■ネットワーク型部隊の災害対処
3.11型十万名動員部隊体系の将来改編,現行の態勢を維持する事の軍事技術的な難しさを前回示し新しいローラー作戦の方式が求められると、しました。
新技術と新しいローラー作戦の方法論が求められる、この視点は特にデータリンク能力に依拠する情報共有を前提とする現在の陸上防衛力体系が、結果的に電子機材等の取得費用を第一線から後方支援部隊に上級司令部まで包括的に増大させる事を意味し、必然的に陸上防衛力を量から質へ転換させる、という事を意味し、結果人員規模縮小に収斂する。
新師団通信システムとして開発された野外通信システムFC- Systemの整備により陸上自衛隊のデータリンク体制は大きく前進する事となりました。昨年中央観閲式に登場、本年も第12旅団、第1師団、第8師団、第3師団と今年も多くの師団旅団行事が行われましたが、従来の師団通信システムDICSは一挙に野外通信システムへ置き換えられたかたち。
広帯域多目的無線機コータムの部隊配備は大車輪で進められていました。広帯域多目的無線機コータム、新型無線機であるHF&VHF&UHF周波数帯域対応のコータム、音声通信に併せデータ通信能力が付与されており、ここ数年間でコータム搭載の太い通信アンテナを搭載する戦車等が全国の部隊行事で普遍的に視る事が出来るようになっていました。
巨大災害と野外通信システムFC- System、この関係性ですが東日本大震災と野外通信システムFC- Systemの普及は無関係ではありません。これは自衛隊が10万名という大規模な部隊を被災地へ展開した際、派遣部隊毎に無線機の新旧に格差があり、指揮通信体系という視点から現地にて、情報共有に限界が生じてしまったとの痛恨の戦訓があった訳です。
基幹連隊指揮統制システムReCsとして自衛隊では第2師団と第6師団を実験部隊として、21世紀型戦闘に対応する陸上作戦体系の戦術ネットワーク構築へデータリンク能力基盤の整備を進めていました。野外通信システムFC- Systemは基幹連隊指揮統制システムReCsのデータリンク能力を継承するもので、陸上自衛隊は一挙に戦術体系を近代化し他訳です。
野外通信システムFC- Systemは可搬通信速度11Mbpsというデータリンク能力を有しています。従来の基幹連隊指揮統制システムReCsは実験部隊配備が2007年という時代背景もあり可搬通信速度128Kbps程度であったとの事ですから、連隊規模での共通状況図の送受信に非常に多くの時間を要し、第一線部隊での評価は芳しいものではありませんでした。
可搬通信速度11Mbpsといわれる通信速度、ポケットWifiならば簡単と思われるかもしれませんが、離島や電子戦状況の中で独立して自衛隊のみが電子通信基盤を構築する能力は、街中のアンテナに依存する平時の感覚では中々想定できないものです。しかし、量産される民需通信が施設費を反映し高価であるのと同じく、自衛隊通信基盤整備も安価ではない。
TOUGHBOOKを中隊単位で配備し小隊や小銃班単位で情報端末を普及させ、可搬通信速度11Mbpsにより即座に情報を共有する、アメリカ軍でも採用のパナソニック製TOUGHBOOKが象徴する21世紀型戦闘の姿ではありますが、御承知の通りTOUGHBOOKは高価です。この種の端末を大量普及させるという事が新しい課題の一つ。
新技術と新しいローラー作戦の方法論が求められる、との視点は人員によるローラー作戦ではなく、情報によるローラー作戦への転換、例えば被災地の孤立地域や必要物資等の情報を野外通信システムFC- Systemにより共有し、被災地避難所や孤立地域の必要な物資や医療支援等の在り方、生存者捜索への無人機情報活用等へ昇華させる必要があるでしょう。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
3.11型十万名動員部隊体系の将来改編,現行の態勢を維持する事の軍事技術的な難しさを前回示し新しいローラー作戦の方式が求められると、しました。
新技術と新しいローラー作戦の方法論が求められる、この視点は特にデータリンク能力に依拠する情報共有を前提とする現在の陸上防衛力体系が、結果的に電子機材等の取得費用を第一線から後方支援部隊に上級司令部まで包括的に増大させる事を意味し、必然的に陸上防衛力を量から質へ転換させる、という事を意味し、結果人員規模縮小に収斂する。
新師団通信システムとして開発された野外通信システムFC- Systemの整備により陸上自衛隊のデータリンク体制は大きく前進する事となりました。昨年中央観閲式に登場、本年も第12旅団、第1師団、第8師団、第3師団と今年も多くの師団旅団行事が行われましたが、従来の師団通信システムDICSは一挙に野外通信システムへ置き換えられたかたち。
広帯域多目的無線機コータムの部隊配備は大車輪で進められていました。広帯域多目的無線機コータム、新型無線機であるHF&VHF&UHF周波数帯域対応のコータム、音声通信に併せデータ通信能力が付与されており、ここ数年間でコータム搭載の太い通信アンテナを搭載する戦車等が全国の部隊行事で普遍的に視る事が出来るようになっていました。
巨大災害と野外通信システムFC- System、この関係性ですが東日本大震災と野外通信システムFC- Systemの普及は無関係ではありません。これは自衛隊が10万名という大規模な部隊を被災地へ展開した際、派遣部隊毎に無線機の新旧に格差があり、指揮通信体系という視点から現地にて、情報共有に限界が生じてしまったとの痛恨の戦訓があった訳です。
基幹連隊指揮統制システムReCsとして自衛隊では第2師団と第6師団を実験部隊として、21世紀型戦闘に対応する陸上作戦体系の戦術ネットワーク構築へデータリンク能力基盤の整備を進めていました。野外通信システムFC- Systemは基幹連隊指揮統制システムReCsのデータリンク能力を継承するもので、陸上自衛隊は一挙に戦術体系を近代化し他訳です。
野外通信システムFC- Systemは可搬通信速度11Mbpsというデータリンク能力を有しています。従来の基幹連隊指揮統制システムReCsは実験部隊配備が2007年という時代背景もあり可搬通信速度128Kbps程度であったとの事ですから、連隊規模での共通状況図の送受信に非常に多くの時間を要し、第一線部隊での評価は芳しいものではありませんでした。
可搬通信速度11Mbpsといわれる通信速度、ポケットWifiならば簡単と思われるかもしれませんが、離島や電子戦状況の中で独立して自衛隊のみが電子通信基盤を構築する能力は、街中のアンテナに依存する平時の感覚では中々想定できないものです。しかし、量産される民需通信が施設費を反映し高価であるのと同じく、自衛隊通信基盤整備も安価ではない。
TOUGHBOOKを中隊単位で配備し小隊や小銃班単位で情報端末を普及させ、可搬通信速度11Mbpsにより即座に情報を共有する、アメリカ軍でも採用のパナソニック製TOUGHBOOKが象徴する21世紀型戦闘の姿ではありますが、御承知の通りTOUGHBOOKは高価です。この種の端末を大量普及させるという事が新しい課題の一つ。
新技術と新しいローラー作戦の方法論が求められる、との視点は人員によるローラー作戦ではなく、情報によるローラー作戦への転換、例えば被災地の孤立地域や必要物資等の情報を野外通信システムFC- Systemにより共有し、被災地避難所や孤立地域の必要な物資や医療支援等の在り方、生存者捜索への無人機情報活用等へ昇華させる必要があるでしょう。
北大路機関:はるな くらま
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