■開戦三年
世界が壊れるのを避けるためにも日本の外交政策としてロシアの行動を絶対に追認することは出来ない.
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ロシアウクライナ戦争は開戦三年目となりました。こうした中で停戦交渉というものの可能性が現実味を帯びてきています。具体的にはその停戦交渉はいまのところロシアとアメリカ政府の、つまり当事国の頭越しに行われている段階ですが、いままで無かった動きが顕在化したといえます。
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第三次世界大戦の入り口に立っている、重要な視座はロシアウクライナ戦争の今後の方向性というもので、仮にロシアに有利な条件を示すこととなれば、権威主義国家は次の機会にもこうした動きを踏襲することで、第二次世界大戦がそうであったように、超えるべきでは無い一線を超えかねない。
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日本は、どういう姿勢でこの概況を見守るのか。重要な点は此処です。何もしないことを平和主義と言い換えられるほどに安穏とした時代ではないということは云うまでもありませんが、少なくとも日本国内の法整備は、入り口の段階とはいえ、世界政治へ関与しうる体制へ転換はできています。
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台湾海峡、軍事力による現状変更というロシアの行動を追認できない最大の理由は、この前例を容認してしまいますと、日本の場合はもう一つの権威主義国家により台湾海峡有事が現実のものとなってしまう可能性があり、南西シーレーンの遮断に繋がることから、その影響度は無視できない。
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朝鮮半島、軍事力による現状変更を追認できないも云う一つの理由は、北朝鮮の派兵により、その見返り措置として何らかの軍事技術や先端装備品、ミサイル技術と第4.5世代戦闘機などが供与された場合、核武装を達成した北朝鮮により朝鮮半島情勢へ影響が及ぶ可能性も無視できません。
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可能性を過度に強調すべきではない、という視座も、進歩的な視座をもつ方々から反論として沸き起こることは想定の上ですが、ロシアがウクライナへ侵攻することは無いだろう、という大勢の意見が2022年2月初頭まで存在したことも事実で、しかしその結果がどうなったかはご承知の通り。
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日本の外交政策として、ロシアの行動を絶対に追認することは出来ない、という主張はこのように、これを赦すならば日本周辺における緊張に直結する事態をも結果的に追認せねばならず、専守防衛ニッポン、周辺事態が現実となってから慌てることとなっては、おそいのです。
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外交政策は上記の通りですが、防衛政策はどうあるべきか。防衛省では、ウクライナPKO任務の可能性を、ある程度、想定外、から除いて研究単位で進められ始めている、これは今朝の産経新聞報道にありました。多分にアドバルーン的な報道ではあるのですが、アドバルーンが上がった。
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防衛政策、非常にミクロ的な視座ですが、NATOに加盟していない日本は、NATO加盟国軍隊の兵力引き離し任務に反対するロシアに対して、韓国軍や中国人民解放軍にインド軍などと並んで派遣した際に大きな混乱を引き起こさない重要な国家アクターとなります。まずはこの視座を。
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NATOに加盟していないものの、日本の防衛力は従来型の大規模戦闘を念頭とした編成を、島嶼部防衛など限定戦争の可能性に切り替えるとともに、この五年間は従来型の重戦力位置づけを更に下げ、逆に12SSM-ERに代表される反撃能力整備へ防衛力整備の重点を転換してきています。
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12SSM-ERは、射程も長く重要な装備ですが、キエフからモスクワまで直線距離で770km、しかしPKO任務に射程900kmの12SSM-ERを持ち込んだとして、停戦が破られた!だたちにクレムリンをミサイル攻撃だ!、という選択肢はありません、それをやると永田町になにかが飛んでくるゆえ。
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安全保障の基盤は遺憾ながら、冷戦後の信頼醸成と国家間対話に基づく武力紛争抑止と紛争解決という国際公序が破綻し始めており、綻ぶ現在の情勢において重視されているのが、軍事力と集団安全保障による武力紛争勃発への封じ込め政策というものです。すると日本の施策は大丈夫か、となるのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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世界が壊れるのを避けるためにも日本の外交政策としてロシアの行動を絶対に追認することは出来ない.
