北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】三菱重工無人水陸両用車とK-239長射程型,ジェネラルダイナミクスオーディナンスアントタクティカルシステムズとハイサル中距離地対空ミサイル

2025-01-20 20:12:29 | インポート
■防衛フォーラム
 この種のミサイルは日本が1980年代に独自開発した時代は相当な苦労を強いられましたが40年を経て各国の開発技術が追い付いてきています。

 トルコ陸軍はハイサル中距離地対空ミサイル発射試験を成功させました。ハイサルOはトルコの防衛企業アセルサン社が開発する新型地対空ミサイルで、この開発はトルコ国防省が進める国土防空計画スチールドーム計画の重要な技術開発として位置づけられています。既に近距離防空型のハイサルAが開発、技術的にはその発展型です。

 地対空ミサイルの国産化は、トルコにとり過去の苦い経験があります、それはアメリカがトランプ政権時代にF-35戦闘機開発国としてその導入計画を立てていた際、同時に地対空ミサイルとしてロシアから射程の長いS-400地対空ミサイルを導入、これがデータリンクの際に防空情報が漏洩するとアメリカがF-35引き渡しを拒否する事となった。

 F-35戦闘機引き渡し拒否はバイデン政権時代に入っても堅持され、トルコは正式にJSF計画からの除名が決定しました。ハイサルA地対空ミサイルは射程10km、そして今回開発されたハイサルOは射程40kmのもので、トルコ国防省は射程を更に延伸させたハイサルUも開発を進め、地対空ミサイルのロシア製依存から脱却するかまえという。
■120mm戦車砲弾
 ガザ戦争は本日正式に停戦が発効しました。

 イスラエル政府は戦車用弾薬をアメリカから調達します。これはジェネラルダイナミクスオーディナンスアントタクティカルシステムズ社に要請していた戦車用120mm砲弾の有償供与がアメリカ国務省により認可されたことを示し、120mm戦車砲弾32739発を7億7410万ドルで調達するとのこと。砲弾は2027年から納入が予定されています。

 120mm戦車砲弾はイスラエルガザ戦争において大量に射耗しているものですが、同時にイスラエルガザ戦争において既に非戦闘員を含む4万5000名もの死者が人口200万名というガザ地区において発生しており、人口の2%以上が死亡している状況、この中で戦車砲弾の用途を考えると、その有償供与には連邦議会からも反発の声が上がっています。
■K-239長射程型
 MLRSやHIMARSの生産が間に合わないため各国の高機動ロケット砲はイスラエル製と韓国製が市場を制しつつあります。

 韓国政府は中東から要請されているK-239ロケットシステム長射程型供与に応じると発表しました。K-239ロケットシステムはもともと一般的な130mmロケット弾などを発射するトラック型ロケット砲として開発されていますが、様々な弾薬に対応するとしており、最も射程の長いものは300kmの巡航ミサイルを投射することが可能となっています。

 K-239の長射程型を要請している国について韓国政府は中東の某国、としているだけで具体的な国名は発表していませんが、K-239は中東ではサウジアラビアとアラブ首長国連邦の二カ国が採用しているため、このどちらかもしくは両方であると推測されます。今回韓国政府は300km型よりも射程の長い500km型を開発し供与する方針を示しました。
■三菱重工無人水陸両用車
 アメリカのACVに関する情報を丹念に見ていますと浮航能力を持つパトリアAMVを原型とした高速型を開発してもいいように思えてきますね。

 三菱重工は無人水陸両用車に関する契約を防衛装備庁と結びました。これは7月11日に成約したもので、契約規模は205億9200万円となっています。無人水陸両用車は既存装備として開発が進められている国産水陸両用装甲車両の車体を応用したもので、珊瑚礁などあらゆる地形障害を克服し島嶼部における無人運用を可能とする車両を目指す。

 無人水陸両用車は、説明では補給物資などを港湾が使用できない島嶼部に送るものとされていますが、同時に水陸両用作戦では上陸第一波は威力偵察と位置づけられ、膨大な犠牲を容認して海岸の防御陣地など敵情を解明する厳しい任務が付与されます。しかし自衛隊に水陸機動団は一個があるのみで、簡単に犠牲を容認できない状況もあるのです。

 水陸両用作戦において無人水陸両用車は、RWS遠隔操作銃塔や各種監視センサーなどを搭載し、上陸正面において複数の車両を参加した無人偵察を実施する、こうした運用が考えられます。防衛省では無人アセット構築として、陸海空自衛隊の無人装備を一気に増強する防衛力整備を実施中で、この装備もその一環として開発されているのでしょう。

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ウクライナ情勢-ロシア軍死傷者は79万人に達し12月19日の死傷者数は2200名,イギリス国防省ウクライナ戦況報告

2025-01-20 07:00:39 | 防衛・安全保障
■防衛情報:ウクライナ情勢
 ウクライナが此処まで粘り強く戦えている背景には各国装備体系の内部化と動員体制にあるといえるのですが、本邦の戦訓と出来る事とはさてさて。

 ロシア軍死傷者は79万人に達している、1月7日付イギリス国防省ウクライナ戦況報告によれば、2024年12月は48670名の死傷者を出しているとのこと。2024年全般では429660名の死傷者を出しており、これは2023年の死傷者数252940名と比較した場合でも著しく増加しているとしています。死傷者数は増加傾向にあるとしている。

 2024年12月の48670名とともに11月には45680名となっていて、死傷者数は6カ月連続で増加しているといい、いっぽう2024年12月の一日当たりの死傷者数は1570名、これも5カ月連続の増加となっているとともに12月19日の死傷者数は2200名、過去最高を記録しているという。ロシア軍は歩兵突撃を多用している事がその背景とのこと。

 ロシア軍はコスティヤンチニフカへの圧力を強めている、ISWアメリカ戦争研究所1月7日付ウクライナ戦況報告によれば、ロシア軍はスジャ北西地域とボロヴァ北東地域、ポクロフスク南東と南西地域において前進していますが、なかでもウクライナ運参謀本部発表としてロシア軍はクラホフ周辺へ攻撃軸を遷しており部隊の集中が観られるもよう。

 クラホフ防衛へはウクライナ軍参謀本部発表として、ウクライナ軍はクラヒフスカ火力発電所を防衛拠点としており、この地域を保持できているとしています。トレツク周辺での新しい焦点がコスティヤンチニフカで、ここはウクライナ軍が構築した高速道路05-16号線沿いの要塞地帯、その最南端であるともしています。ただロシア軍の進捗は厳しい。

 要塞線を攻略するにはロシア軍は多方面からの部隊集中が順調ではないとしています。ただ、この方面では従来5名規模の歩兵攻撃が多用されたのに対し、現在は20名規模の小隊攻撃が行われているということです。一方、クルスク戦線について、ウクライナ軍は7日にクルスク州ベラヤの黒海艦隊第810海軍歩兵旅団司令部を攻撃、打撃を与えたようです。

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