北大路機関

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【日曜特集】観艦式2009-守る!この海と未来-【16】P-3CのIRフレアー展示(2009.10.23)

2020-07-26 20:12:39 | 海上自衛隊 催事
■観艦式訓練展示大団円
 観艦式は訓練展示の大団円を飾るP-3C哨戒機、そのIRフレアー展示へと展開してゆきまして哨戒機が飛来します。

 こんごう、艦橋の背景にP-3C。こんごう、1993年竣工のイージス艦であり2020年の今日から見れば27年のお婆ちゃんと新しいイージス艦から揶揄されそうだが整備は行き届く。建造計画は昭和63年度計画ですので、昭和、平成、令和時代がんばっているイージス艦だ。

 IRフレアー展示を行うP-3C。赤外線誘導ミサイルなどに攻撃を受けた場合はこのIRフレアーを展開して猛烈な熱源にてミサイルの誘導装置を幻惑する。SH-60哨戒ヘリコプターにも搭載されていて、地方隊展示訓練などでもIRフレアーの放出展示は行われたりする。

 IRフレアー連続投下、このころ撮影に活用していましたのはEOS-50D、連写性能が凄いので愛用しているのですが、まじめに撮影しませんとIRフレアーの展示も一瞬なのですね、そこでピンボケや露出に十分配慮しつつ、連写でこれでもかというほど撮影しておきます。

 IRフレアーに照らし出されるP-3C、実弾射撃が行えないものの見栄えある展示、ということで。野島碕沖まで行けば実弾射撃を展示できるのですが、横須賀からこれをおこなうとかなり距離があるために観艦式とともに行う場合は出航開始0430時から、無理だ、という。

 IRフレアーの連続投下続く。韓国が十年に一度行う国際観艦式はチェジュ島の沖合、比較的船舶往来の少ない海域で行うために自由度が高い、とも。チェジュ島は韓国最大の海軍基地が2010年代に建設、此処を選んだのは危険な南北国境から遠いため、信頼されている。

 IRフレアーが太平洋上に延びる。海上自衛隊は保有鑑定や航空機の規模としては世界有数の規模を有しているのですが、その分お座敷も多く多くが稼働状態にあるため例えば放射能除去装置や洋上補給や掃海展示、観艦式数回に一回しか行えない寂しさもあるのですね。

 IRフレアーを投下し続けつつ飛去るP-3C。P-3Cの強みは各種対潜機材そのものよりも情報処理システムと情報共有能力を既に1970年代に構築し、デジタル化しつつ二〇二〇年代もアップデートが続いている、というところでしょうか。P-1哨戒機とともに第一線を担う。

 IRフレアー展示完了。この時点で後継機のP-1哨戒機は初号機が飛行試験中、量産と部隊配備は2011年を計画していました。後継機は必要か、2000年代には議論もあったようですが、2010年代から高まった中国の脅威、2020年代の現状見れば何を冗談、というものか。

 くらま、IRフレアー展示を完了したP-3C、薄い雲はIRフレアーの名残です。P-3Cは対潜用ですが、くらま、も対潜用、一部に観艦式が晴れ舞台という揶揄もありますが、艦載機をSH-60Kに載せ替えるだけで抜本的に能力が向上、日本型体系は大きな可能性を持つ。

 あすか、てんりゅう、ぶんご、単縦陣。さて、この航空部隊のIRフレアー展示をもって観艦式は艦隊陣形運動に移り、そして観艦式は終了、観艦式参加艦艇は一斉に基地や港、出発地へと戻ります。この2009年観艦式は二度目の観艦式、ようやく実施の流れ読めてきた。

 さわかぜ、艦影がよくわかる。たちかぜ型護衛艦の3番館で二番艦あさかぜ竣工は1979年、さわかぜ竣工は1983年です。このためにターターDシステムはかなり進化しているとのことでハープーンミサイルのMk13発射装置からの運用能力も付与、護衛艦隊旗艦でもある。

