北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都幕間旅情】伏見稲荷大社,大神と農耕-わんだふるぷりきゅあ!人類黎明期の農耕神としてのオオカミ

2025-01-22 20:25:04 | 写真
■バルカとルー
 オオカミについてここまで北大路機関で語るとは自分も考えていなかったのですが。

 赤ずきんが、オオカミを悪者にしたのかなあ、とおもえば、狼と香辛料には頑張ってもらいたい、と切に願い愛蔵版を最近そろえたのですが、とかく、欧米の価値基準ではオオカミは悪者にされている、その背景には牧畜などオオカミの食害に悩んだゆえだから。

 ウルフの語源、これは古代アーリア語のVarkaがそのまま英語でWolf,仏語でLoupとなっています。その語源については略奪者、という意味があるのですが、同時に勇ましい名前でもあり、ローマを滅亡の淵に追いやったハンニバルバルカというような名ともなる。

 ハンニバルバルカを一つ名前として出した訳ですが、その上で忘れてはならないのは、人類の言語の歴史は古代アーリア語よりも更に遡ることができるという点でして、そこまで遡りますと、同時にそれは人類文明の黎明期まで遡ることにはなるのですけれども。

 Varka,古代サクソン語Wulf,古代ノルド語ではUlfr,このあたりはウルフでほぼほぼ共通点を見出せるのです。ここに略奪者という語意を含めるのは、狩猟に際して特に冬季などで獲物が少ない時期においては重大な競合相手であり、また人を襲った歴史もありますが。

 文字、ただ、これを人類の黎明期であるシュメール時代まで遡りますと、大分意味が違ってきます。初期絵文字はエジプト文明において神聖文字へと発達してゆきますが、表意文字は解読は簡単ですが普及がむずかしい、紀元前2800年ごろの後期絵文字から変化が。

 初期楔形文字が成立するのが紀元前2500年ごろですが、表意文字から文字そのもののられつが意味を持つようになりますと、人類文明は大きく飛躍します、それは文字によってでは必ずしもなく、文字を必要とした背景により人類文明が広範に広がるのですが。

 農耕、人類が文字を必要とする背景には、狩猟採集の時代には文字はそれほど必要とされませんでした、職業の分化、ここが文字を必要とする背景に繋がるのです。それは保管可能な農作物に価値が生まれたため、なのですが、文字の話をしていると狼からはなれた。

 ルー、シュメール時代という人類の黎明期、ホモサピエンスから人類という、いわば動物学から人類学への分岐点において初期絵文字等の解読から狼はこう発音されていたようです。そして驚くことに、オオカミはこの時点では文字上、悪い意味は持っていなかった。

 農耕、重要なのは人類が文字を発明した時代は農耕という、漸く冬に絶滅するかどうかという不安を払しょくできた過渡期であったためでして、興味深いことに農耕という技術を手に入れますと人類は、金属精錬、そして車輪と立て続けに発明を続けているのだが。

 オオカミはこの時点で、文字上、悪い意味を持っていなかった、という実情の背景には、農耕とオオカミ、という関係があったと推測するのが妥当なところでしょう。それは、オオカミはほかの人類に関係する動物との間で農耕へ悪影響が少なかったということで。

 車輪の発明とともに、運搬にもちいる動物、牽引するための動物が必要となりますので、もちろんこのための馬や牛という存在はオオカミの標的となったことは想像に難くはないのですが、楔形文字の時代にはそうした脅威を想定して尚、オオカミの敵視はない。

 人類文明の曙では、そうした関係性があったのですね。同時に、この時代は牧畜せずとも捕獲できるほど野生動物は豊富で、それを市場で交換する事で食料としての精肉を得られたという時代背景があるのですが、人類とオオカミの関係を見るうえでこの視点は重要だ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【京都幕間旅情】伏見稲荷大社,大神と農耕-わんだふるぷりきゅあ!ニホンオオカミ扱いへの反論

2025-01-22 20:00:16 | 写真
■大神と農耕
 たまにはこういうわだいがあってもいいでしょう。

 北大路機関は、2003年の創設を経て2005年にWeblog北大路機関として発展し、今年で創設20年を迎えます。その背景には、自衛隊に関する多くの誤解が当時報道でさえも残っていて、先ず実情と事実を知ってもらう事が安全保障への一歩として歩みだしました。

 伏見稲荷大社、さて、今回この伏見区の社殿を紹介します背景には、ちょっとここは指摘しておかなければならないなあ、という義憤ではないけれども、思い立ったことがありまして。朝日放送テレビ、大阪市福島区の西日本を中心とした放送系列の番組について。

 オオカミが悪者という描写がありまして、日本では逆に信仰対象であったのだよなあ、と、事実と異なる可能性を感じました。牧畜を行う場合はオオカミは駆除対象ですか、日本は儒教と仏教の影響があり、牧畜はそれほど普及していない、まあこれはのちほど。

