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ロシア軍の冬季攻勢は攻勢限界か?春季攻勢準備-ウクライナ軍へ最初のレオパルド2戦車引き渡しと搬入開始

2023-03-29 07:00:05 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ウクライナへレオパルド2主力戦車最初の18両が到着したとのことでいよいよ春季攻勢への準備が大詰めとなります。この海外製装備の迅速な戦力化は自衛隊も学ぶべき点が。

 ロシア軍の冬季攻勢は、攻勢限界に達したとみられます。根拠としては、バフムト包囲を試みるも弾薬不足と装甲車両の不足から包囲機動を執ることができない点、バフムト外縁での防御陣地構築の動きとともに攻撃発起点から距離の遠いバフムトを避けた戦線構築の動きがみられるという点です。ただ、防衛線を維持する補給路維持について不安がある。

 ウクライナ軍の春季攻勢は、このところのウクライナ軍砲兵部隊は弾薬集積を継続しており、攻勢が近いことを意味します。特にロシア軍がバフムト近郊において防御線を構築中ですが、ウクライナ軍が運用をまもなく開始すると思われるレオパルド2主力戦車、第三世代戦車については、第二世代戦車よりも高い防御力と機動力を有している点が肝要だ。

 第三世代戦車は第二世代戦車開発当時にはなかった軽量だが強靭な複合装甲による戦車砲弾の直撃に耐える防御力、第二世代戦車開発当時にはなかった戦車に搭載可能である1500hp級エンジンにものをいわせての機動力の高さがあり、また、データリンク装置を搭載するため、敵の防衛線の間隙に分散して浸透攻撃を行い、目標直前で集合が可能だ。

 防御線といいましても、第一次世界大戦中のような幾重にも重なっての塹壕線と砲兵陣地や地雷原が隙間なく維持されているわけではありません、何故ならばそんな陣地を維持するには当時、一個師団の責任正面範囲が3㎞ほどであり、そんな密度の戦線を維持できるほどロシア軍はウクライナへ兵力を展開していないためです、すると間隙は必ずある。

 防御陣地と広報連絡船を浸透して遮断する能力が、レオパルド2やチャレンジャー2戦車にはあります、ロシア軍はウクライナ軍のHIMARS高機動ロケットシステムを警戒し、戦線の後方、80㎞の射程圏外に物資集積所を置いていますが、現代の戦車運用は浸透することで相手の後方策源地を叩き潰すことが可能だ。この戦い方はロシア軍にはありません。

 ロシア軍は損害を顧みない運用を、特にロシア政府が民意の反発を完全に圧殺しているために、無茶苦茶な兵力運用が可能です。しかし、ウクライナ軍の戦闘は洗練されており、思わぬ損耗を強いられることもあるでしょう。他方、ロシア政府は損耗が大きくなるほど、成果がなければ停戦さえ応じることができず、戦争はさらに長期化する懸念があります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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