■元護衛艦しらね舞鶴出港
元護衛艦しらね、舞鶴出港しました。ミサイル実験標的艦としての出港です。その様子をEOS-M3にて撮影しましたのでご紹介しましょう。
ヘリコプター搭載護衛艦しらね、2015年に新護衛艦いずも竣工をもって自衛艦旗を返納、舞鶴にて除籍されました。長く海上自衛隊の象徴的護衛艦として横須賀を母港としていた護衛艦しらね、全通飛行甲板型護衛艦である新護衛艦ひゅうが竣工とともに、転籍します。
ここ舞鶴を新しい母港として転籍、その後は日本海防衛の任務にあたっていました。除籍された護衛艦はどうなるのか、諸外国では歴史的水上戦闘艦などは保存運動の機運に応じて洋上博物館として長く維持されることもあるのですが、我が国では非常に例外的です。
旧海軍戦艦三笠、呉の潜水艦あきしお、砕氷艦しらせ、砕氷艦ふじ、と保存される自衛艦や旧海軍艦艇は希有となっています。すると多くの護衛艦は民間業者へ解体用に払い下げ解体という運命をたどるのですが、中には最後のご奉公として標的艦となる艦もあります。
元護衛艦しらね、は今回、防衛装備長が開発する新型対艦ミサイルXASM-3の標的艦となることが決定し、このほど舞鶴を出航しました。舞鶴での除籍後、一時は舞鶴港内に係留、そのようすは前島埠頭新日本海フェリーのターミナルビルから近く、よくみえていました。
除籍同年には練習艦隊近海練習航海旗艦として全国を巡航していました護衛艦くらま、しらね型二番艦とも港内で最後の再開を果たしています。そしてその後、江田島にて標的艦への改修を実施し2017年に久々に舞鶴へ戻りました。曳船に引かれ自力航行は出来ません。
ヘリコプター搭載護衛艦の優美な艦容は、除籍の時点で52番砲を撤去するなど、厳しい我が国周辺情勢へ除籍艦からも艦砲を流用せねばならぬ実状です。標的艦となったのちには蒸気タービン艦の艦影を示すマック構造が全て撤去され、往事の面影を僅かに残すのみ。
XASM-3、防衛装備庁が開発するF-2支援戦闘機用の最新型の空対艦ミサイルです。この特色は超音速低空飛行能力にあり、従来、亜音速で超低空を目標の艦船に向かっていたミサイルに難しい超音速巡航能力を付与し、多様な新技術を盛り込んだ最新型ミサイルです。
冷戦後は1980年に制式となったASM-1,1993年に制式となった改良型で射程延伸型のASM-2が運用されていましたが、開発は一時延期されています。ASM-1からASM-2へは射程だけでも40kmから150kmへと大幅に延伸しており、性能は大きく強化されている。
中国の海洋進出、空母部隊建造など、日本の周辺情勢は徐々に緊迫度を増し、ASM-2での対応は徐々に難しくなったため、新たにXASM-3の開発が再開されました。現在は航空自衛隊岐阜基地飛行開発実験団が開発支援に当たり、F-2での搭載試験が継続的に実施中です。
XASM-3は空母キラーというべき新型ミサイルで、その搭載試験用筐体は岐阜基地航空祭でも展示されていました。超音速低空飛行は相手がレーダーで捕捉後、迎撃へ着手する時間的余裕を講じる前に命中させることを目的として、新しい脅威へも対応できましょう。
新護衛艦かが舞鶴入港、この日に元護衛艦しらね、は舞鶴にて最新鋭の護衛艦かが、を貨物船の影から出迎え、午後に3隻の曳船により舞鶴を出航しました。現在は日本海洋上に遊弋していると考えられます。なお、現在日本海でロシア艦艦隊16隻が行動中とのこと。
舞鶴親海公園から、出港の情景を撮影、このまま試験が延期されたならば舞鶴へ戻ることもあるのかもしれませんが、XASM-3の実射試験が実施されたならば、今度こそその任務を終えることとなるでしょう。そして日本海の海底から我が国を見守り続けるのですね。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
