■現実化する核攻撃の脅威
北朝鮮の核開発と弾道ミサイル脅威は、懸念から現実的脅威として世界的に認識されつつあります。
防衛省によれば本日0939時頃、北朝鮮西岸のクソン付近から弾道ミサイル1発が発射され、40分間飛行を続けた後、秋田県の男鹿半島から西300km、日本海の排他的経済水域内に落下したとの事です。飛翔距離は900km、この距離は従来の短距離弾道弾であれば十数分の所要時間ですが何故40分も飛翔したのか、この理由はロフテッド軌道を採った為でした。
2500kmの高高度に今回のミサイル実験で飛翔したとみられます。ロフテッド軌道とはこうした異常に高い高高度を飛翔する軌道で、落下速度が異常に高速化するという軌道です。また、到達高度の高さは同時に弾道ミサイルの長射程化という意味も含めており、北朝鮮ミサイル開発は、繰り返される弾道ミサイル実験と共に着実に脅威度が増大しています。
大陸間弾道弾の開発、北朝鮮が目指すのは太平洋を越えてアメリカ本土まで到達するミサイルの開発です。そして開発中の核弾頭を小型化、アメリカ本土へ攻撃を加える能力を整備する事が最終的な目的とし、核兵器による恫喝を以て、北朝鮮体制の安定化、突き詰めれば北朝鮮がアメリカの同盟国である韓国と南北朝鮮を統合する際の不関与を求めるもの。
朝鮮戦争により南北に分断した朝鮮半島の再統一は北朝鮮と韓国共に南北の悲願であると共に、統一後の政治体制を民主主義を基調とし世界との自由貿易を以て世界の大国を目指す韓国と、朝鮮労働党と世襲制社会主義の体制を維持しつつ統一を果たすという手法の相違があり、同床異夢という状況ですが、韓国は長く北朝鮮の地上侵攻を警戒してきました。
日本は既に1993年に実施されたノドンミサイルの日本海への発射実験により、その射程が1300kmに達するとされた事から、東京を含む本州の大半と九州四国の全域、北海道の一部が北朝鮮弾道ミサイルの射程内にあります。この為、北朝鮮弾道ミサイル射程が伸びる事は既に脅威ではありません、日本への脅威を既に超えてしまった状況にあるといっていい。
ミサイル防衛として自衛隊は既に一兆円以上の費用を投じて装備を調達しています。イージス艦へのミサイル防衛能力付与改修、アメリカのイージス艦搭載スタンダードSM-3ミサイル開発への日本参加、航空自衛隊レーダーサイトへの宇宙弾道ミサイル飛翔監視能力付与、射程15kmで世界唯一弾道ミサイル迎撃可能なペトリオットミサイルPAC-3配備など。
弾道ミサイル迎撃は従来難しいとされてきました、弾道ミサイルとは宇宙空間を経由し目標へ命中するミサイルです。弾道ミサイルは宇宙空間を経由し極超音速に達し、落下する為に撃墜しても結局落ちる。探知技術と迎撃ミサイルの制御、目標発見から捕捉までの短時間化により迎撃技術を実現しました。首都中枢と一部地方で迎撃態勢を構築しています。
ロフテッド軌道の脅威度は、ミサイル防衛の難易度をもう一段高める事となります。飛翔時間が長い為に迎撃準備を行う時間的余裕は大きくなりますが、ここまで高高度から落達したならば落下速度が秒速8kmに達し、ノドンミサイルの秒速3kmより高速です。弾道ミサイル迎撃は落下するミサイルの弾頭に確実に命中し破壊せねばならず難易度は高まる。
政府は現在全国の高射隊に配備される射程15kmのPAC-3に加えイージス艦が運用する射程1300kmのSM-3による日本全土の防空を実現するべく陸上型イージスシステム“イージスアショア”の配備を検討していますが、SM-3は中間段階という宇宙空間での迎撃を想定したミサイルである為、着弾直前の終末段階の迎撃能力は限られ、ロフテッド軌道はその難易度を更に高める懸念があります。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
