■自衛隊戦闘機数は充分か
対領空侵犯措置任務が1100回を越え、那覇空港で海を眺めていますと高い頻度で緊急発進に出会う事は日常となりました、すると疑問と不安が浮かびます。

戦闘機は充分なのか?、この視点について、特にその可否と共に戦闘機をリース取得する、という視点から考えてみましょう。対領空侵犯措置任務が1100回を越え、東西冷戦の緊張かでも950回を超える事は無かった対領空侵犯措置任務、スクランブル発進の件数増大は直接我が国防衛を左右させないにしろ、緊張緩和に向かっている、とはとてもいえません。

充分なのか、この問いについて回答選択肢を、不充分であるので増勢、充分なので減勢、と二択を提示した場合、確実に言えるのは後者という選択肢は考えられないということです。不充分だが現行機数で対応、という備考欄を選択肢に含めれば回答が集中しそうですが、現状のまま対領空侵犯措置増大が継続した場合は将来いつまで対応できるか、となる。

任務から充分の定義が不明確、という反論があるかもしれません。そこで任務を“平時に現行教育訓練や戦術研究と両立し年間1100回以上の対領空侵犯措置任務を常続実施する”と“有事に際し航空優勢を中長期的に確保し九州南西諸島及び本州と北海道への航空攻撃をほぼ確実に阻止する”及び“対艦攻撃及び偵察と航空阻止任務を両立する”とします。

直ちに影響はない、という回答は意味がありません。脅威の増大度合いは未知数ですが、平時に2007年からの増加度合いが継続されれば対領空侵犯措置は遠からず1500回を越えます。そして増大の意味は、中国空軍が冷戦時代に殆ど有さなかった、南西諸島を戦闘行動半径に含める高性能機の増大を意味し、着実に脅威が増大している事も意味します。増強、という選択肢は長期的には検討課題となりましょう。

F-35増強調達、希望される選択肢はこの一点に尽きます。旧式化進むF-4EJ改2個飛行隊大隊所要42機、F-15J戦闘機203機のうち近代化改修不能のPre-MSIP機99機、2025年頃から2028年頃にかけ飛行耐用年数8000時間に達し、代替にF-35戦闘機141機が必要となります。ここに例えば2個飛行隊分を増強する場合、183機のF-35を取得するとなる。

毎年11機程度のF-35を2028年まで継続調達して初めて現在の勢力を維持できますが、仮に2個飛行隊を増勢する場合、毎年16機のF-35が必要となる。中期防衛力整備計画で毎回80機の調達計画を立てる、ということは現実的に簡単ではありません。自衛隊のF-35調達開始は2012年の4機から2017年度予算まで合計28機、戦闘機数現状維持も難しい。

リースという選択肢は、航空自衛隊にとり、数年間の非正規契約という形で戦闘機を一時的に数的補填を行う、という利点があります。F-35の数が揃うまでの補填、必ずしも性能が充分でなくとも返還する選択肢がある為、冗長性がある。特に自衛隊機は武器輸出三原則の関係上第三国へ防衛装備を売却する事は簡単ではない事が調達を複雑化させています。

JAS-39,スウェーデン製軽量4.5世代戦闘機ですが、この機体は空軍余剰機等がリースされる事例があります。2001年にハンガリー空軍が14機を9年間リースする場合の想定が5億6000万ドル、2004年チェコとの14機10年貸与契約は7億5000万ドルでした。満了後は安価に売却するオプションがあり、開発国スウェーデン空軍余剰機は即納可能、と。

スウェーデンからリース、補正予算の枠内で行う事が可能です。リース契約は一種の一括契約である為、防衛予算に示された装備調達ではなく、リース契約として調達の枠外で行う選択肢があります。勿論、リース費用は1機あたりF-35戦闘機調達の50%に当り、必ずしも安価とはいえません。気に入らなければ返還、補正予算で導リース可能、選択肢に含められるのでは、と考えます。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
対領空侵犯措置任務が1100回を越え、那覇空港で海を眺めていますと高い頻度で緊急発進に出会う事は日常となりました、すると疑問と不安が浮かびます。

