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【京都発幕間旅情】千代神社(滋賀彦根)彦根最古社は天宇受売命と共に佐和山彦根山を巡る

2021-07-28 20:20:01 | 旅行記
■武家屋敷が並ぶ閑静な一角
 彦根は荘厳重厚な国宝天守閣彦根城を一通り廻ってみました後の散策が、実のところ趣き深いのかもしれません。

 千代神社。滋賀県彦根市に鎮座します社殿です。末広がり扇おみくじが有名という事で、お守り袋に小さな扇が収められここに籤が記されているという。滋賀を散策する、実は当方全く知らなかったのですが知人から彦根散策の際に薦められましたのがこの社殿です。

 青空のもとに鳥居をくぐりますと、おおきく曲がりまして境内参道は続いてゆきまして手水舎に清めつつ本殿のほうを眺めますと、そうそれほど広い神域ではないのですが、青空の開放感と共に社務所と、そしてその向こうに本殿がこう鎮座していますのがみえました。

 本殿は、檜皮葺三間社流造でありまして、寛永年間の西暦1638年に建立されたものといい、国の重要文化財に指定されています。彦根城から少し歩み進めた閑静な神域が透き通るようですが、実は彦根最古の神社という社殿はこの彦根を巡る数多歴史舞台と共に歩んだ。

 天宇受売命を祀る社殿は芸能の神という神社ですが彦根駅から彦根城の掘割の界隈を散策しまして、少し西へ歩み進めますと至る、彦根の古い町並みから駅の方へ寺町を巡っていますと至ります社殿です。諸説あるようですが現存する社殿では彦根最古の歴史を有する。

 孝元天皇の皇女倭迩迩姫の降誕によって勧請された、と社伝には在ります。孝元天皇年間は紀元前273年から紀元前158年ですので、それはもう連綿と歴史を紡ぐものではありますが、五世紀ごろにかの仁徳天皇の嫡子である履中天皇により再建されたともいいます。

 京町この一帯は江戸時代に武家屋敷が並ぶ閑静な一角でした。千代宮。そもそものこの社殿の始まりの歴史は佐和山の麓にありました千代宮という社殿でして、安土桃山時代後期、彦根山の山頂に遷座する事となったのですね。その遷座を行ったのがかの石田三成という。

 石田三成が佐和山城築城に際しまして、古くから崇敬集める社殿を城郭より見下ろすのは失礼にあたると彦根山に遷座しました。そしてその遷座となりました山頂には今、彦根城天守閣が威容を轟かせている。即ち彦根山はそのまま彦根の街並みの中心となってゆく。

 井伊直政。関ヶ原の戦いに勲功挙げ上州からここ彦根の大藩藩主となりました際、彦根城築城を行う際に、また佐和山の麓に再度遷座されることとなりまして、そして井伊家は寛永年間の西暦1638年に本殿を造営したのですね。この際に造営された本殿が今日のもの。

 彦根藩の千代宮への手厚い待遇は江戸時代を通して続いたようでして、また明治維新の際の動乱にも彦根は巻き込まれる事も無く、そのまま明治2年こと1869年に今の千代神社と改めまして、明治16年の1883年には県社に指定されまして静かな時の移ろいとともに。

 太平洋戦争の戦災を免れた彦根ではありますが、そもそも彦根の古い名は石町、故に昭和公害からは免れませんでした。昭和30年代、公害地獄が戦災復興の美名に覆い隠された時代に当時の社殿、伊吹山はじめ切り出される土砂のコンクリート工場に囲まれてゆきます。

 千代宮は佐和山の山麓の、要するに東海道本線真横に在りましたので貨物輸送にコンクリート工場立地が最適であったのは理解できるのですが、粉塵が重要文化財の隠田さえも固めそうな勢いであったといい、神社は昭和41年こと1966年にまたしても遷座する事に。

 神社は1966年、現在の場所へ本殿を解体し遷座する事となりましたが、東海道本線沿線から彦根城や市役所と歴史通といった風情ある街並みから少し奥座敷、歴史ある寺町に遷座した事は彦根中心部の社殿として改めて崇敬を集める事となりまして、今日に至ります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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