北朝鮮の核開発と弾道ミサイル脅威は、懸念から現実的脅威として世界的に認識されつつあります。
防衛省によれば本日0939時頃、北朝鮮西岸のクソン付近から弾道ミサイル1発が発射され、40分間飛行を続けた後、秋田県の男鹿半島から西300km、日本海の排他的経済水域内に落下したとの事です。飛翔距離は900km、この距離は従来の短距離弾道弾であれば十数分の所要時間ですが何故40分も飛翔したのか、この理由はロフテッド軌道を採った為でした。
2500kmの高高度に今回のミサイル実験で飛翔したとみられます。ロフテッド軌道とはこうした異常に高い高高度を飛翔する軌道で、落下速度が異常に高速化するという軌道です。また、到達高度の高さは同時に弾道ミサイルの長射程化という意味も含めており、北朝鮮ミサイル開発は、繰り返される弾道ミサイル実験と共に着実に脅威度が増大しています。
大陸間弾道弾の開発、北朝鮮が目指すのは太平洋を越えてアメリカ本土まで到達するミサイルの開発です。そして開発中の核弾頭を小型化、アメリカ本土へ攻撃を加える能力を整備する事が最終的な目的とし、核兵器による恫喝を以て、北朝鮮体制の安定化、突き詰めれば北朝鮮がアメリカの同盟国である韓国と南北朝鮮を統合する際の不関与を求めるもの。
朝鮮戦争により南北に分断した朝鮮半島の再統一は北朝鮮と韓国共に南北の悲願であると共に、統一後の政治体制を民主主義を基調とし世界との自由貿易を以て世界の大国を目指す韓国と、朝鮮労働党と世襲制社会主義の体制を維持しつつ統一を果たすという手法の相違があり、同床異夢という状況ですが、韓国は長く北朝鮮の地上侵攻を警戒してきました。
日本は既に1993年に実施されたノドンミサイルの日本海への発射実験により、その射程が1300kmに達するとされた事から、東京を含む本州の大半と九州四国の全域、北海道の一部が北朝鮮弾道ミサイルの射程内にあります。この為、北朝鮮弾道ミサイル射程が伸びる事は既に脅威ではありません、日本への脅威を既に超えてしまった状況にあるといっていい。
ミサイル防衛として自衛隊は既に一兆円以上の費用を投じて装備を調達しています。イージス艦へのミサイル防衛能力付与改修、アメリカのイージス艦搭載スタンダードSM-3ミサイル開発への日本参加、航空自衛隊レーダーサイトへの宇宙弾道ミサイル飛翔監視能力付与、射程15kmで世界唯一弾道ミサイル迎撃可能なペトリオットミサイルPAC-3配備など。
弾道ミサイル迎撃は従来難しいとされてきました、弾道ミサイルとは宇宙空間を経由し目標へ命中するミサイルです。弾道ミサイルは宇宙空間を経由し極超音速に達し、落下する為に撃墜しても結局落ちる。探知技術と迎撃ミサイルの制御、目標発見から捕捉までの短時間化により迎撃技術を実現しました。首都中枢と一部地方で迎撃態勢を構築しています。
ロフテッド軌道の脅威度は、ミサイル防衛の難易度をもう一段高める事となります。飛翔時間が長い為に迎撃準備を行う時間的余裕は大きくなりますが、ここまで高高度から落達したならば落下速度が秒速8kmに達し、ノドンミサイルの秒速3kmより高速です。弾道ミサイル迎撃は落下するミサイルの弾頭に確実に命中し破壊せねばならず難易度は高まる。
政府は現在全国の高射隊に配備される射程15kmのPAC-3に加えイージス艦が運用する射程1300kmのSM-3による日本全土の防空を実現するべく陸上型イージスシステム“イージスアショア”の配備を検討していますが、SM-3は中間段階という宇宙空間での迎撃を想定したミサイルである為、着弾直前の終末段階の迎撃能力は限られ、ロフテッド軌道はその難易度を更に高める懸念があります。
北大路機関:はるな くらま
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