプター定数20機をもつ中部方面ヘリコプター隊がここ八尾に、対戦車ヘリコプター16機を定数とする第5対戦車ヘリコプター隊が三重県明野に駐屯しています。
駐屯地の立地は大阪府南部、関西本線志紀駅から徒歩15分、大阪湾からは15kmの距離を隔てており防衛にも防災にも重要な拠点となる立地とともに志紀駅から関西本線を七駅ほど進むと法隆寺駅、という奈良県との県境に近い場所に位置しています。関西本線を利用すれば大阪からは非常に近い。
八尾駐屯地はヘリコプター部隊の一大拠点ですが、実は当方、この立地を知っていたからこそ、今住宅街に近いということで話題の沖縄普天間基地について、実際に足を運んだ際に物凄い違和感を感じたことを思い出します。八尾駐屯地は住宅街に隣接し志紀中学校に隣接、滑走路から400mのところに大正北小学校に大正小学校や大正中学と柏原高校があるのです。
此処を知っているからこそ、当初普天間の話を聞きますと、それこそ嵐電や京阪京津線と住宅の距離のように誘導路の脇が宜野湾市住宅街とか、格納庫の隣にアパートが、というような印象を受けましたし、実際誇張してすぐ隣ですよ、と語る方も居ましたので、本当に隣にあって手を伸ばせば機体に触れられるような印象を持っていたのですが、実際は物凄く距離がありました。
大阪第一空港ということですので、近くには関西本線の他に八尾空港の側ですが地下鉄谷町線八尾南駅があり、ここは空港敷地までは400mほどですが八尾駐屯地正門までは2.5kmほど、志紀駅から900mのところには近鉄大阪線法善寺駅があり、京阪神大都市圏からは非常に近いところに或るのです。
そして航空部隊駐屯地ですが敷地は空港ですので、あまり広い場所を一般開放することが出来ず、そして航空部隊には普通科部隊程の人員の余裕もありませんのでスタンド席の設置などは出来ません、其処に高い交通の利便性と共に大勢が足を運びますので、会場は非常に混む。
八尾駐屯地祭の人口密度の大きさは、伊丹駐屯地祭や千僧駐屯地祭よりも大きく、富士学校祭なみ、というところでしょうか。更には航空自衛隊の航空祭は繰り返し飛行展示が行われるので被写体は空を飛びますがこちらは陸上自衛隊、編隊飛行は大編隊一回のみで編隊離陸や模擬戦などは地上で行われるのですから、当然最前列付近にいなければ何も見えない。
しかし、それでも多くの来場者を集めるのは近いという事ももちろん大きでしょうが、ヘリコプターの大編隊を見られる、立体模擬戦が凄い、といいますようにやはり八尾でしか見られない、つまり此処でしか見られないものがあるのだ、という部分が大きいのでしょう。
それにしても相変わらずの人口密度、年々すごくなっている印象がありまして、いつも挨拶する方がこの日に限って全然見えない、式典終了後に挨拶を交わした際の二言目はどちらにいらしてました、と。友人も後になって来ていたのかあ、と気づくほどのありさまで、凄いねえ、と苦笑い。
八尾駐屯地祭の凄いところは人口密度に行数を割いてしまいましたが、やはり大編隊、ワルシャワフィルが奏でるワルキューレの騎行が聞こえてきそうで、実際に聞こえるのは中部方面音楽隊の祝典ギャロップなのですが、迫力があります、ここ数年で大編隊の規模は縮小してしまっているのが残念ではありますが。
八尾駐屯地上空へ16機のヘリコプター編隊が観閲飛行、駐屯地全体の観衆が沸きかえる瞬間です。気づかされたのは多用途ヘリコプターからUH-1Hが完全に姿をけし、UH-1Jへ置き換えられていたこと、UH-1Hは用途廃止機が地上展示機に加わってはいましたが、一応近代化されたとともに、全体の機数に影響がないか、というところ。
空中機動は近年の形態防空火器の発展とともに単体での強襲から特殊作戦への支援や地上の軽装甲部隊への迅速な補給とを合わせた運動戦の支援へ趨勢が大きく転換しつつあり、特に自衛隊は早い時期から空中機動の重要性に着目し部隊整備を進めてきた歴史があるため、今後とも新しい時代を更に先取りできる運用の研究を期待したいところです。
北大路機関:はるな
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