元護衛艦しらね、舞鶴出港しました。ミサイル実験標的艦としての出港です。その様子をEOS-M3にて撮影しましたのでご紹介しましょう。
ヘリコプター搭載護衛艦しらね、2015年に新護衛艦いずも竣工をもって自衛艦旗を返納、舞鶴にて除籍されました。長く海上自衛隊の象徴的護衛艦として横須賀を母港としていた護衛艦しらね、全通飛行甲板型護衛艦である新護衛艦ひゅうが竣工とともに、転籍します。
ここ舞鶴を新しい母港として転籍、その後は日本海防衛の任務にあたっていました。除籍された護衛艦はどうなるのか、諸外国では歴史的水上戦闘艦などは保存運動の機運に応じて洋上博物館として長く維持されることもあるのですが、我が国では非常に例外的です。
旧海軍戦艦三笠、呉の潜水艦あきしお、砕氷艦しらせ、砕氷艦ふじ、と保存される自衛艦や旧海軍艦艇は希有となっています。すると多くの護衛艦は民間業者へ解体用に払い下げ解体という運命をたどるのですが、中には最後のご奉公として標的艦となる艦もあります。
元護衛艦しらね、は今回、防衛装備長が開発する新型対艦ミサイルXASM-3の標的艦となることが決定し、このほど舞鶴を出航しました。舞鶴での除籍後、一時は舞鶴港内に係留、そのようすは前島埠頭新日本海フェリーのターミナルビルから近く、よくみえていました。
除籍同年には練習艦隊近海練習航海旗艦として全国を巡航していました護衛艦くらま、しらね型二番艦とも港内で最後の再開を果たしています。そしてその後、江田島にて標的艦への改修を実施し2017年に久々に舞鶴へ戻りました。曳船に引かれ自力航行は出来ません。
ヘリコプター搭載護衛艦の優美な艦容は、除籍の時点で52番砲を撤去するなど、厳しい我が国周辺情勢へ除籍艦からも艦砲を流用せねばならぬ実状です。標的艦となったのちには蒸気タービン艦の艦影を示すマック構造が全て撤去され、往事の面影を僅かに残すのみ。
XASM-3、防衛装備庁が開発するF-2支援戦闘機用の最新型の空対艦ミサイルです。この特色は超音速低空飛行能力にあり、従来、亜音速で超低空を目標の艦船に向かっていたミサイルに難しい超音速巡航能力を付与し、多様な新技術を盛り込んだ最新型ミサイルです。
冷戦後は1980年に制式となったASM-1,1993年に制式となった改良型で射程延伸型のASM-2が運用されていましたが、開発は一時延期されています。ASM-1からASM-2へは射程だけでも40kmから150kmへと大幅に延伸しており、性能は大きく強化されている。
中国の海洋進出、空母部隊建造など、日本の周辺情勢は徐々に緊迫度を増し、ASM-2での対応は徐々に難しくなったため、新たにXASM-3の開発が再開されました。現在は航空自衛隊岐阜基地飛行開発実験団が開発支援に当たり、F-2での搭載試験が継続的に実施中です。
XASM-3は空母キラーというべき新型ミサイルで、その搭載試験用筐体は岐阜基地航空祭でも展示されていました。超音速低空飛行は相手がレーダーで捕捉後、迎撃へ着手する時間的余裕を講じる前に命中させることを目的として、新しい脅威へも対応できましょう。
新護衛艦かが舞鶴入港、この日に元護衛艦しらね、は舞鶴にて最新鋭の護衛艦かが、を貨物船の影から出迎え、午後に3隻の曳船により舞鶴を出航しました。現在は日本海洋上に遊弋していると考えられます。なお、現在日本海でロシア艦艦隊16隻が行動中とのこと。
舞鶴親海公園から、出港の情景を撮影、このまま試験が延期されたならば舞鶴へ戻ることもあるのかもしれませんが、XASM-3の実射試験が実施されたならば、今度こそその任務を終えることとなるでしょう。そして日本海の海底から我が国を見守り続けるのですね。
北大路機関:はるな くらま
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