 わんだふるぷりきゅあ!、所謂朝アニメで、日曜日という北大路機関が戦車だ戦闘機だ機動戦闘車だ護衛艦だ哨戒機だ潜水艦だ、と追いかけまわしている最中にはちょっと縁が遠かった作品についての、オオカミに関しての描写です。今回はオオカミが敵だという。

 くらま体験航海、実のところこの作品が子供向けという割には様々な内容を含めているのだなあ、とみてみて驚いたのは、20年近く前、静岡県において予定されていた護衛艦くらま体験航海が豪雨により中止となりまして、仕方なく戻ったホテルでの話なのですが。

 ザクロ、オオカミの亡霊の擬人化という設定だそうで、声優さんが狼と香辛料でオオカミを追い払っていたノーラアレントの役を演じられた方でしたので、ちょっとわらってしまいましたが、なんでも、人類により絶滅させられたニホンオオカミだった、という。

 大神、驚かれるかもしれませんが、日本においてニホンオオカミを組織的に駆除した事例が、探してみると見つからないのですよね、野犬狩りの際に巻き込まれた事例があるのですが、それよりも大神、ということで日本ではニホンオオカミは信仰の対象であった。

 伏見稲荷大社の神使の狐は、オオカミではなく狐、歴史上は神社では、船岡山の、つまり北大路通沿いだ、船岡山の近くの穴に住んでいた狐の老夫婦が、人間とふれあい、いろいろ助けられることがあったものですから、寿命を終えたのちは人に尽くしたいと思って。

 神使の狐という存在は、船岡山に住んでいた狐の老夫婦が人間に恩返しをするために、自分の子供たちと共に宇迦之御魂大神のもとにはせ参じ、その願いが受け入れられた、という歴史があります。それは同時に、狐にも農耕神という側面があった為なのですが。

 宇迦之御魂大神、今では伏見稲荷大社は商売繁盛を願う神域となっていますが、神使の狐が稲穂を咥えていて、蔵を護る鍵を咥えている通り、もともとは農耕の豊作を祈る神殿となっていました。稲荷の語源の説に、稲成り、という説があるほどなのですから。

 送り狼という単語も、日本では、まあ夜女性にイカガワシイ下心で近づく男性諸君の暗躍で悪い意味を持つようになりましたが、もともとは山道で迷ってしまっても、附いてきてくれるオオカミを避けていると銛の外に出られた、そんな孤児があり、悪い意味ではない。

 ニホンオオカミは、日本の棲息圏においては別に敵対していたわけではなかった、ということ、わんだふるぷりきゅあ!ではもう少し触れてほしかったなあ、とおもうのですね。それは農作物に群がるネズミを駆逐し、灌漑路を壊すモグラを捕食した、神なのだから。

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ウクライナ情勢-クルスク州の北朝鮮人民軍は20名から100名の大きな歩兵集団により歩兵突撃

2025-01-22 07:00:07 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ情勢
 機械化装備の備蓄が無ければという実例の繰り返し。

 北朝鮮人民軍は20名から100名の大きな歩兵集団により歩兵突撃を繰り返している、ISWアメリカ戦争研究所ウクライナ戦況報告1月14日付発表によれば、クルスク州で任務を行うウクライナ軍小隊長の話を引用しています。北朝鮮軍呑ん要はこれによればクルスク州に限定されていることとなりますが、大きな損耗の背景はここにあるとみられる。

 歩兵突撃は開けた地形において日中も夜間も行われているとのことで、ロシア軍の歩兵突撃よりも固まって実施することから、ウクライナ軍火力に圧倒されていることとなります。一方でロシア軍はトレツク市内とポクロフスク近郊のズブロヴェ南西地域およびノヴォイエリザヴェチフカ西方において前進しているとのこと。ポクロフスクが焦点となっている。

 ポクロフスク方面のウクライナ軍報道官によれば、ロシア軍の攻撃はウクライナ軍FPV無人機の攻撃からみを守るために2名乃至3名と非常に少ない規模で攻撃していて、歩兵同士の感覚も15mから20mと散開しているという。ただ、これではウクライナ軍陣地攻撃には兵力が不充分である事から、時間を掛けて攻撃部隊複数が陣地前にあつまるという。

 ウクライナ軍は13日から14日にかけての夜間、ロシア国内の軍事施設及び軍需産業に対してミサイルと無人機を併用した大規模な航空攻撃を実施したとのこと。特筆すべきは、ブリャンスク州、サラトフ州、ツーラ州、タタールスタン自治共和国など、攻撃が遠隔地に為されている事で、もっとも遠い目標は1110km先であったという事です。

 国営コンビナートクリスタル石油貯蔵施設は戦略爆撃機部隊用燃料を供給し、このほかにブリャンスク化学工場、アレクシンスキー化学工場、カザノルグシンテス化学工場、またクレムニーエルマイクロエレクトロニクス工場が攻撃目標になったとされています、これは航空燃料及び爆弾と精密誘導兵器の生産に影響を及ぼす攻撃と見られています。

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