戦闘機は充分なのか?、この視点について、特にその可否と共に戦闘機をリース取得する、という視点から考えてみましょう。対領空侵犯措置任務が1100回を越え、東西冷戦の緊張かでも950回を超える事は無かった対領空侵犯措置任務、スクランブル発進の件数増大は直接我が国防衛を左右させないにしろ、緊張緩和に向かっている、とはとてもいえません。

充分なのか、この問いについて回答選択肢を、不充分であるので増勢、充分なので減勢、と二択を提示した場合、確実に言えるのは後者という選択肢は考えられないということです。不充分だが現行機数で対応、という備考欄を選択肢に含めれば回答が集中しそうですが、現状のまま対領空侵犯措置増大が継続した場合は将来いつまで対応できるか、となる。

任務から充分の定義が不明確、という反論があるかもしれません。そこで任務を“平時に現行教育訓練や戦術研究と両立し年間1100回以上の対領空侵犯措置任務を常続実施する”と“有事に際し航空優勢を中長期的に確保し九州南西諸島及び本州と北海道への航空攻撃をほぼ確実に阻止する”及び“対艦攻撃及び偵察と航空阻止任務を両立する”とします。

直ちに影響はない、という回答は意味がありません。脅威の増大度合いは未知数ですが、平時に2007年からの増加度合いが継続されれば対領空侵犯措置は遠からず1500回を越えます。そして増大の意味は、中国空軍が冷戦時代に殆ど有さなかった、南西諸島を戦闘行動半径に含める高性能機の増大を意味し、着実に脅威が増大している事も意味します。増強、という選択肢は長期的には検討課題となりましょう。

F-35増強調達、希望される選択肢はこの一点に尽きます。旧式化進むF-4EJ改2個飛行隊大隊所要42機、F-15J戦闘機203機のうち近代化改修不能のPre-MSIP機99機、2025年頃から2028年頃にかけ飛行耐用年数8000時間に達し、代替にF-35戦闘機141機が必要となります。ここに例えば2個飛行隊分を増強する場合、183機のF-35を取得するとなる。

毎年11機程度のF-35を2028年まで継続調達して初めて現在の勢力を維持できますが、仮に2個飛行隊を増勢する場合、毎年16機のF-35が必要となる。中期防衛力整備計画で毎回80機の調達計画を立てる、ということは現実的に簡単ではありません。自衛隊のF-35調達開始は2012年の4機から2017年度予算まで合計28機、戦闘機数現状維持も難しい。

リースという選択肢は、航空自衛隊にとり、数年間の非正規契約という形で戦闘機を一時的に数的補填を行う、という利点があります。F-35の数が揃うまでの補填、必ずしも性能が充分でなくとも返還する選択肢がある為、冗長性がある。特に自衛隊機は武器輸出三原則の関係上第三国へ防衛装備を売却する事は簡単ではない事が調達を複雑化させています。

JAS-39,スウェーデン製軽量4.5世代戦闘機ですが、この機体は空軍余剰機等がリースされる事例があります。2001年にハンガリー空軍が14機を9年間リースする場合の想定が5億6000万ドル、2004年チェコとの14機10年貸与契約は7億5000万ドルでした。満了後は安価に売却するオプションがあり、開発国スウェーデン空軍余剰機は即納可能、と。

スウェーデンからリース、補正予算の枠内で行う事が可能です。リース契約は一種の一括契約である為、防衛予算に示された装備調達ではなく、リース契約として調達の枠外で行う選択肢があります。勿論、リース費用は1機あたりF-35戦闘機調達の50%に当り、必ずしも安価とはいえません。気に入らなければ返還、補正予算で導リース可能、選択肢に含められるのでは、と考えます。
北大路機関:はるな くらま
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