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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】トマホーク対艦運用再開とF-110型ミサイルフリゲイトNSM搭載,ミエチュニク級フリゲイトシーセプター搭載

2024-02-27 20:01:58 | インポート
■防衛フォーラム
 こういう話題の際につかえる様に例えば2006年に名古屋へニュージーランド艦が来た際とか2021年オーストラリア艦の呉入港の際とか2023年のイタリア艦横須賀寄港の際に行っておけばよかったと。

 アメリカ海軍はトマホーク巡航ミサイルの対艦ミサイル運用を再開します、これは12月5日にブルームバーグ紙が報じたもので、これによれば台湾海峡周辺での緊張増大を背景にその対応能力強化の一環として行われます。具体的には、ハープーン対艦ミサイルではもはや射程が不十分となったため、トマホークミサイルを用いるとの事でした。

 トマホークミサイルは、新たに海上移動目標の照準システムを開発中との事で、このため既存のトマホークをそのまま照準するのではなく、したがって配備は2024年の10月1日以降になるもよう。中国海軍や中国空軍の対艦兵器は延伸し続けており、この接近阻止領域拒否能力に対抗するには1600㎞以上というトマホークの射程が必要となります。■

 ニュージーランド海軍はテマナからのシーセプターミサイル実験を成功させました。シーセプターミサイル運用能力は同型艦のテカハに対しても実施されています。テカハとテマナはニュージーランド海軍が有する唯一の型式であるテカハ級の2隻で、1997年と1999年に竣工、オーストラリアのアンザック級フリゲイトニュージーランド仕様艦です。

 テカハ級はシースパロー短距離艦対空ミサイル8発をVLSに搭載していますが、2020年代に入り射程8㎞のシースパローは陳腐化が指摘されていました。このため、オーストラリア海軍はアンザック級に射程50㎞のESSM発展型シースパローミサイルを搭載する改修を行っていますが、ニュージーランド海軍はシーセプターミサイルを選定しました。

 シーセプターミサイルはCAAMミサイルとも呼ばれ射程は25㎞、イギリス製でASRAAM空対空ミサイルを艦載型としたものです。テマナからのミサイル発射試験は二度に分けて実施され、全長2mの小型無人機を標的として実施され、内一度は僚艦防空試験でした。テカハ級は満載排水量3600tと小ぶりですが僚艦防空能力をもつこととなりました。■

 カナダ軍はCMMA次期哨戒機としてP-8Aポセイドン海洋哨戒機を選定しました。最大で16機を導入するとのこと。カナダ国防省はP-8A選定について、航続距離や巡航速度と搭載能力や耐久性能などの面でCMMA哨戒機として必要な要求性能をすべて満たすことができた唯一の航空機であるとし、カナダ国内運用基盤も問題ないとしています。

 P-8Aポセイドン海洋哨戒機、ボーイング737型旅客機を原型とした哨戒機で、ボーイング社によればNATO加盟国では5番目の採用国となるとともに、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドとともに構成される情報共有枠組み“ファイブアイズ”すべての参加国がこのP-8Aポセイドン海洋哨戒機を運用することとなりました。

 カナダ軍がP-8Aポセイドン海洋哨戒機を採用したのは、ある種の意外性を持っていました、それはカナダがこの数年間、当初次期戦闘機として決定したF/A-18Eスーパーホーネット戦闘攻撃機の調達を突如キャンセルしボーイング社との関係が悪化、その上でカナダのボンバルディア社が独自の哨戒機を設計しており、本命視されていたためです。■

 スペイン海軍はコングスベルク社との間でNSMミサイルに関する新たな契約を結びました。スペイン海軍は現在建造中のF-110型ミサイルフリゲイトへ搭載するミサイルやF-100型ミサイルフリゲイト近代化改修用としてNSMミサイルを選定、この機種選定は2022年に決定していましたが、このほどその調達について正式に契約に至ったとのこと。

 コングスベルク社とスペイン国防省の契約は2023年12月15日に交わされたとのこと。NATO加盟国であるスペインは今回の調達に際しNSPA北大西洋条約機構支援調達庁の仲介を受けミサイルを取得するとのこと。今回のミサイル調達規模は3億0300万ユーロ規模で、重ねてスペイン海軍はロタ海軍基地へNSMミサイル整備施設を構築します。■

 エジプト海軍は新フリゲイトアルカディアを受領しました。ドイツで建造された輸出用フリゲイトMEKO-A200型フリゲイトのアルカディアは12月15日、ドイツのブレーマーハーフェンのティッセンクルップマリンシステムズ社造船所においてエジプト海軍に引き渡されました。アルカディアは2021年に起工式を迎え2022年に進水式を果たした。

 アルカディア、アルアジス級フリゲイトとしてエジプト海軍は4隻を導入する計画で、二番艦アルカハルに続き、アルカディアは3番艦、そして一番艦竣工から14か月間でエジプト海軍は3隻を受領しており、また4番艦アルジャバールはエジプトでライセンス生産が決定、アレクサンドリア造船所において建造中、こちらは2025年竣工とのこと。■

 カナダ海軍は極地哨戒艦フレデリックロレットの進水式を挙行しました。12月9日、カナダのハリファクス造船所において進水式を迎えたフレデリックロレットは、AOPS極地哨戒艦の5番艦となっており、NSSカナダ国家造船戦略の要諦一端を担う水上戦闘艦として建造されてきました。フレデリックロレットとは米英戦争で活躍した士官の名だ。