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ロシアウクライナ戦争は開戦三年目となりました。こうした中で停戦交渉というものの可能性が現実味を帯びてきています。具体的にはその停戦交渉はいまのところロシアとアメリカ政府の、つまり当事国の頭越しに行われている段階ですが、いままで無かった動きが顕在化したといえます。
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第三次世界大戦の入り口に立っている、重要な視座はロシアウクライナ戦争の今後の方向性というもので、仮にロシアに有利な条件を示すこととなれば、権威主義国家は次の機会にもこうした動きを踏襲することで、第二次世界大戦がそうであったように、超えるべきでは無い一線を超えかねない。
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日本は、どういう姿勢でこの概況を見守るのか。重要な点は此処です。何もしないことを平和主義と言い換えられるほどに安穏とした時代ではないということは云うまでもありませんが、少なくとも日本国内の法整備は、入り口の段階とはいえ、世界政治へ関与しうる体制へ転換はできています。
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台湾海峡、軍事力による現状変更というロシアの行動を追認できない最大の理由は、この前例を容認してしまいますと、日本の場合はもう一つの権威主義国家により台湾海峡有事が現実のものとなってしまう可能性があり、南西シーレーンの遮断に繋がることから、その影響度は無視できない。
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朝鮮半島、軍事力による現状変更を追認できないも云う一つの理由は、北朝鮮の派兵により、その見返り措置として何らかの軍事技術や先端装備品、ミサイル技術と第4.5世代戦闘機などが供与された場合、核武装を達成した北朝鮮により朝鮮半島情勢へ影響が及ぶ可能性も無視できません。
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可能性を過度に強調すべきではない、という視座も、進歩的な視座をもつ方々から反論として沸き起こることは想定の上ですが、ロシアがウクライナへ侵攻することは無いだろう、という大勢の意見が2022年2月初頭まで存在したことも事実で、しかしその結果がどうなったかはご承知の通り。
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日本の外交政策として、ロシアの行動を絶対に追認することは出来ない、という主張はこのように、これを赦すならば日本周辺における緊張に直結する事態をも結果的に追認せねばならず、専守防衛ニッポン、周辺事態が現実となってから慌てることとなっては、おそいのです。
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外交政策は上記の通りですが、防衛政策はどうあるべきか。防衛省では、ウクライナPKO任務の可能性を、ある程度、想定外、から除いて研究単位で進められ始めている、これは今朝の産経新聞報道にありました。多分にアドバルーン的な報道ではあるのですが、アドバルーンが上がった。
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防衛政策、非常にミクロ的な視座ですが、NATOに加盟していない日本は、NATO加盟国軍隊の兵力引き離し任務に反対するロシアに対して、韓国軍や中国人民解放軍にインド軍などと並んで派遣した際に大きな混乱を引き起こさない重要な国家アクターとなります。まずはこの視座を。
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NATOに加盟していないものの、日本の防衛力は従来型の大規模戦闘を念頭とした編成を、島嶼部防衛など限定戦争の可能性に切り替えるとともに、この五年間は従来型の重戦力位置づけを更に下げ、逆に12SSM-ERに代表される反撃能力整備へ防衛力整備の重点を転換してきています。
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12SSM-ERは、射程も長く重要な装備ですが、キエフからモスクワまで直線距離で770km、しかしPKO任務に射程900kmの12SSM-ERを持ち込んだとして、停戦が破られた!だたちにクレムリンをミサイル攻撃だ!、という選択肢はありません、それをやると永田町になにかが飛んでくるゆえ。
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安全保障の基盤は遺憾ながら、冷戦後の信頼醸成と国家間対話に基づく武力紛争抑止と紛争解決という国際公序が破綻し始めており、綻ぶ現在の情勢において重視されているのが、軍事力と集団安全保障による武力紛争勃発への封じ込め政策というものです。すると日本の施策は大丈夫か、となるのです。
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