 あぶくま、水平線上の護衛艦ひゅうが。陣形を組み相模湾から横須賀と横浜、そして木更津へと戻ります。浦賀水道は世界有数の過密海域、タンカーに貨物船とRORO船にコンテナ船と内航船に漁船とヨットとフェリーにクルーズ船が行き交う、緊張の航行ともいう。

 はたかぜ、艦隊運動を終えて避航する。はたかぜ型は二番艦しまかぜ、この2隻の建造を以てターターシステム艦の整備が完了し、イージス艦へ整備が以降します、まさか最新鋭システムが供与されるとは海幕も確信が無く、最初は同型艦を4隻量産する計画だった。

 あしがら、水平線上に護衛艦ひゅうが。イージス艦とヘリコプター搭載護衛艦、それも最新鋭の全通飛行甲板型護衛艦です。はるな除籍の同日に護衛艦ひゅうが竣工。しかし北大路機関は、はるな、ひゅうが、二隻がそろった写真を撮影したことがあります、貴重です。

 あすか、てんりゅう、ぶんご、艦隊運動。観艦式の醍醐味の一つはこの艦隊運動、特に地方隊展示訓練では護衛艦を二隻と三隻とを圧縮航過で時運系を構成しているよう構図を執ることは難しいのですが観艦式となりますと参加艦艇が多く構図の自由が利くのですよね。

 くらま艦隊運動を終えて避航し水平線上に警戒艦しらゆき。しらゆき、はつゆき型護衛艦の2番艦です。はつゆき、しらゆき、みねゆき、さわゆき、はまゆき、いそゆき、はるゆき、やまゆき、まつゆき、せとゆき、あさゆき、本型は長く海上防衛に貢献しました。

 こんごう、あすか、二隻が併航する。鋭く尖った試験艦あすか、その艦首が印象的ですね。こんごう機関出力10万馬力で最高速力30ノット、あすか機関出力4万3000馬力で最高速力27ノット、こんごう勝ちなのですが、これ、別に競争しているのではありません。

 てんりゅう、あしがら、展示を終えて横須賀と横浜へ向かう。出航に順番があったように入港も順番がありまして、観艦式では多数の艦艇が限られた埠頭にメザシ係留するのですから入港時間を明確に守らねばなりません、この為に予定時間に沿って追い越し追い抜く。

 自衛艦旗、てんりゅう艦尾とイージス艦こんごう。自衛艦旗は基地艦艇広報などでもよく見かける構図ですが、洋上で、となりますとなかなかみられない貴重な情景となります。こんごう、10万馬力エンジンから吹き出す大量の排気を担う上部構造物形状がおもしろい。

 横須賀へ向かう、てんりゅう、あしがら、あぶくま、水平線上にうっすらとみえるのは護衛艦まきなみ。競争ではない、と明示しましたが、しかし知らない人から見ればこれは競争に見えるのかもしれません、このころ多くの見学者は疲れて毛布で寝ているところだ。

 てんりゅうチャカ3と輸送艦おおすみ水平線上。チャカは拳銃を示す暴力団の隠語、ではなく無人標的機、90分ほど亜音速で飛行でき、てんりゅう、は同時に十数個、一説にはもう少し多くの無人標的機を航空管制することができるという。多数の攻撃を再現できる。

 あしがら、水平線上に続航する護衛艦ひゅうが。最新鋭、最新鋭。こうした構図を撮影したかったところです。洋上防空の中枢イージス艦と将来的にはハリアーくらい搭載しそうな最新鋭も最新鋭の全通飛行甲板型護衛艦、まさに21世紀の海上自衛隊というところです。

 さわかぜ、撮影位置から右舷側で太平洋上に広がり奥に試験艦くりはま。くりはま、は警戒艦ですね、ソナーなどの対潜装備を試験する任務に就いていまして、海上自衛隊が新造した初めての専用の試験艦、それほど大きな艦ではありませんが希有な一隻でもあります。

 水平線上に浮かぶミサイル護衛艦はたかぜ。ターターDシステムを搭載する防空艦です。射程90kmのスタンダードSM-2運用能力も有していまして、しかし技術的限界から同時誘導は2目標までという。この点で目標をイージスシステムは同時に21目標に対処、強い。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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