 極地哨戒艦とは、その名の通り北極などの極地において任務遂行可能という哨戒艦で、機関砲などを備え兵員輸送能力を有した砕氷艦というもの。気候変動に伴う地球温暖化により極地方である北極海は船舶航行が部分的に可能となり、新しい最前線となっています。この為カナダ海軍は極地哨戒艦を6隻建造する戦略を建て、現在は6番艦も建造中です。■

 カナダ海軍はアップホルダー級潜水艦後継検討を本格化させています。この次期潜水艦として求められる性能は、第一に通常動力方式としてディーゼル発電機とバッテリー方式を採用している点、第二に長距離航行能力を有する事、第三に北極海での運用が可能である事、第四にアメリカ製魚雷などの装備やアメリカ製戦闘システムの搭載に対応すること。

 候補となっている潜水艦は、ドイツ製潜水艦やスウェーデン製潜水艦と韓国製潜水艦及び黙示的な候補として日本製潜水艦等が挙げられています。例えば韓国はハンファオーシャン社が韓国のハブコックカナダ社との間で提携を発表しています。日本については日加GSOMIA秘密保護協定の交渉中で、この可否が可能性を左右するでしょう。

 アップホルダー級潜水艦はイギリス海軍が最後に導入した通常動力潜水艦の中古艦となっていますが、カナダ売却までの数年間の放置で一気に老朽化が進み、現役復帰に難渋し、一番艦は回航中の大西洋上で火災事故を起こし、ほとんどが基地に係留されているか造船所での整備中という、極端なほど非常に稼働率が低いことで問題視されています。■

 オーストラリア陸軍はヘンダーソン造船所で開発中の中型揚陸艦試作型を視察しました。オーストラリア陸軍は国防戦略見直しを受け、バリクパパン級汎用揚陸艦を退役させ、キャンベラ級強襲揚陸艦を導入したものの、これらを補完する従来型揚陸艦の延長線上にある中型と大型揚陸艦を新たに海軍ではなく陸軍用として建造することとなりました。

 ヘンダーソン造船所ではこの中型揚陸艦の試作型が建造されていて、中型揚陸艦は航続距離500浬、M-1エイブラムス戦車とレッドバック装甲戦闘車を各1両輸送する、若しくはHIMARS高機動ロケットシステム4両を輸送する。沿海域機動作戦能力として海軍は中型揚陸艦を2027年より就役させ、続いて大型揚陸艦を2028年より竣工させます。

 沿海域機動作戦能力の要となる大型揚陸艦については構想中で、計画ではM-1エイブラムス戦車6両とレッドバック装甲戦闘車11両、若しくはHIMARSを26両搭載するもので、併せて水陸両用車や揚陸支援艇などの母艦となる構想です。なお、ヘンダーソン造船所は、ソロモン諸島ではなく西オーストラリア州にあるヘンダーソンをしめしています。■

 ポーランド海軍はミエチュニク級フリゲイト防空ににシーセプターミサイルを採用しました。ミエチュニク級はポーランド海軍が初めて独自建造するフリゲイトで満載排水量は5000tにも達する大型水上戦闘艦です。しかし同時にポーランドが運用を想定するバルト海は北大西洋と比べ海域が狭く、その個艦防空能力が課題となっていました。

 シーセプターミサイルはイギリス海軍などがCAAMミサイルとして採用している射程30㎞規模の対空ミサイルで、製造を担当するMBDA社によればミエチュニク級にはMk41VLS垂直発射装置へクワッドパッキング方式にて搭載されるとのこと。もともとミエチュニク級はイギリスの31型フリゲイト派生型であったので妥当な決定ともいえます。

 ミエチュニク級フリゲイトの原型であるイギリス31型フリゲイトは老朽化した23型フリゲイトの代替として計画されたもので、26型フリゲイトよりも取得費用を抑え船体を小型化、デンマーク海軍のアイヴァーヒュイトフェルト級フリゲイトの設計を応用したもの、こちらの満載排水量は5700tでイギリスは5隻、ポーランドは3隻を導入します。■

 韓国海軍はAW-159哨戒ヘリコプターの後継選定を検討中です。計画そのものは韓国国防調達計画局が既に認可しており、2025年から2032年にかけ2兆8700億ウォン、米貨換算22億3000万ドルを投じて調達するもので、この中には初期に導入されたリンクス哨戒ヘリコプターの老朽化によりその後継機調達なども含まれているとの事です。

 AW-159ワイルドキャット哨戒ヘリコプターを運用する韓国海軍ですが、次期哨戒ヘリコプターについては機種を検討中としていて、具体的にはワイルドキャットが対潜哨戒能力を持ちつつ、導入当時に北朝鮮海軍が大量保有していた高速ミサイル艇などから艦隊を防護する目的として選定されていました。しかし、北朝鮮の脅威は変化し対応する必要が。

 MH-60R哨戒ヘリコプターとNH-90哨戒ヘリコプターがAW-159の増強に対する別の選択肢として示されており、この背景には北朝鮮海軍が建造を進めるミサイル潜水艦による海上からの韓国本土への核攻撃という懸念が高まった為です。この為、AW-159よりは滞空時間が長く多くのセンサーを搭載し対潜作戦能力強化に資する機種が候補機です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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