北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】FAMOUS将来型高機動性増強装甲システムとオランダ国防省廃止戦車の58両再調達

2025-01-27 20:05:12 | インポート
■防衛フォーラム
 今週も陸軍関連の話題ですが戦車復権の流れというものをわが国はどう見守るべきなのでしょうか。

 オランダ国防省は廃止していた戦車の58両調達を実施します。オランダ軍は冷戦時代にはレオパルト2戦車を中心とした1000両単位の戦車を保有していましたが、冷戦後の情勢変化により全廃していました。陸軍も第11空中機動旅団と第43機械化歩兵旅団のみ、ただ冷戦時代の安価な装甲車に代え、歩兵支援能力の高いCV-90装甲戦闘車を導入した。

 レオパルト2A8戦車、オランダ軍が導入する戦車はレオパルト2戦車の最新型となる見込みで、これはロシアウクライナ戦争開戦後、欧州安全保障情勢の抜本変化にともない、とりあえず8両から14両、一個中隊を再編し、ドイツ軍と共同運用を行う構想としていましたが、今回、58両という独自の戦車大隊を編成できる規模の戦車部隊を編成するもよう。

 第43機械化歩兵旅団はドイツ連邦軍とともに国際師団を編成していて、ここにはドイツ連邦軍の装甲車両なども配備されています。暫定的にここにドイツ連邦軍の戦車中隊を配置して旅団の機動打撃力を確保するという運用も検討されていたようですが、防衛力強化の一環としてオランダ軍は自国旅団には自前の戦車を配備する方針に切り替えました。
■防衛フォーラム
 HIMARSの生産が間に合っていない状況を見ると自衛隊のMLRSを廃棄した後解体してしまったのが惜しく思えてきて。

 オーストラリアのロッキードマーティンオーストラリア社はGMLRSロケット弾増産を進めるべく、タレスオーストラリア社との間でSRM固体ロケットモーター部分の共同生産契約を結びました。共同生産契約は先ず、固体ロケットモーター部分からですが将来的にはGWEO誘導兵器部門全般へ提携しロケット弾生産を強化する狙い。

 GWEO誘導兵器部門のロッキードマーティンオーストラリア社とタレスオーストラリア社との提携は、オーストラリア軍が導入するHIMARS高機動ロケットシステム弾薬であるGMLRS精密誘導ロケット弾生産を円滑に行うとともに、オーストラリア国内の防衛産業をグローバルなサプライチェーンへ参画させることも大きな狙いとされています。

 HIMARS高機動ロケットシステムを筆頭にMLRS多連装ロケットシステムから運用されるGMLRS精密誘導ロケット弾はロシアウクライナ戦争で大きな戦果を挙げるとともに半年間で6500発を射撃したことでも有名となりました。射程不足が認識されたGMLRSは同じ弾薬系統である射程の長いATACMSの実戦投入により再評価されています。
■防衛フォーラム
 どの程度強化されたのかが関心事です。

 T-90主力戦車は増加装甲により戦闘重量が51tまで増大している、ウクライナ戦況報告などによればロシア軍の主力戦車であるT-90戦車はもともとの戦闘重量が46.5tであるものの、T-90戦車そのものがT-72戦車を大幅に改良するとともに1991年湾岸戦争の大打撃を受け、国際市場での汚名返上を期して名称を変えたものとなっています。

 51tに重量が増大した背景は各種防御強化で、T-90戦車はロシアウクライナ戦争緒戦の段階でスウェーデン製カールグスタフ84mm無反動砲に撃破された事例さえあるほど、脆弱な部分がありました。このため5tちかい重量の防御力強化がなされていますが、更に無人機対策として合掌造りのような住宅状の追加装甲を被せる改修も一部為されています。
■防衛フォーラム
 自衛隊は未だその前の段階ですからねえ先ずは通常のAPCを普通科部隊に全面的に普及させなければ。

 フィンランドのパトリア社はFAMOUS将来型高機動性増強装甲システム実証車を開発しました。これはノルウェーのスンドヴォルデンにてNDIS北欧防衛協力装備展として9月17日から二日間にわたり実施される装備展にコンセプトモデルを展示するもの。FAMOUS将来型高機動性増強装甲システムはNATOの次世代装甲車を目指す。

 FAMOUS将来型高機動性増強装甲システムが目指すのは北欧地域などで広範に使用されているBv-206全地形車両など連接式全地形車両の後継車両を目指すもので、具体的には費用対効果を重視し安価な装備を期しています。パトリア社は運転台型キャビンを有する装軌式車両を展示する方針で、ユーロサトリ2024に出展されたものの改良型です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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ウクライナ情勢-ポクロフスク攻防戦で示された小型無人機と戦車火砲協同運用の重要性

2025-01-27 07:17:23 | 先端軍事テクノロジー
■防衛情報-ウクライナ戦争
 戦車か無人機かという段階ではなくウクライナ軍の運用を見ますと戦車部隊OBが幾度も言う通り両方とも必要である事が示されていまして、また電子戦装備の末端までの普及という必要性を含め自衛隊が学ぶべき戦訓である。

 ロシア軍はポクロフスク方面において無人機不足に陥っている、ISWアメリカ戦争研究所1月15日付ウクライナ戦況報告によれば、ロシア軍はこのところ電子妨害による無人機運用の障壁にさらされており、この打開策として有線式の光ファイバー方式ドローンを投入していますが、この特性の違いによりドローンオペレーター不足に陥ったという。

 ロシア軍はげんざい、ポクロフスクを新しい焦点として攻勢を強化していますが、通常の無人機は電子妨害により充分性能を発揮出来ず、ロシア軍はこのため、ポクロフスク方面の天候が良好である事から、滑空爆弾を使用してウクライナ軍を圧迫しているという事ですが、無人機においてウクライナ軍が優位にある事から幾つかの新要素があるとのこと。

 電子妨害が有効に機能しており、ロシア軍が全線で多用している市販無人機の改造型はかなりの部分撃墜されているという。ロシア軍はこれを受け、電子妨害を受けない光ファイヴァー欲し着無人機を、ロシア軍司令部が必要と判断したときのみ、投入していますが、これが必要数を供給できておらず、運用能力も低く妨害に強くとも良く落ちているという。

 ウクライナ軍は無人機を有効に運用する事で、ロシア軍の戦車運用をかなりの部分で封じており、具体的には、前線付近の3kmから6kmの地域においてロシア軍は戦車や装甲車を運用した場合、かならずウクライナ軍無人機の攻撃を受け、これら装甲車両を運用出来ていないとのこと。またウクライナ軍は無人機により火砲の精度を相当向上させている。

 FRV無人機は、ロシア軍戦車を一撃で破壊する事はできませんが、5機から10機を連続して突入させるため、ロシア軍戦車は厳しい状況にあり、一方でこの状況を活かして、ウクライナ軍は戦車を自由に行動させ、逆に結果的に戦車を運用出来ない丸裸のロシア軍歩兵部隊に対してウクライナ軍戦車は戦車砲による直接火力支援に有用に機能しているとも。

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